記事の監修
株式会社瞬読 代表取締役山中恵美子
大学卒業後、関西テレビ放送株式会社に勤務。2009年学習塾を開講し3万人の生徒が卒業。
学習効果を上げる方法として速読を取り入れる。これが後の「瞬読」となり生徒が次々と難関校に合格。
2018年瞬読のみの講座が開講し、現在受講生は2,600名を超える。
著書『瞬読』は10万部超えのベストセラーに。その他、TV・ラジオなどメディアにも多数登場し、全国に瞬読を広めている。
仕事で継続的に結果を出し続けるためには、ただ努力するだけでなく、脳の使い方を見直すことが重要です。
当記事では、仕事で結果を出す脳の使い方について6つほどアイデアをご紹介していきます。合わせて、日常生活ですぐにできる脳の整え方についても紹介していくので、仕事で結果を出していきたい方はぜひ参考にしてください。
目次
仕事で結果を出す脳の使い方のコツ
仕事で結果を出すには、論理的思考やタイムマネジメントといった、脳の使い方をレベルアップしていく必要があります。今回は、仕事脳をつくり上げるために効果的なアイデアを6つ紹介します。
ジャーナリングで思考の整理整頓をする
仕事で結果を出すためのもっとも必要な要素のひとつに、「集中」が挙げられます。集中するには、なにに対して集中するのかを、まず決めなければなりません。そこで役立つのが、ジャーナリングです。
ジャーナリングとは、日々の考えや感じたことを紙に書き出す習慣を指します。よく日記と混同されがちですが、日記が日々の出来事や感情の記録を目的とするのに対し、ジャーナリングは思考の整理整頓やアイデアの明確化が主な目的です。
私たちの脳内にはさまざまな情報が混在しており、そのときの状況や感情に応じて、どうしても思考が分散します。ところが、ジャーナリングで思考を書き出せば、やるべきことが可視化され、優先順位の設定が容易です。
優先順位が決まれば、やるべきことにしっかりとエネルギーを注げます。仕事で結果を出したい人は、毎日10分でもよいので、ジャーナリングを習慣化して、思考を整理する時間を確保しましょう。
クリティカルシンキングを取り入れる
クリティカルシンキング(批判的思考)とは、物事を批判的視点から捉え、誤った視点から物事が進められていないかを確認していく思考法です。批判といっても、闇雲に反対するのが目的ではありません。
与えられた情報を鵜呑みにせず、その情報の背景や根拠を見極めて、矛盾点や別な可能性の有無などを探っていきます。
たとえば、「競合店対策として毎月格安セールを開催する」という計画が検討されているとしましょう。売上減に対してたしかに競合店の影響はあるでしょうが、「原材料の高騰」「作業効率の低下」「顧客ニーズの変化」など、競合店以外に原因があるかもしれません。
品揃えが劣っている、あるいは接客サービスの低下が、顧客の流失を招いている可能性もあります。もし接客サービスが悪いのであれば、格安セールをするよりも、サービス向上の研修をおこなう方が効果的です。
これはあくまでも一例にすぎませんが、このように物事の前提を疑い、ほかの可能性を探っていくと、結論が一変することも少なくありません。ロジカルシンキング(論理的思考)とセットで、ぜひクリティカルシンキングを身につけておくことをオススメします。
◆クリティカルシンキングとロジカルシンキングの違いについては、コチラの記事でお読みいただけます
ルーティンワークから飛び出す
毎日同じルーティンで仕事をこなしていると、どうしても視野が狭くなり、柔軟な発想が生まれにくくなります。ときにはルーティンワークから一歩飛び出して、なにか新しくチャレンジしてみることが必要です。
たとえば、いつも文章による提案が多い人は、画像を多用したプレゼン資料で提案してみるのはどうでしょうか。画像があると感覚的に情報をイメージできるので、いつもよりすんなり提案が通るかもしれません。
さらに画像ではなく、ショート動画やVRによる提案なら、もっと契約率がアップすることも考えられます。
いつもと違うことをするのは、とくに仕事上においては、非常に怖いものです。失敗する確率も高くなりますから。しかし、新しいチャレンジはスキルアップにつながり、自身の市場価値を大きく高めてくれるはずです。
効率化のためにルーティン化は不可欠ですが、労力の何パーセントかは、常に新しい取り組みへ向けておくように意識してみてください。
マルチタスクからシングルタスクへ
資料作成の合間にメールをチェックするとか、複数の画面を表示して違うプロジェクトを同時に進行するといった行為は、一見効率的に見えるかもしれません。
しかし実際には、複数のタスク間で集中力が分散してしまい、どちらも中途半端になる可能性が高いです。それよりも、ひとつの作業をしっかりと終わらせてから、次の作業に取りかかる方が、圧倒的に効率はよくなります。
