記事の監修
株式会社瞬読 代表取締役山中恵美子
大学卒業後、関西テレビ放送株式会社に勤務。2009年学習塾を開講し3万人の生徒が卒業。
学習効果を上げる方法として速読を取り入れる。これが後の「瞬読」となり生徒が次々と難関校に合格。
2018年瞬読のみの講座が開講し、現在受講生は2,600名を超える。
著書『瞬読』は10万部超えのベストセラーに。その他、TV・ラジオなどメディアにも多数登場し、全国に瞬読を広めている。
日々の忙しさや情報過多、外部からのプレッシャーなど、さまざまな要因によって、私たちの思考はすぐに停止してしまいます。面倒くさいことを考えるよりも、普段のまま同じことを繰り返すほうが、圧倒的に楽だからです。
しかし、長期間思考停止状態を放置しておけば、自分の光り輝く可能性を自ら潰してしまうことにもなりかねません。
そこで本記事では、思考停止の主な原因と、その改善方法を具体的に紹介していきます。今回紹介する方法をいくつか試すうちに、きっとあなたの人生はポジティブな方向に大きく動いていくはずです。
目次
思考停止の原因
思考停止を改善するには、まず思考停止の原因を理解することがスタートです。これから紹介する原因にひとつでも当てはまるようなら、ぜひあとから紹介する方法に取り組んでみてください。
決めつけが多い
私たちは多かれ少なかれ、どうしてもものごとを決めつけてしまいがちです。たとえば、「あの会社はいつも◯◯円の契約をしてくれるから来月も大丈夫だろう」とか、「私は数学が苦手だから、どうせこの問題は解けない」といった感じに、思考を停止してしまいます。
なぜ、多くの人が簡単に決めつけをしてしまうのでしょうか。答えは簡単。決めつければ深く考える必要がなくて、自分が楽だからです。しかし、過去の経験や偏見から思考停止ばかりしていたら、新しい価値観や時代の変化に対応できなくなってしまいます。
思考停止を止めて、さまざま工夫や努力をすれば、来月はさらに大きな契約が取れるかもしれません。つまずいた箇所をもういちど勉強すれば、スラスラと問題が解ける可能性もあるでしょう。
思考停止を克服するためには、このような決めつけを意識的に見直し、事実や現状に基づいた客観的な判断を心がけることが大切です。
情報が多すぎて正確な判断ができない
スマートフォンの普及にともない、場所や時間を問わず、いつでも必要な情報が手に入るようになりました。この利便性をいちど味わってしまえば、もはやスマートフォンやインターネットのない時代には戻れません。
しかしあまりにも情報が多すぎて、何が本当に必要なのか、どの情報が正しいのか、多くの人が判断できなくなりつつあります。
情報過多になると、脳はそのすべての情報を処理しようとするため、どうしても疲労やストレスが生じやすくなるものです。同時に、重要な情報とそうではない情報の区別がうまくできず、意思決定に迷いが生じやすくなるという欠点もみえてきます。
さらに、誤った情報に基づいて判断を下すリスクもあるので、そうなれば当然「いつもどおりでいこう」という守りの思考が強くなってくるでしょう。
情報過多をうまく乗り切るには、クリティカルシンキングが非常に有効です。クリティカルシンキングについては、のちほど詳しく解説します。
疲労やストレスが蓄積している
疲労やストレスも、思考停止の大きな原因となり得ます。単純に考えれば、疲れてストレスでイライラしている人に、クリエイティブな発想はむずかしいでしょう。
実際に、どのくらいの人がストレスに悩んでいるか、厚生労働省のデータを調べてみました。令和4年度健康実態調査結果の報告※によると、男女平均75%(男性978人、女性535人)もの人から、「日常生活に悩みやストレスがある」と回答があったそうです。
※画像引用:令和4年度 健康実態調査結果の報告
ストレスの原因には、精神的・肉体的なものがあり、人によって大きく異なります。前述の濃密な人間関係のように、なかなか改善がむずかしいケースも少なくないでしょう。しかし、ほとんどの疲労は、適切な休息でおおむね回復できます。
問題はストレスですね。ストレスはよく眠れば回復するといった単純な話ではなく、ストレスの原因を特定し、なんらかの方法で対処する必要があります。
