記事の監修
株式会社瞬読 代表取締役山中恵美子
大学卒業後、関西テレビ放送株式会社に勤務。2009年学習塾を開講し3万人の生徒が卒業。
学習効果を上げる方法として速読を取り入れる。これが後の「瞬読」となり生徒が次々と難関校に合格。
2018年瞬読のみの講座が開講し、現在受講生は2,600名を超える。
著書『瞬読』は10万部超えのベストセラーに。その他、TV・ラジオなどメディアにも多数登場し、全国に瞬読を広めている。
「勉強は学生がするもの」
あなたは勉強に対して、そんなイメージをもっていませんか?
たしかに学生は勉強が仕事のようなものですが、実際には競争の激しい社会人こそ、より真剣に勉強をしていく必要があります。
しかし、忙しい社会人が働きながら勉強をするのは、正直なかなか大変です。途中でギブアップすることのないように、挫折の理由をきちんと把握し、その対策方法を地道に実践していかなければなりません。
今回の記事では、挫折の理由と、挫折をしないための勉強法を解説していきます。また、社会人にオススメの勉強ジャンルも紹介していくので、これからなんらかの勉強を検討している社会人のかたは、ぜひ参考にしてください。
目次
どうして勉強に挫折してしまう社会人が多いのか
時代の変化が以前よりも速くなり、覚えるべきスキルや知識は増える一方です。しかし、せっかく勉強をはじめても、途中で挫折してしまう人は決して少なくありません。
挫折を回避するには、まず社会人が勉強に挫折する理由を、きちんと知っておく必要があります。
- 勉強する目的が明確でない
- 忙しくて勉強時間を捻出できない
- 自分に合った勉強法を確立していない
ひとつずつ見ていきましょう。
勉強する目的が明確でない
勉強に挫折してしまう人と話をすると、「勉強する目的が明確でない」ケースがほとんどです。
「同僚が勉強をはじめたので、焦って自分も勉強をスタートした」「英語ができると有利だって、本で読んだから」といったように、なんとなく勉強をスタートした人は、どうしても挫折の可能性が高くなります。
実際のところ、社会人の勉強には、明確な結果がともなわないケースも多いです。TOEIC800以上取らないと役職に就けないといった、明確なルールがある場合はともかく、通常は勉強したからといって、社内の評価が大きくアップすることはありません。
しかし、ビジネスの世界では、結果を出せば周囲の評価は大きく変わってくるものです。そのためには、やはり勉強をして実力をつけていくのが、もっとも確実かつ近道でしょう。
自分の市場価値をアップするために、今なにを勉強するべきかがわかっていれば、途中で挫折することはなくなります。
忙しくて勉強時間を捻出できない
忙しくて勉強できないというのも、非常によく聞く話です。たしかに仕事が忙しい社会人にとって、毎日勉強の時間を確保するのは、簡単ではないでしょう。
しかし、厳しい見方をすれば、「時間がない」というのは、やはり言い訳でしかありません。なぜなら、どんなに忙しくても勉強時間を確保して、きちんと結果を出している人がたくさんいるからです。
時間がないと感じている人は、まず勉強期間をきちんと設定して、その間だけは勉強を優先すると決めてください。そうすれば、毎日2時間程度なら、必ず時間は確保できます。
またほとんどの人にとって、忙しいというのは、「まとまった時間が取れない」という意味です。であれば、お昼休みや待ち時間といったスキマ時間を、積極的に利用してみましょう。もしあなたが電車通勤なら、さらに1時間程度は勉強時間に使えるはずです。
◯スキマ時間の活用については、こちらの記事もどうぞ
自分に合った勉強法を確立していない
自分に合った勉強法を確立していないと、途中で挫折しやすくなります。なぜならば、勉強のやり方が合っていないので、続けていくうちに、勉強が苦しくなってしまうからです。
また勉強法が定まっていない人は、少しでもよさそうな勉強法をみつけると、すぐに飛びついてしまいます。
もちろん、よりよい勉強法を探す探究心は大事です。しかし、世の中には勉強法がそれこそ星の数ほどあり、完璧な勉強法など、この世には存在しません。
理想の勉強法探しに時間をかけるなら、まずは今できる勉強法を、しっかりとこなしてみてください。結果が出てくれば、どんな勉強法でも、段々と楽しくなってくるものです。
それでも、どうしてもその勉強法が嫌ならば、その時点で新しい勉強法を探せばよいのです。
◯自分に合った勉強法については、こちらの記事もどうぞ
社会人が勉強を継続するために知っておくべき4つのコツとは
勉強を挫折する理由がわかったところで、今度は、社会人が勉強を継続するために知っておくべきコツを4点紹介していきます。
- 目標から逆算して、勉強計画を立てる
- 勉強に適した時間帯に勉強をする
- 時間管理術で集中力をアップ
- 速読を取り入れる
どれも挫折を回避するには、有効なものばかりです。できるものから、自分の勉強に取り入れていきましょう。
◯速読法の違いについては、こちらの記事もどうぞ
