記事の監修
株式会社瞬読 代表取締役山中恵美子
大学卒業後、関西テレビ放送株式会社に勤務。2009年学習塾を開講し3万人の生徒が卒業。
学習効果を上げる方法として速読を取り入れる。これが後の「瞬読」となり生徒が次々と難関校に合格。
2018年瞬読のみの講座が開講し、現在受講生は2,600名を超える。
著書『瞬読』は10万部超えのベストセラーに。その他、TV・ラジオなどメディアにも多数登場し、全国に瞬読を広めている。
多くの人は、脳トレに対して「高齢者が認知症予防のためにおこなうもの」というイメージをもっています。しかし、脳トレが必要なのは、高齢者だけではありません。脳の成長過程にある子どもにこそ、本来積極的に脳トレを推奨すべきなのです。
そこで今回は、子どもの脳によい影響を与えるオススメの脳トレを紹介していきます。また脳トレに取り組む際のポイントも合わせて解説するので、スタート前にぜひ最後まで目を通しておいてください。
目次
子どもにピッタリな7つの脳トレを紹介
ひとことで脳トレといっても、その種類はさまざまです。今回紹介する7つの脳トレを参考にして、ぜひ自分の目的に合った脳トレをみつけていただければと思います。
1.知育玩具で遊びながら脳トレを
知育玩具とは、文字通り、子どもの知能アップを目的としたおもちゃの総称です。机に向かってする勉強と違い、遊びながら自然と能力が鍛えられるため、小さな子どもでも無理なく脳トレができます。
もちろん、年齢や性別、子どもの性格によって、適した知育玩具は異なるでしょう。パズルのようなゲーム性の強いものが好きな子もいれば、ジャングルジムや乗り物系のように体を動かす玩具が好きな子どももいます。
いくら親がいいと思っても、子どもがあまり興味を示さないようなら、決して無理強いはしないでください。無理強いをすれば、知育玩具そのものに拒否反応を示すようになり、せっかくの脳トレの機会を失ってしまうことになるからです。
子どもの脳は、6歳までの間に、大人の90%まで脳が形成されるといわれています。だから、とにかくいかに飽きさせず子どもに脳トレを続けさせられるか、そのへんが親の腕の見せどころです。
2.ピアノやギターといった楽器演奏
ある程度自由に体が動かせる年齢になったら、子どもに楽器演奏をさせるのも非常にオススメです。なんといっても楽器演奏には、「第二の脳とよばれる手先を積極的に動かす」「左右の脳を両方使う」という大きなふたつのメリットがあります。
手には神経が集まっており、動作をコントロールする「運動野」は全体の約1/3、感覚を感じ取る「感覚野」は全体の約1/4を占めています。つまり手先を適度に動かすと、ほかのどの部分を動かすよりも効率よく、脳が刺激を受けるわけです。
ピアノ・サックス・ギター・ドラムなど楽器を問わず、まずは基本的なルール(運指)を指先に覚えさせるのが、楽器習得の基本になります。
そういった運指を覚える場合、普段あまり使わない薬指や小指も駆使しなければなりません。ドラムにいたっては、そこに足の動きも入ってくるわけですから、楽器演奏が脳トレとして優れているのは、すぐにご理解いただけると思います。
また楽器を演奏する際には、数学的な左脳エリアと創作的な右脳を、両方バランスよく使います。そうすると、脳梁によって繋がった左脳と右脳の連携が活性化して、より高いパフォーマンスが期待できるわけです。
3.家族みんなでスポーツ
「運動をしたあとはなんだかスッキリする」と感じたことはありませんか。これは、運動により筋肉が弛緩したこともありますが、脳への血流が改善されたのが一番大きな理由です。
脳に大量の血液が供給されれば、脳の栄養源であるブドウ糖と酸素の供給量も増えて、脳が活性化します。そのおかげで、思考力や集中力などが高まり、その結果脳がスッキリすると感じるわけです。
また適度な運動によって、ドーパミンやセロトニンといった、思考と密接に関係した神経伝達物質が増えることもわかっています。
では具体的にどのくらい運動をすれば、脳トレ効果が期待できるのでしょうか。
キャンベラ大学が2016年に発表したデータ※には、「有酸素運動とレジスタンストレーニング(スクワットなど)を、中くらいの強度で45分以上おこなうのがベスト」と述べられています。