もちろん、シングルタスクで作業を進める場合、優先順位の選定が非常に重要です。「緊急性があり重要なタスク」を最優先で処理するのは当然として、突然きた電話対応のような「緊急性はあるが重要ではないタスク」を過度に優先してしまうと、いつまでも「緊急性はないが重要なタスク」に取りかかれません。
人脈構築・仕事の計画・スキルアップといったタスクに緊急性はありませんが、どれも将来のキャリアを決定づける重要なものばかりです。こういったタスクをおろそかにしないよう、前述のジャーナリングを活用して、しっかりと優先順位を決めていきましょう。
脳のゴールデンタイムに重要な仕事をおこなう
人間の脳は、起床後3時間までの時間が、もっとも効率よく働いてくれるといわれています。効率よく仕事をこなしていくなら、このゴールデンタイムを利用しない手はありません。
とはいえ、朝の準備や通勤時間を考えると、始業時間前にほとんどゴールデンタイムが終わってしまうという人も多いでしょう。もし可能であれば、通常より早く出社して、前倒しで仕事を進めてしまうのがオススメです。
早朝なら顧客からの連絡も来ないし、誰にも邪魔されずに仕事に打ち込めます。早くその日のタスクを終わらせてしまい、残りの時間で仕事の計画作成やキャリアアップの準備などをおこなえば、緊急性はないが重要なタスクを放置することもなくなります。
もちろん、起床3時間以降、いきなり効率性が落ちるわけではありません。一般的に午前中はまだまだ脳の働きが活発です。深い考察を必要とする作業は、できるだけ午前中に予定するようにしましょう。
そして、午後は外回りにいくなどして、脳をリフレッシュさせるのがポイントです。そうすれば、夕方になっても脳の疲れを最小限に抑えて、効率よく仕事ができます。
タイムマネジメントを意識する
前述の通り、仕事で結果を出すには、なによりも集中が重要です。でも、いろいろなことが気になってしまい、なかなか仕事だけに集中するのはむずかしいという人も多いのではないでしょうか。
集中が苦手な人は、ぜひタイムマネジメントのテクニックを学んでください。オススメは「ポモドーロテクニック」です。ポモドーロテクニックでは、25分間の作業と5分間の休憩を繰り返しおこないます。
何時間もぶっ続けで作業した方が、進み具合がよいように感じるかもしれません。しかし、人間は機械ではないのです。同じような作業を続けていると、飽きてしまい、効率は著しく低下します。
その点25分間で作業を区切ると、合間の休憩で気持ちがリセットされ、集中力を維持しやすいです。疲れてきても、「たった25分だけ頑張れば休憩できる」と思えば、なんとか乗り切れるもの。
忙しく仕事が詰まっている人ほど、ポモドーロテクニックのような時間術を取り入れて、上手に作業時間を管理していきたいですね。
◆ポモドーロテクニックについては、コチラの記事でもお読みいただけます
日常生活ですぐにできる仕事に役立つ脳の整え方
仕事で役立つ脳の働きといっても、別に仕事に関することでしか磨かれないわけではありません。日常生活でできるちょっとした脳の使い方のコツを知っておくと、さらに脳のパフォーマンスがアップします。
まずは生活習慣を整える
仕事でベストなパフォーマンスを発揮するには、まず生活習慣を整えることが、なによりも大切です。十分な睡眠、栄養バランスの取れた食事、そして適度な運動を日々の生活に取り入れることで、脳が本来の力を発揮してくれます。
睡眠は、記憶の定着や脳の疲労回復に欠かせないため、最低でも7時間以上は確保しましょう。
また、食事については、朝食が大きなポイントになります。朝は食べない人も多いですが、脳のエネルギー源となる炭水化物や、集中力をサポートするたんぱく質は、やはりある程度摂取しておきたいところです。
午前中のパフォーマンスが大きく変わってきますから、バナナ1本でもいいので、できるだけ朝食を食べるようにしてください。
もうひとつ重要な生活習慣が、運動です。起床後1時間以内に20〜30分程度の散歩をすると、セロトニンが分泌されるため、気分がスッキリして脳の働きが活性化します。
2〜3日ですぐに効果が出るわけではありませんが、長期間継続すれば間違いなくよい結果が生まれるはずです。毎日少しずつでよいので、生活習慣を整えていきましょう。
◆生活習慣の改善方法については、コチラの記事でもお読みいただけます
リラクゼーションで脳をリセットする
東邦大学のサイト※を見ると、ストレスがかかるとノルアドレナリンやドーパミンが放出され、前頭前野の働きが弱まると書かれていました。
