記事の監修
株式会社瞬読 代表取締役山中恵美子
大学卒業後、関西テレビ放送株式会社に勤務。2009年学習塾を開講し3万人の生徒が卒業。
学習効果を上げる方法として速読を取り入れる。これが後の「瞬読」となり生徒が次々と難関校に合格。
2018年瞬読のみの講座が開講し、現在受講生は2,600名を超える。
著書『瞬読』は10万部超えのベストセラーに。その他、TV・ラジオなどメディアにも多数登場し、全国に瞬読を広めている。
認知症については、まだまだ明らかになっていない面が数多くあります。とはいえ、認知症になりやすい人には、ある程度共通した特徴があるのも事実です。
当記事では、認知症になりやすい人に見られる9つの特徴と、それを回避するための実践的な方法を分野別に解説します。自分自身、そして大切な人の認知症リスクを減らしていくための第一歩として、今回紹介する情報が少しでも役立てば幸いです。
目次
【分野別】認知症になりやすい人の特徴
認知症になりやすい人の特徴を、「病気や遺伝」「生活習慣の影響」「性格による影響」という3つの側面から解説していきます。
病気や遺伝
今回紹介する病気によって、必ず認知症になるわけではありません。しかし、健康で元気な人と比べて、脳がダメージを受ける確率が高まるのは間違いのない事実です。できるだけ病気にならないよう、普段から健康には気をつけましょう。
糖尿病
糖尿病になり、高血糖な状態が長期間続くと、認知症になりやすいといわれています。さらに、認知症になれば認知機能が衰えてしまい、血糖コントロールがうまくできません。そうして、ますます認知症が進行していくわけです。
国立国際医療研究センターのサイト※を見ると、糖尿病患者が認知症になる確率は、アルツハイマー型で約1.5倍、脳血管性認知症の場合は約2.5倍も高くなると書かれています。
残念ながら、いったん糖尿病になると、完治はなかなかむずかしいというのが現実です。もちろん、体質や改善方法への取り組み方などによって、回復の度合いは変わってきます。でも、認知症になりたくないなら、とにかく糖尿病にならない生活習慣を心がけるしかありません。
※参考:認知症 | 糖尿病情報センター
脳血管系の病気
先ほど紹介した脳血管性認知症は、脳内の血管障害が引き起こすタイプの認知症です。脳内の血管障害には、大きく「脳梗塞」と「脳出血」があります。
脳梗塞は、血管の一部が詰まり血液の流れなくなった脳細胞が、適切な酸素や栄養を受け取れなくなり損傷を受ける症状です。一方で脳出血は、血管の破れによって溢れ出た血液により、周辺の脳細胞が壊死する病気になります。
どちらのタイプとも、通常の認知症と同様に、記憶障害や言語障害といった認知機能の低下は免れません。ただし、脳血管障害の場合、認知機能低下と正常な状態が交互に現れる、いわゆる「まだら認知」と呼ばれる状態になるケースが多いです。
いずれにせよ、いったん発症すると完全な回復はむずかしいため、予防が非常に重要になってきます。脳梗塞・脳出血どちらも、高血圧の影響を受けやすいので、日頃から自分の血圧をしっかりと管理しておくよう心がけてください。
ストレスによるメンタルへのダメージ
長期間にわたるストレスは、メンタルへ重篤なダメージを与え、認知症のリスクを高めることが知られています。
狩猟生活をしていた時代、人間は常に動物に襲われる危険性と隣合わせでした。そのため危険を察知すると大量分泌されるコルチゾールやアドレナリンといったストレスホルモンが、血圧や心拍数の上昇を促し、危険に対処できるよう進化していったのです。
こうしたストレスホルモンは、短期的な分泌であればまったく問題ありません。むしろ、緊張や不安を乗り切るために、不可欠とさえいえるでしょう。
ただし、大量のストレスホルモン分泌が慢性化すると、脳細胞がダメージを受けやすいです。なかでも、記憶の司令塔「海馬」が受けるダメージは深刻で、海馬が縮小し記憶障害を引き起こすという研究データが多数存在します。
もちろん、現代では外敵による危険はほぼありません。でもその代わりに、人間関係や金銭問題といった新たなストレスに悩まされている人が多いです。こういった問題は簡単には解決しないことが多く、長期的にメンタルや認知機能がダメージを受けてしまいます。
◆コルチゾールが海馬に与える影響については、コチラの記事でもお読みいただけます
生活習慣の影響
先ほど、病気による認知症への影響について説明しました。病気の怖さは十分ご承知のこととは思いますが、そういった病気を引き起こす大きな原因となっているのが、食生活や睡眠といった生活習慣の乱れです。
今回は、食生活と睡眠、そしてスマートフォン問題について紹介します。運動については、以下の記事でご確認ください。
◆生活習慣が脳に与える影響については、コチラの記事でお読みいただけます
乱れた食生活
健康的でバランスの取れた食生活は、脳の健康を維持するために不可欠です。乱れた食生活、とくに高脂肪・高カロリーの食事は、認知症のリスクを増加させることが科学的に証明されています。
