記事の監修
株式会社瞬読 代表取締役山中恵美子
大学卒業後、関西テレビ放送株式会社に勤務。2009年学習塾を開講し3万人の生徒が卒業。
学習効果を上げる方法として速読を取り入れる。これが後の「瞬読」となり生徒が次々と難関校に合格。
2018年瞬読のみの講座が開講し、現在受講生は2,600名を超える。
著書『瞬読』は10万部超えのベストセラーに。その他、TV・ラジオなどメディアにも多数登場し、全国に瞬読を広めている。
あなたの職場や学校に、驚くほど記憶力のよい人がいませんか?
そういう人を見ると、「自分はすぐに忘れてしまうのに、なぜあの人ばかり記憶力がいいのだろう……」と、つい比較して気持ちが落ち込んでしまいますよね。
でも、大丈夫です。記憶力に自信がないなら、記憶力がよい人の真似をすればいいのです。今回の記事では、記憶力がいい人の特徴と記憶力を高める方法をご紹介します。記憶力を改善したい人は、ぜひ参考にしてください。
目次
記憶力がいい人の共通点とは?
記憶力がいい人には、数多くの共通点が見受けられます。今回は4つの特徴を解説していくので、どういった点を真似すればよいのか、しっかりと確認しておきましょう。
規則正しい生活習慣を心がけている
記憶力がいい人は、規則正しい生活習慣を非常に大切にしているものです。睡眠不足は、記憶力を著しく低下させるので、できるだけ毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きるように心がけています。
食事についても、栄養バランスに気を使い、お昼にカツ丼とラーメンをかっこむなどということはほとんどありません。糖質を過剰摂取すると、集中力や判断力・記憶力といった重要な認知機能が低下することを知っているからです。
さらに、週に2〜3回はジムにいき、体を鍛えている人が多いです。適度な運動を習慣化すると血流がよくなり、脳に新鮮な酸素と栄養が運ばれやすくなります。
もちろん、脳に対する効果だけを期待して運動をしているわけではないでしょう。でも、結果的に運動が記憶力によい影響を及ぼしているのは間違いありません。
記憶力を改善したいなら、まずは生活習慣の乱れを修正するのが最優先です。ぜひ、こういったよい生活習慣を真似していきましょう。
◆生活習慣改善のポイントについては、コチラの記事でもお読みいただけます
新しいことに対して抵抗感がない
記憶力がいい人は、新しいことへの挑戦を怖がりません。だから面白そうだと思えば、やったことのないことでも、ためらいなく挑戦します。勉強や仕事に有益な方法を耳にすれば、まずは試してみてから判断する柔軟性があるんですね。
いつも同じような人と会い、同じようなことばかりしていると、脳は働きを抑制します。むずかしいことを考えなくてもこなせてしまうので、脳が省エネモードに入ってしまうわけです。
しかし、新しい挑戦や知的な活動が、記憶力と認知力を引き上げるという研究データ※も数多くあります。私たちは、失敗への恐怖や怠惰な心を跳ね除けて、もっともっと新しいチャレンジをおこなうべきです。
とはいっても、なにから取り組めばわからないという人は、なにか新しい趣味への取り組みをオススメします。ゴルフ・ギター・英語学習など、自分の好きなことを今すぐはじめてみましょう。きっと、ワクワクするような刺激を受けて、脳の働きが活性化するはずです。
※参考: When it comes to keeping our brains young, we need to rise to new challenges
◆脳が活性化するオススメの趣味については、コチラの記事でもお読みいただけます
覚えられないという意識がそもそもない
記憶力がいい人は、そもそも覚えられないという意識がありません。彼らは「自分は必ず覚えられる」と信じているので、自信をもって淡々と学習に取り組みます。こういったポジティブな考え方は、よい記憶力を手に入れるうえで非常に大切です。
たとえば、テスト勉強をするときに「どうせ覚えられない」と思っていたら、本当に覚えられなくなってしまうでしょう。しかし「これなら覚えられる」と思い込めば、不思議と内容が頭に入ってきます。