1.目標から逆算して、勉強計画を立てる
勉強へ取り組む際に具体的な目標を決めず、とりあえずスタートしてしまうタイプの人がいます。行動力という面では大いに評価できますが、ゴールが定まっていないと、どうしても途中で挫折しやすくなります。
「いつまで大変な思いをして勉強を続けなければならないのか」と、勉強の途中で必ず不安になる時期が訪れるからです。
そういう場合は、とにかく目標を設定してしまい、そこから逆算して計画を立ててみてください。「10月の資格試験に合格する」というゴールが決まっていれば、その期間だけは勉強に集中しようという、覚悟が生まれます。
よく考えてみれば、仕事を抱える社会人なら、日頃からスケジュール管理やToDo リストなどで進捗を管理しているはず。それと同じことを、勉強でもやればいいだけです。
ポイントをひとつだけあげるとすれば、「期限とやることを具体的にこまかく設定する」くらいでしょうか。目標の日までに必要な勉強量を、月ごと・日ごとに落とし込み、毎日こなしていけば必ず目標は達成できます。
2.勉強に適した時間帯に勉強をする
一般的に、就寝2〜3時間前と午前中は、勉強に適した時間帯といわれています。人間の脳は就寝中に記憶を整理するので、暗記関係の勉強は就寝前がベストです。
また午前中は、睡眠後のリフレッシュした状態をキープしていますから、新しい内容を勉強するのに適しています。
しかし一般的な社会人の場合、仕事をしている午前中には、当然勉強はできません。また夜にしても、つい動画を見たり、SNSに書き込んだりと、なにかと誘惑が多いものです。
このように、もしどうしてもうまく勉強時間が取れないようならば、思い切って超朝型の生活に変えてみるのもひとつの方法だと思います。
時間がないというと、睡眠時間を削ろうとする人もいますが、睡眠不足は下手すると健康を損なう恐れがあるので、絶対にやめてください。
それよりも、単純に夜早く寝て朝5時に起きれば、出勤前に2時間は勉強できます。しかも、早朝はほとんどの人が寝ていますので、集中力を削ぐSNSの通知もきません。
3.時間管理術で集中力をアップ
勉強を継続するコツは、とにかく「勉強すると決めた時間中は、しっかりと集中すること」に尽きるでしょう。しかし現代人のライフスタイルには、スマホやゲームなど、誘惑が溢れかえっています。
そこで役立つのが、時間管理術です。もし、時間の使い方に不安があるのでしたら、以下の2点に取り組んでみてください。
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勉強時間の記録
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集中力を維持する時間配分(ポモドーロテクニック)
まずは、毎日どのくらい勉強しているかを明確に把握することが、時間管理のスタートです。もしかすると、勉強時間が不足しているかもしれないし、偏った内容の勉強になっているかもしれません。そういった修正点が、記録により明らかになります。
また1日3時間勉強するとしたら、ぶっ続けで3時間勉強するのは、あまりよい方法とはいえません。人間の集中力は、3時間もキープできませんからね。
集中力を維持したまま効率よく勉強するには、ポモドーロテクニックがオススメです。ポモドーロテクニックでは、1回の勉強量を25分に設定して、25分経過したら必ず休憩を5分挟みます。これは、1回の作業量を減らすことで、集中力のキープを図っているわけですね。
ポモドーロテクニックについては、別記事で詳しく紹介していますので、興味のあるかたは読んでみてください。
4.速読を取り入れる
社会人の勉強は、時間と効率性との戦いといえます。仕事が忙しいと、どうしても勉強時間が不足しがちです。さらに激務の疲れから、勉強の効率も悪くなります。
もし、そういったケースで悩んでいるのであれば、ぜひ速読を勉強に取り入れていきましょう。
速読ができると、単純に参考書や問題集を速く読めます。私が指導する右脳速読法では、速読をしない人の約50倍の速さで、速読が可能です。
そうなれば、その浮いた時間を、新たな勉強に回せます。あるいはその読書スピードを活かして、復習時間を増やしてもOKです。復習時間が増えれば、暗記の効率も、確実にアップするでしょう。
また右脳速読法は、読んだ文章を右脳で映像に変換して、記憶していく読書法です。右脳で映像化された情報は、忘れにくい「長期記憶」として脳へ記憶されていきます。
つまり速読を上手に取り入れると、勉強時間が大幅に増えて、さらに勉強した内容を忘れにくくなるわけです。これほどメリットの大きい速読、活用しない手はありませんよね。
◯速読のメリットについてもっと知りたい方は、こちらの記事もどうぞ
デキる社会人なら必ず身につけておきたい、オススメの勉強ジャンル
最後にこの章では、社会人にオススメの勉強ジャンルを紹介します。今回紹介するのは、以下の4点です。
- IT関連の基礎知識
- 英語や中国語などの語学
- 簿記や財務関連
- マーケティングスキル
