記事の監修
株式会社瞬読 代表取締役山中恵美子
大学卒業後、関西テレビ放送株式会社に勤務。2009年学習塾を開講し3万人の生徒が卒業。
学習効果を上げる方法として速読を取り入れる。これが後の「瞬読」となり生徒が次々と難関校に合格。
2018年瞬読のみの講座が開講し、現在受講生は2,600名を超える。
著書『瞬読』は10万部超えのベストセラーに。その他、TV・ラジオなどメディアにも多数登場し、全国に瞬読を広めている。
よく「もう歳だからなかなか新しいことが覚えられない」といった話を耳にします。たしかに、高齢になるにつれて、忘れっぽくなる人が多いのは事実でしょう。
しかし、それは年齢が原因ではありません。人間の脳は、適切な刺激を与えてあげれば、70歳80歳になってもしっかりと機能してくれます。つまり、脳の機能が衰えていくのは、単純に脳を使う機会が減っているからという理由が大きいのです。
そこで今回は、年齢に関係なく脳を成長させる具体的なアイデアを、10個ご紹介していきます。
目次
脳を成長させたいなら、まずは生活習慣を整えよう
脳を成長させたいなら、まずは脳がきちんと機能するための下地づくりをするのが先決です。食事・水分補給・睡眠・運動という4つの側面から、良好な生活習慣がどれだけ脳によい影響を与えるのか、わかりやすく解説していきます。
◆生活習慣と脳の関係については、コチラの記事でもお読みいただけます
脳によい食材「ブレインフード」を積極的に食べる
世の中には、脳の働きをサポートしてくれる、いわゆる「ブレインフード」と呼ばれる食材が多数存在します。脳の成長を促したいなら、ぜひこのブレインフードを積極的に食べたいところです。
ブレインフードといえば、もっとも有名なのが「オメガ3脂肪酸」でしょう。
2022年、米国神経学会の医学雑誌「Neurology」に掲載された研究データ※には、「中年期にオメガ3脂肪酸を多量に摂取している人は、ほとんど食べない人に比べて、思考能力が高く、脳の構造も優れている傾向が強い」と書かれています。
オメガ3脂肪酸は、サケ・サバ・カキといった脂肪の多い魚に多く含まれています。また、ムール貝やカキといった貝類も含有量は多いです。魚介類が苦手でなければ、最低でも週に2回は魚介類を食べるようにしましょう。
緑黄色野菜やベリー類といった、そのほかのブレインフードについては、この章の冒頭で紹介した別記事にて詳しく紹介しています。ぜひそちらの記事をご参照ください。
※参考: Can Eating Omega-3 Fatty Acids in Midlife Help Your Brain?
水分補給と脳機能の関係性
脳の約80%は水でできているため、適切な水分補給は脳の機能をサポートするうえでとても重要です。
2012年にThe Journal of Nutrition誌に掲載されたレポート※によると、運動後の脱水時(軽度)に受けた認知テストでは、多くの参加者(とくに女性)が軽い頭痛・疲労・集中力の低下を引き起こし、認知テストの結果に影響が出たそうです。
では、具体的に軽度というのは、どの程度の脱水状態を指すのでしょうか。先ほどの研究データには、体内の水分量がわずか1.5%減少するだけで影響が出ると書かれています。
一般的に、2%ほど水分を失うと、のどが渇いたと感じるそうです。つまり、のどが渇いてから水分補給をするのでは、遅すぎることになります。
厚生労働省が推奨する基準を見ると、成人が1日に必要とする水分摂取量は約2.5Lです。もちろん、水を毎日2.5L飲む必要はありません。
食事から摂る水分も含まれているので、口から飲む量は、1.2LほどでOKです。これなら、普段あまり水を飲まない人でも、なんとかなりそうですよね。