また、記憶力がいい人は、失敗しても気にしません。一度で覚えられないのは当たり前。ペンキ塗りのように、「何度も繰り返し知識を上塗りすると記憶が定着しやすい」という記憶のしくみを、きちんと理解しています。
記憶力に不安のある人は、「何回も繰り返せば必ず覚えられる」というポジティブな意識をぜひ見習うようにしたいですね。
情報の選別が上手い
記憶力がいい人は、必要な情報とそうでない情報を上手に選別する力をもっています。この力がないと、情報を探すだけで時間を消費し、覚えるための時間が不足します。情報が溢れる現代社会では、このスキルは非常に重要です。
たとえば、「効率的な勉強法」をネットで検索すると、何十万件もヒットします。すべての情報に目を通すのは不可能なので、多くの人は上位の記事をいくつかチェックするでしょう。
しかし、上位表示されているからといって、その情報が必ずしも正しいとは限りません。専門家が書いたものであっても、別な専門家がまったく逆の意見を述べているケースもよくあります。記憶力がいい人は、こうした現実を理解し、情報選別に自分なりの判断基準をもっています。
信頼できる情報発信者を決めておく、必ずエビデンスをチェックするなど、自分なりの基準をもって情報を選別しましょう。そうすることで、インプットした情報を記憶するための時間と労力を効率的に使えます。
記憶力を高めるオススメの方法
記憶力がいい人は、自然と効率のよいインプット方法を身につけているものです。あくまでも一例になりますが、ぜひ取り入れたいオススメの方法を6つ紹介します。
復習の回数を増やす
記憶力を高めるには、とにかく復習の回数を増やすのが基本です。情報量にもよりますが、どれだけポテンシャルの高い人でも、1回ですべての内容を覚えるのはほぼ不可能です。
カナダのウォータールー大学の研究※では、人は1か月経つと覚えた内容をほぼすべて忘れてしまうと述べられています。
「えっ、それならやっても意味がないじゃないか……」と思ったかもしれません。でも、安心してください。同研究では、以下のタイミングで復習をおこなえば、最初にインプットした内容をほぼ100%維持できるとも述べています。
- 第1回目:24時間後に10分間
- 第2回目:7日後に5分間
- 第3回目:30日後に2〜4分間
1回で覚えようとせず、繰り返し少しずつ記憶に残る量を増やしていく。そういったイメージで復習に取り組めば、脳に記憶が定着しやすくなります。復習の回数については、ご自身の理解度に合わせて臨機応変に対応してください。
※参考: Curve of Forgetting | Campus Wellness | University of Waterloo
◆最適な復習の頻度(スペースド・リピティション)については、コチラの記事でもお読みいただけます
アクティブリコールを取り入れる
記憶力をアップさせたいなら、アクティブリコールをオススメします。アクティブリコールとは、覚えたことを積極的に思い出すトレーニングです。
なにかを学ぶ際に、まずはテキストを読む人が多いと思います。しかし、ただテキストを読んでも、記憶の定着度はそれほど高くありません。ところが、以下のように自分で積極的にインプットした内容と再接触する機会をつくると、記憶の定着度は大きく向上します。
- テキストを読んだあとに、教材を閉じて説明してみる
- 内容を要約して書き出す
- 定期的に理解度テストをおこなう
人間は誰しも、読んだ内容を100%理解できたと思いがちです。ところが、テキストを見ないで説明しようとすると、ほとんど言葉が出てこないことに気づきます。この「わかったつもり」を解消してくれる最適な方法が、アクティブリコールなのです。
◆アクティブリコールについては、コチラの記事でもお読みいただけます
情報を感情と結びつけて覚える
情報を感情と結びつけて覚えられれば、記憶力は一気に高まります。感情が絡むと、脳はその情報を重要だと判断し、より深く記憶に刻み込もうとするからです。
たとえば、歴史の授業で戦国時代について勉強したら、ただ単に覚えるだけではなく、自分がその時代に生きていたらどう感じるかを想像してみてください。