このデータの対象者は50歳以上なので、子どもの場合はムリをせず、20〜30分の運動をひとつの目安に考えればよいでしょう。運動の種類に関しては継続が重要ですので、野球でもサッカーでも、とにかく好きな運動に取り組んでください。
※参考:UC research: exercise delivers brain boost for over 50s – University of Canberra
◆脳の活性化と運動の関係については、コチラの記事でもお読みいただけます。
4.一緒に料理をつくってみよう
頭と手先の両方を使う料理は、大人だけでなく子どもにとっても最高の脳トレになります。
もちろん低学年のうちは、刃物の扱いには十分注意が必要です。しかし、ムリに包丁を使わなくても、一緒に買い出しにいったり材料を洗ったりするだけで十分脳トレの効果は期待できます。
レシピ動画を見ながら、一緒にアレンジ料理を考えてみるのもいいですね。
「◯◯は、甘い料理が好きだから、少しだけハチミツを足してみようか」
「苦手な人参だけど、可愛いから星の形にしたら食べられるかな?」
このように子どもと一緒にアイデアを考えながら、ワイワイと料理してみてください。子どものなかに、自然と「こんなことをやってみたい」という意識が芽生え、創作力がビンビンに鍛えられるでしょう。
また、料理に参加すると、普段当たり前のように食べている食事が、大変な作業のもとにつくられていることに気づきます。ただ親のつくった料理を食べているだけでは、決して気づかない感謝の気持ちが身につく。
料理は単なる脳トレではなく、情操教育としても優れているのです。
5.塗り絵で右脳を刺激
塗り絵は、高齢者施設で非常に人気のアクティビティです。でも塗り絵の効果は、大人に限定されたものではありません。
子どもは、まだ固定観念に凝り固まっておらず、発想が自由です。大人では想像もつかない色使いで塗り絵をしている子どもをみると、子どもがもつ発想力に無限の可能性を感じます。そういった子どもの「ひらめき」や「創造力」を鍛えてくれるのが、塗り絵の大きなメリットです。
また、塗り絵は脳の広範囲が刺激を受けるのもいいですよね。塗り絵の元絵となる線画をみて、まず後頭葉が、どういう内容の絵なのかを確認します。空間的な位置関係を確認するのは、前頂葉とよばれる部位です。
題材が今までにみたことのものであれば、どういう色なのかを、側頭葉が過去の記憶をリサーチします。内容を把握したら今度は、前頭葉にある前頭前野がプランを立案。そこまでの流れを経て、最後に運動野が色塗りに関する指令を実際に手先へ出すわけです。
たかが塗り絵と思うかもしれませんが、塗り絵は脳全体をまんべんなく使用するので、脳トレとしては本当に優れた方法だと思います。
◆塗り絵と同様の効果が期待できる絵画については、コチラの記事でもお読みいただけます。
6.折り紙や工作で手先を使う
小さな子どもに人気の遊び(脳トレ)といえば、折り紙や工作を挙げる人も多いでしょう。手先を使うのはもちろん、完成図をイメージしながらつくる過程が、右脳をしっかりと鍛えてくれます。
たとえば折り紙は、元々ただの紙です。なんの変哲もない紙が、折りたたみ方次第で動物や乗り物に大変身。これで、子どもの創造性が刺激を受けないわけがありません。
工作も、男子を中心に根強い人気があります。親世代の人たちのなかにも、子どもの頃に割り箸や輪ゴムで作った戦車で遊んだ人も多いのでは。
現在では工作キットが数多く販売されているので、子どものおもちゃとはいえないくらい精度の高い工作が、気軽に楽しめるようになりました。高学年になれば、ダンボールカメラやミニラジオといった、レベルの高い工作キットにも十分対応できます。
価格も、3,000円以内で購入できるキットが多いので、それほど大きな負担にはならないはずです。
7.ゲームは最高の脳トレになりうる
ゲームはあくまでも遊びとして捉えている人が多く、その脳トレ効果はあまりよく知られていません。しかしNintendo Switch「脳を鍛える大人のトレーニング」を監修している川島隆太教授は、自身の研究のなかで、ゲームには脳トレの効果が期待できると明言されています。
たしかにアクションゲームを例に考えてみると、判断力や集中力がなければ、すぐにゲームオーバーになってしまうのは明らかです。また、周りの変化をリサーチしながらプレイヤーの操作をおこなうなど、同時に作業をおこなう「マルチ作業能力」も身につきます。