※参考: Even Mild Dehydration Can Alter Mood – UConn Today
◆水分補給が脳に与える影響については、コチラの記事でもお読みいただけます
なぜ7時間以上の睡眠が不可欠なのか
脳が正常に機能するためには、最低7時間以上の睡眠が必要というのが、一般的な認識です。
人間の脳は、レム睡眠中に記憶の整理と定着をおこないます。レム睡眠はひと晩に4〜5回しか発生しないため、睡眠時間が短くなると、この大切なレム睡眠が削られてしまいます。
だから、どんなに忙しくても、いや忙しいからこそ、しっかり7時間以上の睡眠を確保して、脳のパフォーマンスを引き出すべきなのです。
もちろん、年齢によって必要な睡眠時間は変わってきます。年齢ごとに推奨される睡眠時間※は、以下の通りです。
- 新生児(0〜3か月):14〜17時間
- 乳児(4〜11か月):12〜15時間
- 幼児(1〜2歳):11〜14時間
- 未就学児(3〜5歳):10〜13時間
- 児童(6〜13歳):9〜11時間
- ティーンエイジャー(14〜17歳):8〜10時間
- 成人(18〜64歳):7〜9時間
- 高齢者(65歳以上):7〜8時間より少し短い程度
国民健康・栄養調査結果(令和元年)によれば、1日7時間未満の人は、男女とも30%を超えています。まずは、7時間以上の睡眠を目指して、脳をしっかりと働かせられるように心がけましょう。
※参考: How Much Sleep Do You Really Need? – National Sleep Foundation
◆睡眠と脳機能の関係については、コチラの記事でもお読みいただけます
運動習慣が脳に与える影響
運動は身体によいと知ってはいても、脳に対してもよい影響を与えると知っている人はそれほど多くありません。
定期的に適度な運動をおこなえば、全身の血流がよくなり、脳に対する血液の供給量も増えます。主に脳が栄養源としているのは、ブドウ糖です。血液中にはブドウ糖と酸素が含まれているので、血流の改善によって、脳へ栄養がたっぷりと運ばれます。
さらに、運動にはストレスを軽減し、気分を向上させる効果も期待できます。これは運動中(とくに有酸素運動)に、エンドルフィンという「幸せホルモン」が、通常の3〜5倍も分泌されるためです。
ひとりでおこなうウォーキングや筋トレもよいですが、運動に慣れてきたら、ぜひフットサルやヨガ、ダンスといったスポーツにチャレンジしてみてください。
こういったスポーツに取り組むと、自然と他人との交流が増えます。普段、家庭・学校・職場でいつも同じ人と接している人には、非常に刺激の多い、かつ楽しい時間を過ごせるのではないでしょうか。
◆高齢者にオススメの脳トレ運動については、コチラの記事でお読みいただけます
脳の成長にストレスは大敵
いくら生活習慣を整えても、いくら脳の成長によい取り組みをしても、過剰なストレスに苛まれている状態なら、脳は思うように機能してくれません。
この章では、ストレスと脳の関係、そしてストレス緩和に有効なオススメのリラクゼーション法について解説していきます。
ストレスが脳の成長を妨げるメカニズム
ストレスが脳に与える影響は、私たちが思っている以上に深刻です。長期間にわたる慢性的なストレスにより、ストレスホルモン「コルチゾール」の過剰分泌が続くと、脳の神経細胞がダメージを受けて新しい神経回路の形成が妨げられます。
さらに、大量のコルチゾールに晒され続ければ、記憶を司る海馬が縮小してしまいます。認知症患者の脳は海馬が縮小しているという事実を見ても、いかにストレスの影響が恐ろしいかがわかるでしょう。
また、強いストレスは、前頭前野の働きにも悪影響をおよぼします。前頭前野は、喜怒哀楽といった感情をコントロールする非常に重要な部位です。