たとえば、血液中の脂質(悪玉コレストロールや中性脂肪)が異常に増加した状態になると、動脈硬化が起きやすくなります。
動脈硬化により血流が悪くなれば、脳へ十分な酸素と栄養を供給できません。その結果、脳細胞がダメージを受けやすくなり、認知症の引き金になってしまうわけです。
高脂肪による認知症リスクを軽減したいなら、当たり前ですが悪玉コレストロールの少ない食事を心がけるしかありません。過度な肉食を控え、緑黄色野菜や海藻、青魚などを積極的に食べるようにしましょう。
◆青魚に含まれるオメガ-3脂肪酸については、コチラの記事でお読みいただけます
短時間睡眠が常態化
睡眠は、脳が日中の情報を整理し、記憶を固定するための重要な時間です。短時間睡眠が習慣化すると、脳の回復と整理のプロセスが十分におこなわれず、認知機能低下のリスクが高まります。
じつは、睡眠には「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の2種類があり、記憶の整理はレム睡眠中だけおこなわれます。
レム睡眠は寝入りばなは短く、明け方に近づくほど長くなるので、短時間睡眠になると明け方の長いレム睡眠を逃してしまう可能性が高いです。
こういった理屈を抜きにしても、単純に寝不足の翌日は頭がぼーっとしていますよね。それが毎日続くと考えれば、認知機能が低下して当然です。
部屋を暗くして快適な温度を保ち、寝る前のスマートフォンをやめれば、今よりも確実に睡眠の質と時間が向上します。できれば、毎日7〜8時間の良質な睡眠を取るように意識してください。
◆睡眠の重要性については、コチラの記事でもお読みいただけます
スマートフォンへの依存
スマートフォンへの過度な依存は、睡眠障害や注意力散漫を引き起こし、それが認知症のリスクを高める要因となります。
とくに、就寝前のスクリーンタイムは、非常に要注意です。スマートフォンの画面は、強力なブルーライトを発しています。寝る前にこのブルーライトを浴びると、メラトニンの分泌が減少して体内時計が狂ってしまうのです。
部屋を暗くして寝る準備をしている脳が、急に明るい光を浴びせられたら、睡眠のリズムと質がおかしくなるのは当然でしょう。
また、スマートフォンの過剰使用は社会的な交流を減少させ、孤独感や抑うつ状態を増加させる可能性があります。友達と一緒にご飯を食べにいっても、お互いスマートフォンをいじっている姿は、どう考えても異常です。
スマートフォンを手放せとはいいませんが、節度ある使用法が求められているのは間違いありません。スマートフォン対策については、のちほど詳しくお伝えします。
性格による影響
認知症になりやすいかどうかは、その人の性格が大きく関係していると考えられています。今回は、認知症になりやすい性格の特徴を3つご紹介します。
なんでも自分で抱え込んでしまう
なんでも自分で抱え込むというのは、言い換えると「自分で積極的に行動する」という意味であり、本来は認知症になりにくいはずです。しかし人に頼れないがゆえに、明らかなキャパオーバーの場面でも無理をするので、知らないうちにストレスが溜まっていきます。
前述の通り、慢性的なストレスは記憶力の低下や判断力の減退を引き起こし、認知症への道を早める可能性が高いです。
さらに、自分だけで完結しようとする人は、どうしても他人とコミュニケーションを取る機会が減ってしまいます。こうした状況が続くと、ひいては社会的孤立を招き、さらにストレスが大きくなってしまうでしょう。
なんでも抱え込む自覚のある人は、自分が壊れてしまう前に、少しずつ人に頼ることを学ぶほうがいいかもしれません。
こまかいことが気になる
こまかいことにこだわる人は、ちょっとしたミスが許せません。ほかの人が「しかたがない」と割り切ってしまうところが、いつまでも気になってしまうのです。
思うようにいかないことが人よりも格段に多いわけですから、なにかあるたびにストレスが溜まります。長期にわたるストレスによって、記憶の司令塔である海馬や前頭前野が縮小するという研究結果もありますから、こだわりもほどほどにしておくほうが無難です。
また、あまりにもこまかいと、いつか周りから人が離れてしまいます。指摘されるのが怖いし、かりに指摘されなくても、あなたの機嫌に振り回されるのが面倒だからです。
そうなれば、孤立感によってさらにストレスが大きくなります。この点は、先ほどの「なんでも自分で抱え込んでしまう」と同じですね。
イライラしやすい
イライラしやすい性格は、ささいなことで感情が大きく揺れ動くので、まず自分が疲れてしまいます。もちろん、本人からすれば自覚はないでしょう。しかし、ストレスに弱い海馬や扁桃体といった器官は、間違いなくダメージを受けています。
さらに、いつもイライラしている人の周りには、人が寄ってきません。いつイライラをぶつけられるか、相手が恐怖心や面倒な気持ちを感じてしまうからです。
こうなると、孤独感から余計イライラするようになり、本当に負のスパイラルから抜け出せなくなってしまいます。
認知症を回避する方法
ここまで、認知症になりやすい人の特徴をお伝えしてきました。自分に当てはまる項目は、いくつありましたか?