もちろん、瞑想や深呼吸・適度な運動など、ストレスを和らげる方法も数多く存在します。慢性的にストレスを感じているなら、まずはこういったリラクセーション効果のある方法に取り組んでみるのも、非常によい考えです。
◆オススメのリラクセーションについては、コチラの記事でお読みいただけます
周囲に影響されすぎている
私たちは、よくも悪くも、他者との関わりの中で生きています。そのため、友人・家族・同僚の考え方や態度は、私たちの考えや行動に大きな影響を与えることが多いです。
人から影響を受けること自体は決して悪いことではないのですが、あまりにも周囲の意見や雰囲気に振り回されてしまうと、自分の本当の意思を見失ってしまいかねません。いわゆる、同調圧力ですね。
こうした状況を回避するには、とにかくほかの人と適度な距離感を保つことに尽きます。他者の意見を尊重する一方で、自分の価値観や意見をしっかりと守る意識が必要になってくるでしょう。
あまりにも干渉してくる人がいれば、場合によっては距離を置く冷静な判断も必要になってくるかもしれません。それくらい、「◯◯しなければいけない」「こうするべきだ」という周囲の影響は大きいのです。
変化が怖い
人は生まれながらにして、安定を求める生き物です。日常のルーチンや馴染みのある環境は、私たちに安心感をもたらしてくれます。
しかし、ルーチンワークの多さは、思考停止の証明です。あまりにも繰り返しの多い生活は、楽な反面、私たちに「変化に対する恐怖心」をもたらします。
「よくわからないけど、なんか怖そうだな」「失敗したらどうなるんだろうか」このように感じてしまえば、当然ながら変化を乗り切ろうという気概は生まれにくく、変化から逃げ出そうとする人が増えます。
だから、思考停止して、現状にしがみつこうとするわけです。こうなってしまうと、まさに負のループですよね。私たちは、なんとかしてこの負のループを抜け出さなければなりません。
これはオススメ!思考停止の改善方法
思考停止の原因が明確になったところで、いよいよ思考停止の改善方法を紹介していきます。もちろん、全部いっぺんにやる必要はないので、まずはどれかひとつに絞って取り組んでみてください。
「自分だったら……」と考えるクセをつける
日常的に出会うさまざまな状況に対して、「もし自分だったらどうすればいいだろうか?」と考えるクセをつけてみてください。もちろん、最初はうまくいかないかもしれませんが、自動的に自分ごととして考えられるようになれば、もう思考停止からの脱出は目前です。
なんでも自分ごととして考えてみる訓練を続けるうちに、自然と当事者の心情や背景にある事情に対して、想像・共感ができるようになっていくでしょう。そうすると、他者とのコミュニケーションも円滑になり、対人関係のトラブルも起こりにくくなります。
前述のとおり、ストレスは思考停止の大きな原因のひとつです。対人関係のトラブルが減れば、ストレスも減り、じっくりと考える精神的ゆとりが生まれます。ぜひ、今日から自分ごととして考えるトレーニングに取り組んでみてください。
長期的な視点で計画を立てる
目標がない無気力な生活が続くと、どうしても思考停止が起こりやすくなります。もし、「最近なんだかつまらないな……」と感じることが増えたなら、なにか大きめの目標を立て、目標の実現に向けた長期的な計画を考えてみましょう。
「◯◯大学に合格する」「海外生活に向けて英語をマスターする」「売上を2倍にする」目標は、どのようなものでも構いません。ポイントは、何を達成したいのか、そのためにはどんなステップが必要なのかを明確にすること。
短期視点しかないと、どうしても対応がその場限りのものになってしまいます。一方、長期的な計画を立てておけば、日々の現状に対していつもと違う視点から、適切な対応ができるようになってくるはずです。
クリティカルシンキングを身につける
クリティカルシンキング、つまり批判的思考は、情報を受け入れる前にその信頼性を問いかける能力です。現代社会は過剰なほど情報が溢れており、その中から正確で信頼性の高い情報を選び出す能力は、本当に重要になってきます。