前頭前野は、記憶や感情の制御、意思決定といった高度な精神活動をコントロールしている脳の中枢器官です。仕事でベストなパフォーマンスを発揮したいなら、リラクゼーションを取り入れ、前頭前野をはじめとする脳の重要な器官をストレスから守ってあげる必要があります。
さまざまなリラクゼーション法があるなか、今回は手軽にできて効果の高い、「ボックスブリージング」という呼吸法をオススメします。やることは非常にシンプルです。4秒かけて吸い、4秒止め、4秒で吐き、また4秒止めるというリズムで呼吸を繰り返すだけ。
戦場でも使えるリラクゼーションとして海外の軍隊でも採用されている方法ですから、その効果は折り紙つきです。大事な商談やプレゼン前に、試してみてください。心が落ち着いて、きっとよい結果が出せるでしょう。
※参考: ストレスと脳 | 生物学科 | 東邦大学
◆呼吸法以外のリラクゼーションについては、コチラの記事でお読みいただけます
夢中になれる趣味をもつ
ストレス対策として、リラクゼーションとは別に、夢中になれる趣味をオススメしたいです。絵を描く、楽器を弾く、ガーデニングをするなど、楽しいと感じる趣味なら種類はなんでも構いません。
趣味に没頭する時間は、日々のストレスを和らげ、リラックスした気持ちを取り戻してくれます。仕事が死ぬほど忙しくても、帰宅後楽しい時間が待っていると思えば、案外乗り切れるものです。
また、趣味がもたらす楽しさや充実感は、仕事へのエネルギーやモチベーションも高めてくれます。新しい趣味が見つかれば、脳が普段とは異なる刺激を受け、斬新なアイデアや今までとは違う価値観が生まれるかもしれません。
もちろん、仕事に役立つかどうかで、趣味を選ぶのは無意味でしょう。あくまでも純粋な楽しみのために趣味に取り組み、その結果たまたまモチベーションや集中力が生まれて、仕事にもよい影響をもたらすというのが理想です。
読書を習慣化する
本を大量に読むと、自然と語彙力や表現力が身につきます。ビジネスでは、相手に対して、いかにわかりやすくビジネスの内容を伝えられるかが勝負です。
ただ「これは軽くていい商品なんです」と伝えるのではなく、「使い心地がソフトで身につけているのを忘れてしまうくらいなんですよ」と表現した方が、より相手に興味をもってもらえるでしょう。こういったこまかいニュアンスを的確に表現できるのも、読書で培った語彙力と表現力のおかげです。
また読書は、新しい知識や視点を私たちに教えてくれます。どんな人も、自分なりの価値観があり、価値観から外れるものを敬遠する傾向にあります。家族や友人など、親しい人から言われるほど、反発したくなるものです。
しかし、普段接点のない著名人の言葉だからこそ、「なるほど。そういう考え方もあるのか……」と、素直に新しい気づきを受け入れやすいんですね。
アフター5にお酒を飲んでテレビをダラダラ見ている人と、毎日2時間読書を継続する人では、本当に大きな差がついてしまいます。まずは、1か月2冊を目標に、読書に取り組んでみてください。
◆社会人が読書をするメリットについては、コチラの記事でもお読みいただけます
デジタルツールを使わない時間をもつ
現代のビジネスにおいて、スマートフォンやパソコンといったデジタルツールなしには、なにもできないといっても過言ではないでしょう。しかし、デジタルツールの使用時間が長すぎて、多くの人の脳が慢性的に疲労しているのもまた事実です。
脳の疲労を抑えて、仕事のパフォーマンスを上げていくには、こういったデジタルツールへの依存をできるだけ減らしていかなければなりません。とはいえ、意図的にデジタルデバイスを手放すようにしないと、デジタルツールへの依存はまず解決できないでしょう。
まず、脳のゴールデンタイムである午前中は、スマートフォンをカバンのなかにしまってください。職種にもよりますが、電話やメールに即時対応しなくても仕事は十分に回ります。よほど緊急な連絡は別として、一般的な業務連絡は、午後にまとめておこなえばよいのです。
仕事の途中にメールをしたり、SNSや動画を見たりしてしまったら、再び仕事に集中できるまで最低でも20分程度必要です。スマートフォンが手元にないだけでどれだけ仕事が捗るか、はじめてスマホ断ちをしたあなたは、おそらくびっくりするでしょう。
1日2〜3時間からでも構いません。ぜひ、仕事中にデジタルツールを使わない時間を設けるようにしてください。
まとめ
今回は、仕事で結果を出す脳の使い方、そして日常生活ですぐにできる仕事に役立つ脳の整え方について解説しました。すべての方法にいっぺんに取り組む必要はありません。気になるものをまずはひとつピックアップして、とにかく実践してみてください。半年、1年と継続すれば、必ずよい方向に仕事が進んでいくはずです。