だから、前頭前野の働きが狂ってしまうと、急にキレたり、気力を失ってしまったりして、対人関係にも支障をきたしてしまいます。
集中力や判断力も失われていきますから、仕事や勉強、家事など、あらゆる場面でミスが起こりやすくなるでしょう。
オススメのリラクゼーション
前述の通り、長期的なストレスは、脳の成長に悪影響をもたらします。しかし、残念ながら、ストレスの原因をすぐに解決できるケースは少なく、ストレスの長期化は避けられないというのが現実です。
そこで、重要になってくるのが、ストレス緩和のアプローチです。今回は、ストレス緩和に有効なオススメのリラクゼーション法を3つご紹介します。
【マインドフルネス瞑想】
マインドフルネス瞑想は、グーグルやアップルといった名だたる企業が研修として取り入れたことでも有名です。
私たちは、驚くほどの不安や悩みを抱えながら生きています。それは、過去や未来に目を向けすぎているのが、大きな原因です。過去を振り返れば後悔が生まれ、未来を考えれば希望より不安の方が大きく感じてしまいます。
だから、まずは現在の状況に目を向け、できること・やるべきことにフォーカスするマインドフルネス瞑想が有効になってくるのです。
もちろん、最初はいろいろなことを考えてしまうでしょう。でも、そういった雑念も含めて今の自分を受け止めるのが、マインドフルネスの第一歩です。
最初は、無理をせず5分程度からスタートして、慣れたら10分・20分と少しずつ瞑想の時間を伸ばしていきましょう。
◆マインドフルネス瞑想のやり方については、コチラの記事でもお読みいただけます
【呼吸法】
呼吸法は、簡単でありながら驚くほど効果的なリラクゼーション法のひとつです。たかが呼吸と思うかもしれませんが、適切な呼吸法による鎮静効果には驚くべきものがあります。
プレゼンや面接など、緊張で心拍数が上がり、普段できることができなくなってしまう状況は誰にでも起こり得るものです。
そういったときに、多くの人が深呼吸をして心を落ち着けようとしますよね。これは、ゆっくりと深い呼吸が緊張を和らげてくれると、経験から知っているからです。
ただの深呼吸でも効果はありますが、呼吸法を1〜2個身につけておくと、より速く確実にストレスによる症状を緩和できます。
オススメは、アメリカ海軍でも採用されている「ボックスブリージング」です。戦場という過酷な状況でもすぐに効果が出るよう考えられた呼吸法なので、非常に即効性があります。
ボックスブリージングの概要については、別記事で解説しています。ぜひ、そちらの記事も読んでみてください。
◆ボックスブリージングのやり方については、コチラの記事でお読みいただけます
【アロマテラピー】
アロマテラピーは、香りを使って心身をリラックスさせる自然療法です。エッセンシャルオイルと呼ばれる植物から抽出された香り成分を使い、ストレスの軽減や気分の改善をおこなっていきます。以下に、代表的なエッセンシャルオイルとその効能を紹介します。
- ラベンダー:鎮静、不眠症の改善、緊張の緩和、抗炎症
- カモミール:鎮痛、抗炎症、解熱、保湿、抗アレルギー
- ペパーミント:抗炎症、消化促進、鎮痛、集中力アップ
- ユーカリ:抗菌、殺菌、利尿、抗炎症、解熱、鎮痛
- ローズマリー:強壮、抗ウイルス、発汗、血行促進、集中力アップ
上記はあくまでも一例です。記載されている以外の効能も、数多くあります。本格的に治療的な役割として使用を考えている場合は、必ず専門家と相談してください。
とはいえ、そこまでアロマテラピーをむずかしく考える必要はありません。気に入った香りを垂らしたハンカチを鼻に近づけるだけでも、心がスーッと落ち着きます。お風呂に数滴垂らしてもいいし、ディフューザーを使って部屋中に香りを拡散させるのもよい方法です。
