記事の監修
株式会社瞬読 代表取締役山中恵美子
大学卒業後、関西テレビ放送株式会社に勤務。2009年学習塾を開講し3万人の生徒が卒業。
学習効果を上げる方法として速読を取り入れる。これが後の「瞬読」となり生徒が次々と難関校に合格。
2018年瞬読のみの講座が開講し、現在受講生は2,600名を超える。
著書『瞬読』は10万部超えのベストセラーに。その他、TV・ラジオなどメディアにも多数登場し、全国に瞬読を広めている。
これまで日本では、空気を読み、うまく立ち振る舞う協調性が重視されてきたように思います。しかし、長期的な経済縮小が確実視される現在の日本において、なによりも必要とされるのは、間違いなく「創造力」です。
グローバル化やAI技術の急速な普及も相まって、独自性のない人材は、これから非常に厳しい立場に立たされるでしょう。
本記事では、創造力を鍛えるためのポイントや具体的な方法について、さまざまな提案をしていきます。先行きの厳しいビジネス市場で生き残っていくためにも、ぜひ創造力をブラッシュアップしていきましょう。
目次
創造力を鍛えるメリット
海外との競争原理がだいぶ普及してきたとはいえ、現在の日本には、年功序列のような日本式の慣習がまだまだ色濃く残っています。そういう環境に慣れていると、創造力の必要性に対して、正直あまりピンときていないのではないでしょうか。
そこで、まずは創造力を鍛えるメリットを3点ご紹介します。こういったメリットを理解できていないと、創造力のブラッシュアップに対してのモチベーションが保てません。それでは、ひとつずつみていきましょう。
新しいアイデアを仕事に活用
冒頭でもお話ししたように、今や世界中のビジネスパーソンがあなたのライバルです。しかもAIが進化し完全に普及すれば、今までできなかったことが、誰でも簡単にできるようになります。
誰でもできることをやっていたら、ライバルどころかAIに仕事を奪われてしまう。よくも悪くも、間違いなくそういう時代がやってきます。だから、私たちは創造力に磨きをかけて、自分にしかできないことを突き詰めていかなくてはならないのです。
たとえば、今までのスキルや経験に創造力を組み合わせれば、新たな市場価値を生み出せる可能性が高くなります。もっともわかりやすいのは、オリジナリティ溢れる新製品の開発でしょう。自社にしかない魅力ある商品がつくれれば、たくさんの顧客に商品を購入してもらえます。
また、マーケティングやプロモーションなども、クリエイティブなアイデアを活用できる分野のひとつです。たとえば、今やTikTokのようなショートムービーが大流行しており、こういったショートムービーをうまく活用できれば、かなりの宣伝効果が期待できます。
これらはあくまでも一例ですが、どの分野においても創造力を発揮できる余地は必ずあります。新しいアイデアをどんどん仕事に生かしていきましょう。
人間関係の改善
創造力によって生まれた新しいアイデアや解決策は、人間関係の改善にも役立ってくれます。
たとえば、行き詰まった雰囲気のなか、企画会議中になにか斬新なアイデアを提案したとします。そのアイデアをきっかけに仕事がどんどん進み出したとしたら、あなたは同僚や上司から「デキる人」として高い評価を受けるはずです。
そうなれば、今後ビジネスの提案が承認されやすくなるだろうし、重要な仕事を任されることも増えるでしょう。
また創造力の高い人は、柔軟な思考力や斬新なアイデアを受け止めるキャパシティが、通常よりも広いです。自分に独自の考え方があるように、相手にもその人なりの考え方があることを、きちんと理解しているからです。
だから、たとえ自分と異なる意見でも、きちんと受け止めます。そのうえで自分の意見をアピールするので、相手から嫌われないんですね。このように、創造力は、人とのコミュニケーションを円滑にしてくれます。
◆人間関係の重要性については、コチラの記事でもお読みいただけます
自己成長にともなう自己肯定感の向上
今は、SNSなどを通じて他人の動向が簡単にわかってしまう時代です。SNSにはよいところばかりが載せられているとわかってはいても、他人の輝く姿をみると、つい「自分はどうしてダメなんだろう……」と自己否定してしまうものですよね。
ところが、創造力を鍛えている人は、自分の能力や可能性に自信をもっています。他人のことよりも、まず自分自身と向き合うことが重要だとしっかり理解しています。
そのうえで、自分ができることを冷静に分析し、現状を超えるアイデアを考えているわけです。いうなれば、今自分にできるベストを尽くしている。だから、いやでも自己肯定感は高まります。
傲慢になってはいけませんが、自己肯定感は大事ですよね。自分を信じられなければ、本来できるはずのものも、できなくなってしまいます。
創造力を鍛えるためのヒント
のちほど創造力を鍛える方法についてお話ししますが、具体的な方法を実践する前に、知っておきたいポイントがあります。
