記事の監修
株式会社瞬読 代表取締役山中恵美子
大学卒業後、関西テレビ放送株式会社に勤務。2009年学習塾を開講し3万人の生徒が卒業。
学習効果を上げる方法として速読を取り入れる。これが後の「瞬読」となり生徒が次々と難関校に合格。
2018年瞬読のみの講座が開講し、現在受講生は2,600名を超える。
著書『瞬読』は10万部超えのベストセラーに。その他、TV・ラジオなどメディアにも多数登場し、全国に瞬読を広めている。
普段ほとんど意識することのない、空間認識能力。しかし、空間認識能力がレベルアップすれば、日常生活や仕事のパフォーマンス向上に繋がります。
当記事では、立体パズル・3Dゲーム・瞑想など、楽しみながら効果的に空間認識能力を鍛える9つの方法を紹介します。最後まで読めば、あなたに最適なトレーニング方法が必ず見つかるはずです。レベルアップした空間認識能力を武器に、仕事や勉強でどんどん結果を出していきましょう。
目次
いま空間認識能力が注目されるその理由とは
空間認識能力が注目されている最大の理由は、ひと言でいえば、現代社会で空間認識能力を活用できる技術が急速に普及してきたからです。
一時期ポケモンGOが、社会的ブームとなりましたよね。ポケモンGOは「AR」とよばれる仮想空間技術を使っており、現実世界と仮想世界が重なる新しい空間世界に、当時誰もが驚いたものでした。
またゴーグルを装着して、その場にいながら仮想空間内を360°自由に動き回れる感覚を味わえる、「VR」という技術も近年かなり普及しつつあります。
世界中で評価されるゲーム、クリエイティブ業界でも、2Dから3Dへ、技術の移行がはじまっています。立体的にものごとを捉える訓練をしていない人は、これからクリエイターやデザイナーといった人気の仕事に就くことはむずかしくなっていくでしょう。
さらに、空間認識能力の高い人は、勉強や学習や仕事においても大きな成果を出しやすい傾向にあります。物理的な空間ではなく、もっと広い意味で、立体的多角的にものごとを分析判断できるからです。
このように、空間認識能力の有無によって、これからの人生(とくに仕事)の選択肢が大きく変わってきます。だから今、空間認識能力が注目されているのです。
できるだけ早いうちから取り組みたい!空間認識能力を鍛える9つの方法
さいわいなことに、空間認識能力を鍛えれば、しっかりとレベルアップしてくれます。もちろん、1日や2日では結果が出るはずもなく、少なくとも半年は継続して鍛える必要があるでしょう。今回は誰でも続けられるオススメの方法を9つ紹介します。
1. 立体パズルや立体模型をつくる
立体パズルや立体模型作成は、空間認識能力を鍛える効果的な方法のひとつです。立体パズルは、立方体や球形などの形状をしたピースを組み合わせて、特定の形に仕上げるゲームです。
立体模型でもっとも有名なのは、プラモデルでしょう。ペーパークラフトやプラスチック製ブロック玩具も、人気があります。とくに子どもは、プラスチック製ブロック玩具が大好きですよね。
どの方法を選ぶにせよ、こういった手先を使って立体を組み立てる作業は、私たちの空間認識能力を思い切り鍛えてくれます。こまかいパーツをひとつずつ丁寧に組み立てるので、立体がどのように構成されているのかを瞬時に把握できるようになるんです。
米バージニア大学のJamie J. Jirout助教授によれば、子どもの空間的思考は、ブロックでの組み立てやパズルの組み立てなど、立体的な素材での遊びから発達するそうです※。小さな子どもがいる家庭なら、ぜひ家族みんなで立体パズルや立体模型にチャレンジしてみてください。
※参考:Jamie J. Jirout | University of Virginia – School of Education and Human Development
2. 3Dゲームをプレイする
3Dゲームは、空間認識能力を鍛えるのに最適ともいえるアクティビティです。3Dゲームでは、プレイヤーが仮想の3次元空間を操作し、目標達成や問題解決を目指します。
今や数多くの3Dゲームが発売されていますが、「マインクラフト」や「ポータル」といった有名ゲームは、やはりクオリティが非常に高いです。
「マインクラフト」は、小学生に大人気の、3Dブロックゲーム。草原や砂漠など荒涼とした世界のなかで、ブロックを組み合わせて建物や道具を作り、サバイバル生活をしていきます。