クリティカルシンキングを習慣化できれば、感情や先入観に左右されず、客観的かつ論理的にものごとを判断できるようになるでしょう。
具体的には、とにかく「前提を疑うこと」からはじめていきます。
「なぜそうなるの?」
「本当にそれは必要?」
「少し変更すればもっとよくなるんじゃない」
「別な考え方もあるかもしれない」
こういう疑いの視点をもつと、別な方向性が見えてくることも案外多いものです。
誤解のないようにお伝えしておきますが、クリティカルシンキングは、決して批判が目的ではありません。疑問点を通して、誰もが見落としがちな「別な視点」をあぶり出す作業が、クリティカルシンキングなのです。
◆クリティカルシンキングについては、コチラの記事でもお読みいただけます
定期的に書き出して頭のなかを整理する
私たちの頭の中は、日常のできごとや新しい情報、はたまた嬉しい・嫌だといった感情まで、非常にたくさんの情報で常に満杯です。なにかひとつのことを判断するにも、頭のなかが乱雑だと情報が交錯してしまい、適切な判断が下せません。
そんなときは、いったん頭のなかをすべて書き出してみましょう。仕事の情報・プライベート情報・感情・目標など、頭のなかの情報を紙の上にすべて吐き出してしまうのです。そうすると、脳にスペースが空き、新しいことを考える余裕が生まれます。
もちろん、手帳やノートではなく、デジタルデバイスを利用しても構いません。とにかく、古い情報を整理して脳に新たなスペースをつくるのが重要です。
ある程度頭の中身を書き出したら、今度は、「今日学んだ5つのこと」「されて嬉しかったのは?」というように、なにかしらテーマを決めて書くのもいいと思います。
この自分の思考の書き出しについては、以前別記事でジュリア・キャメロンさんの書籍を紹介しています。よかったら、そちらの記事にも目を通してみてください。
◆思考の書き出しについては、コチラの記事でもお読みいただけます
問題を分解して段階的にアプローチする
大きな問題や複雑な課題に直面したとき、私たちの頭は混乱し、思考が停止してしまうことがしばしばあります。ぱっとみて、自分の能力では解決がむずかしいと感じると、どうしていいかわからずに思考停止してしまうのでしょうね。
こういった思考停止状態を打破するには、問題を一つの大きな塊として捉えるのではなく、こまかく分類してひとつずつ順番にアプローチするのがオススメです。
複雑そうにみえる問題も、こまかく分解してみれば、案外シンプルなもの。原因とやるべき課題の分析も、おそらくそれほど苦労せずにできるはずです。
こういった手法は、日常生活だけでなく、仕事のマネジメントやタスク管理にも応用できます。「困ったら、状況をこまかくわけて考える」このルールを、ぜひ覚えておいてください。
定期的に違う環境に身を置いてみる
「変化が怖い」でもお話したように、ルーチンワークは思考の柔軟性を少しずつ奪っていきます。毎日会社に通勤して、いつも同じメンバーで仕事をする。休日は家族と過ごし、たまに友達と食事をするくらい。働く仲間や家族・友人との付き合いは、もちろんとても大切です。
しかし、いつも同じ人と同じことばかりしていると、考え方や行動が固定化されてしまいます。私たちの脳は、新しい経験や刺激によって活性化され、創造性や問題解決能力が磨かれていくのです。
ぜひ、いつもと違う環境で過ごす時間をつくってください。趣味のサークル・資格の勉強会・スポーツジム・ボランティアなど、参加する場はなんでも構いません。思考停止の改善が目的なので、とにかく違う価値観に触れる機会を増やすのが重要です。
そういう意味でいうと、ずっと会っていない古い友人に連絡を取ってみるのもいいでしょう。昔と変化した今の友人の考え方や行動をみて、大きな刺激がもらえるかもしれません。
まとめ
思考停止の原因は、決めつけや情報過多など、本当に人それぞれ違います。もちろん、原因はひとつだけではなく、さまざまな要因が複雑に絡み合って、思考停止に至るわけです。
原因がなんであれ、今回紹介した改善方法に取り組めば、必ずなんらかの変化が自分のなかに現われます。まずは、どれか気になる方法から試してみてください。