- 新しいアプローチを試す
- クリティカルシンキング(批判的思考)で考えてみる
- 創造力は既存のアイデアの組み合わせから生まれる
- 刺激的な環境を作る
上記は、どの方法にも共通する大事な考え方になりますので、ときどき読み返しながら、じっくりと取り組んでいただければと思います。
新しいアプローチを試す
創造力を鍛えるには、なによりも固定観念を捨て去ることがスタートです。「こうあるべきだ」「今まで自分はこうやってきた」こういった思い込みは、あなたの創造力の大きな障害物になります。
新しいアイデアは、新しいアプローチからしか生まれません。具体的にどのように新しいアプローチを試せばいいのか迷ってしまう人は、まず「仮説の検証」から取り組んでみてください。
たとえばなにか問題があった場合、その原因をすべて均等に取り扱うのは、正直かなり効率が悪いです。範囲が広すぎて、原因と対策にたどり着くまで、莫大な時間がかかってしまいます。
一方で「これは◯◯が原因ではないか」と仮説を立てて、可能性の高そうなものからひとつずつ検証していけば、結果的に早く解決策がみつかります。「自分ならどうするか」「可能性の高い選択肢はどれか」こういった仮説思考を、ぜひ身につけていきましょう。
クリティカルシンキング(批判的思考)で考えてみる
クリティカルシンキングとは、「これは本当に正しいのか?」という批判的な視点でものごとを捉える思考法のこと。新しいアイデアを考えるために、いちど従来の常識を疑ってみるこのクリティカルシンキングは、非常に理にかなっていると思います。
前述のとおり、現代のビジネスシーンは変化が非常に速く、これまでの成功法則はもはや失敗を招く原因にもなりかねません。もちろん、過去の考え方や手法が適切な場合もたくさんあります。だから、過去の経験と新しい考えの両面を比較して、どちらを採用すべきか見極める力が必要なのです。
はじめてクリティカルシンキングを取り入れる人のために、基本的なステップを以下にまとめておきます。
- 問題の定義
- 前提条件の再確認
- 情報収集
- 論理的な整合性の確認
- 結論
クリティカルシンキングを大まかに説明すると、「前提条件を疑い、情報を集めて、その前提条件の正当性を確認する」基本的にこの作業の繰り返しです。クリティカルシンキングの詳細については、書籍が数多く出版されていますので、ぜひどれか1冊読んでみてください。
◆クリティカルシンキングについては、コチラの記事でもお読みいただけます
創造力は既存のアイデアの組み合わせから生まれる
創造力とは、これまでになかった新しい価値を生み出す能力のことをいいます。新しいアイデアや手法を生み出す創造的な思考は、ビジネスだけでなくプライベートでも大いに役立つでしょう。
ただし、ここまで成熟した社会になると、もはや完全オリジナルのものはほとんど存在しません。そうなると、いかにうまく既存のアイデアを組み合わせられるかが、重要になってきます。
たとえばこれまでただの移動手段であった自動車は、「EV車×インターネット×スマホ」という組み合わせにより、走るエンターテイメントとでもいうべき状況へ急激に舵を切りつつあります。
もし自動車業界が「自動車は故障せずに走れればいい」という固定観念に縛られていたら、このような流れにはなっていないでしょう。
パイロットの大ヒット商品、消せるペン「フリクション」も、「消しゴム×ペン」という既存アイディアの組み合わせから生まれています。
このように、今世の中でヒットしている商品のほとんどは、これまで存在したアイディアの組み合わせでできているのです。
◆発想力の鍛え方については、コチラの記事でお読みいただけます
集中できる環境をつくる
創造力を鍛えるには、なんといっても集中力が大切です。なので、あれこれ考える前に、とにかく集中力を妨げない環境を整えましょう。
まずは、机周りです。いらないものは机の上から撤去して、必要最低限なものだけが目に入る状態にしてください。スマホに関しても、机の上に出しっぱなしはよくありません。電源を切っても、スマホが目に入るだけで集中力が奪われるという研究データもあります。
そういう意味では、窓に向かって机を設置するのは、あまりよい考えではないですね。どうしても外の景色が気になって、集中力をあっさり奪われてしまいますので。音が気になる人は、ノイズキャンセリング機能付きのイヤホンを検討してみてください。
ただし、家のなかに閉じこもっていると、どうしても保守的な思考になりがちです。興味のあるイベントに参加するのもいいし、なにか教室に通うのもよいでしょう。新しい価値観に出会うためにも、ぜひ知らない場所に出かける機会を定期的につくってください。
創造力を鍛えるオススメの方法
創造力を鍛える方法は、ひとつではありません。以下に紹介する4つの方法は、初心者でも簡単に取り組めるものばかりです。気になる方法があれば、ぜひ今日から取り組んでみてください。