また「ポータル」は、空間移動やオブジェクトの配置を利用してパズルを解くゲームで、名作中の名作と評価が非常に高いです。
いくら空間能力が鍛えられるといっても、ゲーム自体がおもしろくなければすぐに飽きてしまいますからね。その点、こういった古典的な名作には、やはり支持され続けるだけの魅力があります。楽しみながら空間認識能力を鍛えたい人に、こういった3Dゲームはかなりオススメです。
3. ボードゲームをする
ボードゲームは、3Dゲームにはないアナログな楽しさを味わいながら、空間認識能力を鍛えられます。ひと言でボードゲームといっても、大きく「戦略系」と「パズル系」の2種類があるので、まずは自分に合いそうなほうから試してみるとよいでしょう。
戦略系の代表的なゲームとしては、「チェス」や「将棋」が有名です。両者には立体的な視点はなく、代わりに平面的な空間認識能力が求められます。対戦ものなので、相手のコマの強さや位置関係を把握し、フィールド全体を考えて戦略を練らないと、なかなか勝てません。
パズル系なら、「ウボンゴ (Ubongo)」や「ディメンション(Dimension)」がオススメです。
ウボンゴは、テトリスのようなL字型やコの字型のピースを使い、お題に沿ってパズルを完成させます。お題が毎回変わるし、時間制限があるので、短時間に正しい形の組み合わせを見つけ出すよい訓練になります。
ディメンションは、カードの指示に従い、5色の異なるボールを積み上げていくシンプルなゲームです。ただし、「青のボールを使えるのは1個だけ」「白とオレンジは接してはいけない」といった厳しい指示どおりに正解を見つけるのは、なかなか大変です。
でも、このカードの指示による制限があるから、脳はより強い刺激を受けるんですよね。空間把握能力だけでなく、直感力や論理的思考や集中力が問われる、個人的にイチオシの脳トレゲームです。
4. 好きなスポーツに取り組む
空間認識能力を鍛えるなら、バスケットボールやサッカーといったスポーツも、かなりオススメです。多くのスポーツでは、ボールや選手の位置を把握して、それらの動きや速度を予測しないとうまく対応できないため、自然と空間全体を意識するようになります。
バスケットボールでは、選手の位置関係やボールの動きを素早く判断し、パスやシュートのタイミングを計る必要があります。サッカーも同様に、105m×68m(FIFA基準)のフィールドいっぱいに広がった選手のポジションを考えながら、一瞬で次の行動に移らなければなりません。
しかも野球やテニスなど、どんな球技も、高さまで計算してプレイすることが要求されます。そう考えると、スポーツって、本当に頭を使う競技ですよね。
もちろんスポーツは、心身もしっかりと鍛えてくれます。スポーツが習慣化すれば、強靭な肉体が自分に自信を与えてくれ、少々のことでは動じないタフなメンタルも手に入るでしょう。
◆スポーツが脳に与える影響については、コチラの記事でもお読みいただけます
5. 瞑想をして内なる自分と向き合う
瞑想が、空間認識能力に効果的と聞けば、不思議に思う人もきっと多いでしょう。たしかに瞑想には、スポーツや絵画のような、空間認識能力との明確な関係性が見えにくいですよね。
瞑想の種類は、世界中で数百種類もあるといわれていますが、どの瞑想法もやることはほぼ同じです。目をつぶって座り、心を落ち着かせ、内なる自分と向き合います。
しかし、空間認識能力を鍛えるのが目的なら、「ボディスキャン瞑想」を断然オススメします。ボディスキャン瞑想は有名なマインドフルネス瞑想の一種で、頭から足まで体の各部位に意識を向け、体と心をリラックスさせる瞑想法です。
普段私たちは、自分の体の存在をほとんど意識していないでしょう。ボディスキャン瞑想中は、手足の先から頭のてっぺんまで、意識が体全体に向かいます。このボディスキャンを習慣化すると、体の位置感覚が研ぎ澄まされてくるんです。
広い空間のなかの、どういうポジションに今自分が存在しているのか、そういう意識が私たちの空間認識能力を磨き上げてくれます。興味をもった人は、ぜひマインドフルネス関連の書籍を読んでみてください。
◆メディテーション(瞑想)のメリットについては、コチラの記事でもお読みいただけます
6. ダンスを習う
ダンスをやったことのない人は、とにかく自分の体を動かすことに精一杯なはず。ただ、早い段階で空間の使い方や他人との位置関係を考えながら踊れるようにしないと、いつも誰かとぶつかってばかりという状況になってしまいます。