毎日の生活に少しだけアロマの力を取り入れて、ストレスを和らげ、心地よい時間を過ごしましょう。
脳の成長を支える日常の小さな習慣
脳の成長には、なにか新しいことへの挑戦が非常にオススメです。最後に、10個新しい挑戦のアイデアをご紹介します。
1. クロスワードパズルのような脳トレーニングに取り組む
脳の成長のためには、クロスワードパズルのような、いわゆる脳トレに取り組むのがもっとも効率的です。難易度にもよりますが、さまざまな可能性を探りながら正解を探し出す過程で、分析力・論理的思考・問題解決力・集中力などが思い切り鍛えられます。
クロスワードパズルの場合、縦マスと横マスそれぞれの文字数、さらに交差する箇所の文字が一致しないといけないというルールがあります。
ヒントを基に答えを考えるのですが、そもそも答えとなる言葉を知らなければ答えられません。当然、過去の記憶から答えを導き出そうと頭を捻りますので、自然と記憶力も向上します。
クロスワードパズルをはじめるのは簡単です。書店にいけば驚くほど豊富な種類の専門誌が販売されていますし、アプリも数多くリリースされています。アプリの方が手頃で便利ですが、雑誌には懸賞に応募できるという楽しみが用意されています。
脳トレを継続するには、なんといっても楽しいのが一番です。書店に出向き、まずはお好みの1冊を手に入れるところからはじめてみてはいかがでしょうか。
◆クロスワードパズルの脳トレ効果については、コチラの記事でもお読みいただけます
2. 参加できるコミュニティを複数確保しておく
脳の成長には、定期的に受ける新しい刺激が重要です。とはいえ、毎日同じ会社にいき、同じような仕事をしているので、変化がなくてつまらないと感じている人も少なくないでしょう。
会社を例に挙げましたが、これは学校でも友人との集まりでも、基本的に状況は同じです。人間は、基本的に変化を恐れる傾向にあり、新しい刺激を受けるには、意図的に新しい活動の場へ参加する意識が必要になってきます。
今、日常生活がルーチン化していると感じている人は、ぜひ参加できるコミュニティを複数確保してください。趣味のサークルや資格の講座、地域の集まり、ボランティア活動など、参加するコミュニティの内容はそれほど重要ではありません。
異なる取り組みにより、新鮮な気持ちを維持できるなら、なにをやってもOKです。ただ、せっかく違うコミュニティに参加するなら、できるだけ幅広い年齢層の人と触れ合えた方がより強い刺激を受けられます。参加の際には、ぜひそういった点も頭に入れておいてください。
3. アートや楽器演奏などクリエイティブな活動の時間をもつ
忙しい現代社会に生きる私たちは、とにかく結果を求められがちです。受験生は友達と楽しく遊ぶより志望校合格が最優先になるし、社会人なら利益を生み出さないと評価してもらえません。
そのため、普段私たちの脳は、どうしても分析力や判断力、計算力といった左脳の働きが中心になっています。こういった左脳偏重の状況を改善してくれるのが、クリエイティブな活動なのです。
というのも、絵を描いたり、音楽を演奏したりする際には、創造性・イメージ力・全体把握力・ひらめきといった右脳の働きが活発になります。
絵に色を塗る作業ひとつ取っても、どの色をどのくらいの濃さで塗ればよいのか、さらにほかの色とのバランスなどを頭のなかでイメージして全体像を決定していかなければなりません。
また、絵画にしろ楽器演奏にしろ、頭のなかでイメージしたものを実際に体を動かして表現していきます。だから、アート活動をすると、少しずつ左右の脳の連携がスムーズになってくるんですね。バランスよく脳を成長させたいなら、アートのようなクリエイティブ活動はオススメです!