もし現時点でやりたいことが決まっていないのなら、上記のうちどれか気になったものからチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
IT関連の基礎知識
現代のビジネス社会においては、パソコンやスマホの活用が不可欠です。社内のインフラなども、すべてWeb上のシステムでおこなう会社が多いと思います。
しかし現代の社会人なら、ガジェット類やソフト関係の操作に精通しているのは、もはや当たり前。そういったレベルのIT知識があっても、差別化にはあまり役立ちません。
もしあなたが、ライバルに差をつけたいと思っているなら、断然プログラミングの習得をオススメします。
今現在、直接プログラミングとは関係ない部署にいたとしても、プログラミングができれば、IT業界への転身も十分可能です。
また、あと10年もすれば、子どもの頃からプログラミングが当たり前という「デジタルネイティブ」と、競い合う未来が待っています。そのときに焦って勉強をはじめても、すでに手遅れです。
しかし、IT人材の不足している今なら、プログラミングスキルはあなたの可能性を大きく広げてくれるでしょう。
英語や中国語などの語学
とりあえず、なにを勉強していいかがわからないのであれば、個人的に「英語や中国語」などの語学学習を強くオススメします。
なかでも英語は、グローバル社会における公用語です。もし英語ができれば、海外との折衝や契約などの業務を任せてもらえるかもしれません。海外に支店のある企業なら、海外勤務で経験を積める可能性も出てくるでしょう。
なお勉強方法ですが、忙しい社会人のモチベーション維持を考えると、やはり資格習得がオススメです。日本の英語系資格のなかでは、英検が一番正確な英語力を測定してくれます。
しかし採用や昇進の条件として、TOEICのスコアを参考にしている企業(中途採用:53.8%下図参照)が多いため、最初に挑戦するならやはりTOEICがオススメです。
※参考:英語活用実態調査2019まとまる~企業・団体の英語の位置づけ・ビジネスパーソンの英語に対する意識等を発表~|プレスリリース一覧|IIBCについて|IIBC
勉強期間は長くて1年もみておけば、TOEICの高得点(800点以上)も十分に狙えます。海外でのキャリアを視野に入れている人は、ぜひ英語力アップに挑戦してみてください。
◯ TOEIC学習におすすめな速読の活用法については、こちらの記事もどうぞ
簿記などの会計関連
※参考:簿記検定試験(日商簿記)
デキる社会人を目指すなら、簿記に代表される会計関連の勉強もオススメです。数字をきちんと理解し、適正な利益を会社に還元できなければ、いつまでも自分の市場価値はアップしません。
また、会計や財務の知識がないと、取引先の倒産リスクに巻き込まれる可能性が高くなります。すでに関係性が深い企業との取引なら、かりにトラブルがあっても、通常はあまり大きな問題にはなりません。相手企業の財務状況は、ある程度把握できていますので。
しかし、新規取引先の財務状況がよくわからないまま契約すれば、もしトラブルが発生した場合、売掛金を回収できない可能性も出てきます。そういったリスクを回避するためにも、社会人になったら、必ず会計・財務の知識を身につけておく必要があるのです。
もちろん、全員が税理士や公認会計士のような専門家になる必要はありません。最低限の基礎知識として、まずは簿記3級にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
マーケティングスキル
ビジネスの分野を問わず、商品やサービスを顧客へ届けるには、マーケティングの知識が不可欠です。
それなのに、マーケティングに苦手意識をもつ人は、想像以上にたくさんいます。理由は単純で、マーケティング業務の範囲があまりにも広すぎるからです。
たしかにすぐ思いつくだけでも、「市場調査」「広告宣伝」「販売戦略」などマーケティングは幅広い分野で必要になります。
しかしマーケティングとは、ようするに「消費者に必要とされる商品やサービスを届けるためのプロセスづくり」です。あまりむずかしく考えずに、体系立てて勉強すれば、マーケティングの基礎知識は必ず身につきます。
具体的な勉強法としては、まず関連書籍を何冊か読んでみるのがいいでしょう。最低限の知識を手に入れたら、今度はオンライン講座を受講してみるのもオススメです。
まとめ
社会人の勉強は、時間との戦いです。忙しい社会人にとって、毎日定期的に勉強時間を確保するのは、決して簡単ではありません。
そういった制約の中で結果を出すには、社会人ならではの勉強法を確立する必要があります。
今回は、社会人に勉強が必要な理由と、きちんと継続していくための勉強法をご紹介してきました。合わせて、今優先的に勉強すべき分野についても解説したので、最後まで読んだあなたは、もうすぐにでも勉強がしたくて仕方がないはずです。
今回の内容を参考にして、できるだけ早く勉強に取り組み、ぜひとも満足のいく結果を出していきましょう。