今流行のオンラインゲームなら、ゲーム参加者とコンタクトを取るうちに、自然とコミュニケーション能力も磨かれていくでしょう。
今は、脳トレ性の強いゲームアプリが、簡単に手に入る時代です。言語系クイズ・計算問題・謎解きゲームなど、子どもが楽しんでできそうなゲームを探してみてください。
◆対戦ゲームについては、コチラの記事でもお読みいただけます。
子どもが脳トレに取り組む際のポイント
どれだけよい脳トレでも、実際に取り組むのはあくまでも子ども自身です。残念ながら、子どもには自主的に脳トレをおこなうという意識はありません。だから、親がうまく子どもを導いてあげないと、子どもの脳トレを習慣化するのは非常に困難です。
今回は、子どもが脳トレに取り組む際のポイントを3点紹介します。脳トレをスタートする前に、ぜひしっかりと頭に入れておいてください。
できるだけ大人も一緒にやってみる
前述のとおり、元来子どもは脳トレに興味などもっていないものです。楽しいからやる、子どもが脳トレをやる理由は、それだけしかありません。だから、もしその脳トレがつまらないと思えば、子どもはすぐに飽きてしまいます。
でも親にすれば、脳トレが子どもを成長させてくれると信じているわけで、なんとか子どもに脳トレを継続させたいのが本音でしょう。であれば、まずはできるだけ大人も子どもと一緒になって、脳トレに取り組んでみてください。
親が一緒になって楽しむ姿をみれば、子どもは自然と熱中してくれるものです。これがもし、子どもに脳トレを押しつけて、親がほかのことをしていたら……
考えてみたら、すぐにわかりますよね。もちろん、これからずっと一緒にやる必要はありません。最初だけでもいいんです。子どもと一緒に取り組む姿勢が、子どもに必ずよい影響を与えますので。
時間制限を設けたほうがよいケースも
学校の勉強と違い、脳トレにはなんの強制力もありません。いつ取り組んでもいいし、いつやめても、本人の自由です。たとえゲームのように遊戯性の強い脳トレであっても、飽きてしまえば、子どもはすぐに脳トレをやめてしまいます。
そういった事態を回避するには、いかに脳トレに飽きさせないようにできるかが、大きなポイントです。
同じ迷路ゲームをやるにしても、時間制限があれば、一気に緊張感が生まれます。そうすれば、なんとかして時間内にクリアーしようという意識が芽生えるため、自然と集中力や判断力が磨かれていくでしょう。
別記事で紹介しているLumosity(ルモシティ)のように、時間制限のある脳トレは数多くあります。いろいろな脳トレを試してみて、気に入ったものがあれば、じっくりと取り組んでみてください。
◆オススメの脳トレアプリについては、コチラの記事でお読みいただけます。
臨界期の脳トレは効果が何倍にもアップ
幼児教育では定説となっている「臨界期」を考慮して脳トレに取り組むと、その効果は何倍にもアップします。
臨界期とは、脳の学習効率がもっとも優れている期間のこと。幼少期を海外で過ごした人が、その言語をしばらく使わなくてもネイティブのように話せるのは、臨界期にその言語をしっかりとインプットしたからです。
以下に、主な能力の臨界期の目安をまとめておきます。
- 言語:9歳まで
- 数学:4歳まで
- 運動:4歳まで
- 音感:4歳まで
- 視覚:8歳まで
上記はあくまでも目安であり、この時期を少しでも超えたら能力が身につかないという意味ではありません。いくつになっても、脳トレをしたほうが、能力は確実にレベルアップします。
ただどうせ脳トレに取り組むなら、できるだけ臨界期におこなうほうが、より効果が期待できるということなのです。臨界期の脳は、吸水性抜群の新品スポンジのようなもの。古くなって吸い込み効率が下がる前に、どんどん脳トレに挑戦していきましょう。
まとめ
本文中でも説明したように、臨界期とよばれる時期に脳トレをすれば、脳は効率よく成長してくれます。もちろん、いくら効率がよくても、子どもは正直。つまらなければ、すぐにやめてしまうでしょう。
せっかくの脳トレなのに途中で挫折することのないよう、今回紹介した脳トレを参考に、ぜひ自分に合った脳トレを探していただければと思います。
なお、私どもが指導する右脳速読も、子どもの脳トレには最適です。右脳を使って創造性豊かな子どもに育てたいとお考えの保護者さまは、ぜひ以下の自宅で受講できるZoom体験会を体験してみてください。