◆楽器演奏の脳トレ効果については、コチラの記事でもお読みいただけます
4.見識を広げるために月に1〜2冊の読書を目指す
読書は、脳を成長させるためのマストアイテムともいうべき、非常に重要な役割を担っています。わずか2000円程度の投資で、さまざまな知識が身につくわけですから、私たちはもっと積極的に本を読むべきです。
もし、本に書かれている知識をダイレクトに仕入れようと思えば、少なくとも万円単位のお金が必要になるでしょう。講演会などが開催されていなければ、そもそも話を聞く機会すらありません。
その点、読書なら、いつでもどこでも気軽に新しい知識や価値観に触れることができます。しかも、語彙力・読解力・集中力、さらに小説なら想像力や感性といった能力も同時に鍛えられるので、これほどコスパのよい成長法はないといっても過言ではありません。
忙しくて読書の時間がなかなか取れないという人でも、できれば月に1〜2冊の読書を目指していきましょう。
◆読書の効能については、コチラの記事でもお読みいただけます
5.定期的に新しいチャレンジへ取り組む
いつも同じようなことばかりを繰り返していると、脳はその活動に慣れてしまい、成長の機会を失います。新しい取り組みをする際には、当然ですができないことやわからないことばかりです。
ルーチンワークが多い人からすれば、面倒くさくて、イラッとすることが多いかもしれません。しかし、その「できないことをできるようにする」「知らないことを学ぶ」過程が、あなたの脳を思い切りレベルアップしてくれるのです。
ぜひ、そのうまくいかないイライラを楽しんでください。やることは、なんでもOKです。たとえば、新しい趣味を始めるのもいいし、普段いかない場所に足を運んでみるのもいいでしょう。仕事で身につけたい新しいスキルの習得にチャレンジするのも、オススメです。
大きな挑戦でなくても構いません。まずは毎月ひとつ、自分の「できそうな範囲」で新しいことを試してみましょう。その積み重ねが、脳の成長を促し、より柔軟で豊かな思考力を育ててくれます。
6.第二言語を学ぶ
とくにチャレンジしたいことが決まっていないなら、第二言語を学んでみるのはどうでしょうか。言語を学ぶ際には、単語や文法をある程度覚えなければならないので、必然的に記憶力が鍛えられます。
もちろん、単語や文法をただ覚えても、実際に使えなければ意味がありません。ネイティブではない私たちがネイティブの速い会話を理解するには、聴き取れる単語を基に、内容を推測する能力が必要です。
自分の知っている単語やフレーズで適切な意思表示をするために、集中力や判断力、問題解決能力なども必要になってくるでしょう。語学学習を継続していけば、こういった能力が自然とレベルアップします。
また、新しい文化や日本人とは異なる価値観に触れる機会が増えるのも、第二言語学習の大きな魅力です。
とくに今はYouTubeのような動画サイトで、海外の投稿が簡単に視聴できます。英語以外の言語についても、海外のインフルエンサーから直接情報の入手が可能です。気になる言語があれば、まずその言語で発信されている動画をいろいろとチェックしてみてください。
◆初心者向け英語の学習法については、コチラの記事でお読みいただけます
7.ストレッチ目標を立てて行動する
脳の成長には、ストレッチ目標の設定をオススメします。ストレッチ目標とは、少しだけ背伸びすれば実現できそうなことをゴールに設定する、目標設定のテクニックです。
適切な目標設定は、じつは案外むずかしいもの。高すぎる目標は挫折を生み、低すぎる目標は成長や達成感が得られません。だから、少し頑張ればなんとか手の届く「ストレッチ目標」の設定が重要になってくるわけです。
適切なストレッチ目標を設定できれば、スキルや知識を最短距離で取得できます。たとえば、ランニングで結果を出したいなら、自己ベストを目標にしては駄目です。
自己ベストより少しだけ速いタイムを設定し、どうやったらそのタイムを更新できるか、試行錯誤してください。その試行錯誤する過程が、あなたの能力を一気に高みへ引き上げてくれるでしょう。
8.覚えたことを人に説明してみる