でも、安心してください。ダンスがうまくなれば、自然と空間認識能力もレベルアップします。クラシックバレエ・ヒップホップ・社交ダンス、ダンスの種類はなんでもOKです。どのようなダンスでも、成長とともに、空間の使い方がわかってきますので。
空間認識能力を鍛えるという意味では、パートナーと一緒に踊る社交ダンスはオススメです。常にパートナーとの位置取りを考えながら踊るので、より深く位置取りや自分の体のサイズ感に気を配るようになります。
また、ダンスは身体の柔軟性や筋力も向上させ、心身の健康を促進してくれます。体を動かしたいけど球技はちょっと、という人にダンスはうってつけです。
7. 地図を使って平面から立体をイメージする
地図を使って平面から立体をイメージするのも、空間認識能力を鍛えるとてもよい方法です。そもそも地図は、実際の地形や建物を平面的に表現したものであり、正確な内容を知るためには、地図上の情報を立体的な空間に変換する能力が求められます。
以前別記事で、地図アプリを使った仮想旅行をオススメしました。平面地図と実際の画像を簡単に比較できるので、自宅にいながら旅行気分を味わえます。
ただ空間認識能力を鍛えたいなら、地図上でルートをたどる際に、出発地から目的地までの道のりや交差点・曲がり角をイメージしながら進んでください。そうしないと、たんに「あー、きれいな街並みだね」で終わってしまいます。
平面から立体への変換に重きを置く場合、「地形図を用いたハイキング」もいいですね。地図上の等高線や記号を解釈し、実際の立体的な地形をイメージしながら歩けば、間違いなく空間認識能力は向上します。
お金もかからず、自宅でいつでも気軽にできますので、ぜひお時間のある際にでもいちどやってみてください。想像以上におもしろくて、きっとハマると思いますよ。
◆地図を使った脳トレについては、コチラの記事でもお読みいただけます
8. 絵を描く(とくにデッサン)
絵を描くこと、とくにデッサンは、空間認識能力を鍛える効果が非常に高いといわれています。デッサンとは、対象物を観察し、その形状や構造、陰影を正確に描写する技法です。描写する対象はなんでもよいので、花瓶や果物といった「静物画」や「風景画」「人物画」など、好きなものを選んでください。
対象を問わずデッサンでは、物体の形状や配置・光の当たり具合を観察し、きちんと立体感を表現しなければなりません。対象物と距離のある風景画の場合、遠近法や透視法を使い、奥行きの表現にも留意する必要があるでしょう。
人体画はとにかくポーズが複雑なので、今回紹介した対象物のなかでは、もっともむずかしいかもしれません。
いずれにしても、デッサンを繰り返し練習すれば、対象物の立体的な構造を理解し、平面上にうまく変換する能力が強化されます。なにかひとつだけ脳トレを選ぶとしたら、個人的にデッサンをオススメしたいくらい、その効果は大きいです。
◆絵画の脳トレ効果については、コチラの記事でもお読みいただけます
9. 目のトレーニングをおこなう
空間認識は、当たり前ですが、目から入る視覚情報と密接に関係しています。だから、手っ取り早く空間認識力を鍛えるには、目をトレーニングするのが一番確実です。目の筋肉を鍛えれば視力の衰えも最小限に抑えられるし、視野の拡大も期待できます。
ただし、いくら目のトレーニングだからといって、「目を左右上下に素早く動かす」「遠くと近くを交互に見る」といった方法はあまりオススメしません。理由はシンプル。すぐに疲れて、トレーニングそのものがイヤになってしまうからです。
手前味噌のようですが、トレーニングの継続という面でいうと、私の指導する右脳速読のメソッドがダントツで目に優しいと思います。目をぐるぐる動かすことなく、右脳のイメージ化の能力を使ってものごとを見ていくので、長時間目を使ってもまったく疲れません。
本を1冊5分で読め、記憶にも残りやすく、おまけに目も疲れないのが右脳速読法です。右脳速読の詳細については、別記事で詳しく紹介しているので、ぜひしっかりと確認しておいてください。
◆右脳速読のしくみとメリットについては、コチラの記事でお読みいただけます
まとめ
今回は、立体パズルや目のトレーニングなど、空間認識能力を鍛える方法を9つ紹介しました。すべての方法に取り組めるならベストですが、どれかひとつだけでも、十分効果が期待できます。
決して欲張らず、継続を一番に考えて、無理のないスケジュールで取り組んでいきましょう。