「もし戦国時代に生きていたら、毎日がとても緊張して怖かっただろうな」と思うだけで、恐怖や不安と関係の深い扁桃体が活発に働き出し、その情報が記憶に残りやすくなります。
もちろん、恐怖や不安はストレスを生み出しますから、そういったネガティブな感情を頻繁に利用するのはオススメできません。それよりは、嬉しい・楽しいといったプラスの感情をうまく活用していくのが基本になります。
そういう意味では、友達と一緒にクイズ形式で勉強内容を確認しあうといった方法も非常にオススメです。
こまめにメモを取る
忘れっぽい人は、ぜひメモを活用しましょう。メモには大きく以下のようなメリットがあります。
- 思考が明確になる
- あとから確認が容易
- ほかのことに集中できる
- 同じことを何回も考えなくて済む
ただテキストを読んだり、説明を聞いたりしても、残念ながらすぐに忘れてしまいがちです。重要なポイントやわからない点をメモしておけば、あとから復習したり、誰かに質問したりといった対応が簡単にできます。
メモを取らないと、頭のなかで覚えておかなければならず、ほかのことに集中できません。その点メモに残しておけば、いったん忘れてしまって構わないので、ワーキングメモリにスペースが確保できます。
もちろん、メモの取りっぱなしは意味がありません。メモの内容を確認する時間は、必ず確保してください。記憶の定着は就寝中におこなわれるため、メモの内容を寝る前にサッと確認するのも非常にオススメです。
自分の言葉に置き換えてみる
前述のアクティブリコールで、内容を要約して書き出すという例を紹介しました。要約というのは、テキストの内容をただ短縮しただけでは、ほとんど意味がありません。ぜひ、自分の言葉で置き換えるように意識してみてください。
テキストはその性質上、硬い表現が多いため、どうしても覚えにくいものです。だから、自分の言葉でわかりやすく翻訳してあげると、記憶の定着度は大きくアップします。
また、自分の言葉に置き換えるには、テキストの内容をしっかりと理解しておかなければなりません。自分なりに要約することで、理解度が向上するのも置き換えの大きなメリットです。
もちろん、自分の置き換えが間違っていないか、常に検証する意識は必要になります。勝手に違う意味に要約したら、間違って記憶してしまうことになるので、その点だけは注意が必要です。
記憶法を活用する
円周率を何万桁も記憶している記憶の達人は、必ずといっていいほど、なんらかの記憶法を取り入れています。記憶法とは、覚えたい情報を効果的に記憶するためのテクニックです。いろいろな種類の記憶法がありますが、今回はストーリー法と場所法を簡単にご紹介します。
まず、ストーリー法ですが、これは覚えたい情報をひとつの物語にする記憶法です。たとえば、買い物リストを覚えたいとき、「リンゴを食べていたら、ゴリラがバナナをくれたので、一緒にヨーグルトの泉に出かけた」というように、アイテムをつなげて物語にします。
そんなことはあり得ないと思うかもしれませんが、ストーリーの内容は現実離れしているほうが、記憶に残りやすいのです。あまりこまかいことは気にせず、自由にストーリーを考えてください。
場所法は、覚えたい情報を自分のよく知っている場所に配置して、覚えやすくする方法です。たとえば、自分の部屋を思い浮かべて、「机の上に織田信長」「ベッドの上に石田三成」「本棚には豊臣秀吉」といった具合に歴史上の武将を配置します。
あとは、机で戦略を考える織田信長・ベッドでぐったりする石田三成など、インパクトのあるイメージ像をつくり上げるだけでOKです。イメージする場所と内容が決まり、頭のなかで部屋を巡回すれば、自然と武将の名前が浮かんでくるようになります。
ほかにも記憶法は数多くあるので、別記事を参照して、自分に合う方法を取り入れてみてください。
◆記憶法については、コチラの記事でもお読みいただけます
まとめ
記憶力を高めるには、記憶力がいい人の真似をすること、そして適切な方法を取り入れるのが1番です。周りに記憶力に優れた人がいれば、じっくりと観察して、よいところを真似してみてください。
また、真似をするだけでなく、今回紹介したアクティブリコールや記憶法などをぜひ積極的に取り入れていきましょう。そうすれば、あなたの記憶力は間違いなくレベルアップするはずです。