メディテーションやリラックス法
適度な緊張感は、私たちに刺激を与えてくれます。ただあまりにも緊張が強いと、プレッシャーが発生して、よいアイデアは生まれません。プレッシャーに苦手意識のある人は、ぜひメディテーション(瞑想)やそのほかのリラックス法を試してみてください。
メディテーションとは、静かに座り、自分の内なる心と対話する行為のこと。メディテーションを習慣化すると、少しずつ心にゆとりが生まれます。そのゆとりが、伸び伸びと自由な発想につながっていくんですね。具体的なリラックス法としては、主に以下のようなものがあります。(メディテーションを除く)
- 呼吸法
- ヨガ
- ヒーリングミュージック
- アーユルベーダ
- 漸進的筋弛緩法
- アロマテラピー
- 各種有酸素運動
創造力を鍛えるという意味では、上記のどれを選んでも問題ありません。ようは、リラックスして、脳のパフォーマンスを最大限活用できれば、どれでもいいのです。
ただし、はじめてリラックス法に取り組む場合、慣れるまでに時間がかかることもよくあります。体の硬い人には、正直ヨガは大変だと思います。ただ座っているだけにみえるメディテーションも、最初はかなりキツイものです。今回紹介したなかから、あくまでもムリなくできる、自分に合った方法を探していただければと思います。
◆メディテーション(瞑想)のメリットについては、コチラの記事でお読みいただけます
モノクローム画の練習
モノクローム画は、文字通り、カラフルな色を一切使いません。色彩に頼らずに、構図や明暗のバランスを追求するのが、モノクローム画なのです。この制限された環境が、あなたに強力な創造力をもたらしてくれます。
当然、必要な道具はシンプルです。手書きであれば、鉛筆・消しゴム・紙以外は、基本的に必要ありません。(投資金額が少ないのは正直ありがたいですね)
次に題材ですが、初心者なら、瓶や野菜といったすぐ手に入るものが無難でしょう。でも題材については、描きたいものを自由に描けばOKです。題材よりも、物の形や質感、光と影の具合いをしっかりと観察するほうが大事なので。
モチーフをよく観察したら、大まかな構図を考えましょう。大きさやバランス、光と影のコントラストを考える過程で、「創造性」「イメージ」「空間把握能力」といった右脳の働きが、鍛えられていきます。
◆右脳を鍛える方法については、コチラの記事でお読みいただけます
DIYに挑戦
DIYは、創造力を鍛えるのに最適な方法のひとつです。自分の手で新しいものをつくるわけですから、考えてみれば当たり前の話ですよね。
まずDIYのメリットですが、DIYに取り組むと、自分で物を作り上げる喜びや達成感が得られます。また、自分が作ったものが周りの人から評価されれば、自信や自己肯定感にもつながるでしょう。こういった感情が積み重なると、また新しいものを生み出そうという、強力なモチベーションになります。
DIYのコツとしては、とにかく最初からムリをしないことです。いきなり自宅のリフォームをしても、おそらくうまくいかずに、自信をなくしてしまいます。最初は、手作りのアクセサリーや手書きのポストカードなど、ごく簡単なものからチャレンジしましょう。
いずれにせよ、DIYでもっとも大切なのは、自分の好みやアイデアを自由に表現することです。自分が作りたいものを自由にイメージし、それを形にする過程で、あなたの創造力が育まれていきます。ぜひ、気軽にDIYを楽しんでください。
ボランティア活動
ボランティア活動は、自分だけでなく、社会的にとても大きな意義をもっています。今までボランティア活動をしたことのない人にとって、ボランティアの場は、新たな刺激を受ける格好の機会です。
普通に生活していたらあまり接点のない、高齢者や障害者との交流が増え、自分が今まで感じたことのない新たな価値観に出会えるかもしれません。
合わせて、ボランティア活動は、他人とのチームワークを学ぶ貴重なチャンスでもあります。自分ひとりでできることには限界があり、協力することではじめて達成できることがある。そういう経験が、きっとあなたの創造力に大きな影響を与えてくれるはずです。
また、ボランティア活動で感じた「自分にも何か役に立つことができた」という実感は、自己肯定感を高めてくれます。自己肯定感が高くなれば、自分自身の能力にも自信がついて、その結果より創造的な活動に取り組もうという気持ちが沸き上がってくるでしょう。
まとめ
今回は、あえてビジネス色を排除して、誰でも取り組みやすい方法を紹介しました。これなら、あまり気負わずに、今日からでも取り組めるはずです。
残念ながら、創造力は数日少し鍛えたくらいで、急激に伸びるものではありません。ぜひ、長期的な視点をもって、じっくりと鍛えてください。
なお、創造力アップにオススメのトレーニング「右脳脳トレ」については、以下のサイトで詳細を確認いただけます。