覚えたことを誰かに説明する行為は、学んだ内容の深い理解と記憶の定着に対して、非常に効果的です。
説明をしようと思えば、知識を整理して相手にわかりやすく伝える必要があるため、自分のなかで情報が再構築されます。その過程で、曖昧な部分や理解不足な点が明確になり、しっかりと修正ができるわけです。
たとえば、仕事で新しい知識やスキルを学んだら、ぜひ同僚に「こういうことを学んだよ」と話してみてください。同じ仕事に携わる者同士、きっと興味をもって耳を傾けてくれるはずです。
話し終わったら、今度はできる限りフィードバックをもらいましょう。よいフィードバックは自信を与えてくれるし、マイナスなフィードバックは今後の課題を教えてくれます。
なお、よい説明のためには、下準備が重要です。インプットした情報をわかりやすく要約する方法については、別記事で紹介しています。ぜひそちらの記事もご参照ください。
◆要約のポイントについては、コチラの記事でお読みいただけます
9.自然の癒しパワーを賢く利用する
脳の成長と聞けば、どうしても「学習やトレーニングで脳を鍛える」というイメージをもってしまいます。たしかに学習やトレーニングは、脳の成長に不可欠です。
ですが、それと同じくらい、脳のリラックスを意識する必要があります。ストレスにさらされ、疲れ切った状態なのに、よいパフォーマンスを発揮できるわけがないからです。
さまざまなストレス対策法があるなか、今回は自然とのふれあいを紹介します。自然のなかで木々に囲まれていると、なんだか心が落ち着きませんか?
これは、樹木が発散する香り成分「フィトンチッド」が、大きく関係しています。フィトンチッドは、細菌や害虫から守るために、動けない樹木が放出する揮発性物質です。フィトンチッドには、大きく以下のような効果があるといわれています。
- 殺菌
- 消臭
- 防虫
- 免疫力アップ
- 抗酸化作用
- ストレス軽減
環境省のサイト※を見ると、「同じようなストレスを受けていても、自然のなかで過ごすと、都会にいるより13%もストレスホルモンが減少した」という、ストレス軽減に関するデータが掲載されていました。
もし、自然のなかに出かける時間がなくても大丈夫です。街路樹の多い通勤路を歩いたり、ベランダに鉢植えを置いたり、それも無理なら、自然の写真を見るだけでもストレスは軽減できます。
※参考: データで見る国立公園の健康効果とは? | 国立公園に、行ってみよう! | 環境省
◆自然がメンタルに与える影響については、コチラの記事でもお読みいただけます
10.デジタルデトックスで脳の負担を減らす
私たちは、普段スマホやパソコンに囲まれた生活を送っています。たしかに、スマホやパソコンは便利です。もはや、こういったデジタルデバイスなしでは生活ができないでしょう。
しかし、デジタルデバイスを長時間使用していると、脳が過剰な情報にさらされ、疲労やストレスを感じやすくなります。また、絶え間なく鳴るSNSの通知やゲームの誘惑により、私たちの集中力は簡単に奪われてしまいます。
そこでオススメしたいのが、デジタルデトックスです。1日のうち30分〜1時間スマホを手放すだけでも、脳はゆっくりと休めます。できれば、脳のゴールデンタイムである午前中くらいは、スマホを見えない場所にしまいたいところです。
机の上にスマホを放置するのは、絶対にオススメしません。たとえ電源が入っていなくても、スマホが視界に入るだけで、意識がスマホに移ってしまうからです。
できるだけスマホに触れる時間を減らし、その間にやるべきことに集中しましょう。そうすれば、脳がダメージを受けることなく、作業効率は劇的に向上します。
◆過剰なデジタルデバイス使用の弊害については、コチラの記事でもお読みいただけます
まとめ
今回は、脳の成長に関連するさまざまな情報をお届けしました。脳を成長させたいなら、まず脳の成長を阻害する要因の排除が先決です。脳機能を低下させる悪い生活習慣を改め、ストレスとうまく付き合うリラクゼーション法を身につけましょう。
あとは、ここまで紹介した生活習慣の改善やリラクゼーションと合わせて、10個のアイデアのなかから、まずはどれかひとつ選んで取り組んでみてください。