もし、複数個当てはまるようなら、これから紹介する方法を参考にしながら、少しずつ原因を取り除いていくように取り組んでみてください。
定期的に医師の診断を受ける
定期的な医師の診断は、認知症の早期発見と予防に不可欠です。認知症はある程度進行してしまうと、完全に元へ戻すのは非常にむずかしいとされています。一方、ごく軽度な認知症であれば、適切な治療とトレーニングによって、限りなく元の状態に近づけることも可能です。
また、今回お伝えしたように、糖尿病や脳梗塞といった生活習慣病は、認知症を引き起こす大きな原因になっています。こういった症状は、自分ではなかなか気づけません。
毎年きちんと健康診断を受けて、もし少しでも異常が見られるようなら、できるだけ早く医師の診断を受けたほうがいいです。食生活や睡眠、運動といった、病気の予防(改善)方法についても、専門的な見地からしっかりと指導してもらえます。
ブレインフードを積極的に摂取する
世の中には、脳によいとされる、いわゆる「ブレインフード」が数多く存在します。認知症を予防するなら、ぜひこういったブレインフードを積極的に食べるようにしましょう。
たとえば、ブルーベリーには、アントシアニンという強力な抗酸化物質が含まれており、脳の過剰な活性酸素を除去してくれます。
青魚に多く含まれるオメガ3脂肪酸も、認知力回復の効果が期待できる重要な栄養素です。実際、「魚を週に1回以上摂取した人は、魚をほとんど食べない参加者と比較してアルツハイマー型認知症のリスクが60%低かった」という研究データ※1もあります。
オメガ3脂肪酸には、血栓や動脈硬化を予防する働きもあるので、できれば週に2〜3回は魚を食べたいところです。
以下、ハーバード・ヘルス・パブリッシングに掲載されているオススメのブレインフード※2を紹介しておきますので、興味のある方は美味しい食べ方などを研究してみてください。
- 緑の野菜
- 脂の乗った魚
- ベリー類
- お茶/コーヒー
- クルミ
※1:Consumption of fish and n-3 fatty acids and risk of incident Alzheimer disease
※2:Foods linked to better brainpower – Harvard Health
◆ブレインフードについては、コチラの記事でもお読みいただけます
まずはウォーキングとストレッチから
認知症予防には、日常的な運動が欠かせません。以前、別記事で、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)が提唱する以下の運動強度※を紹介しました。
- 速歩きのような中強度の運動を週に最低でも150分
- 週2日以上の筋力トレーニング
- 片足立ちのようなバランス運動を週に3日(65歳以上)
健康で普段からある程度体を動かしている人なら、週に150分の速歩きは十分可能でしょう。週に2日の筋力トレーニングも問題なくこなせるはずです。
しかし、普段運動の習慣がない人にとって、運動を続けるのは正直かなり大変ではないでしょうか。無理をして上記の運動強度を目指しても、おそらく途中で挫折してしまいます。
まずは運動の習慣化を最優先とし、ごく軽めの有酸素運動(ウォーキング・ストレッチなど)からスタートするのがオススメです。具体的な運動強度は、おしゃべりしながら続けられる、いわゆる「にこにこペース」くらいがちょうどよいでしょう。
※参考: What You Can Do to Meet Physical Activity Recommendations
◆高齢者でもできる脳トレ運動については、コチラの記事でお読みいただけます
最低7時間以上ぐっすりと眠る
寝不足の翌日は、ボーッとして頭がうまく働かないですよね。これは、睡眠が脳の疲れを回復させる大切な休養時間であることを示しています。
さらに脳は、睡眠中に記憶の整理と定着をおこないます。だから、4〜5時間といった極端に短い睡眠時間しか取れない場合、記憶の整理と定着が十分におこなわれません。
また、睡眠時間が5時間未満の人は、6〜8時間の人に比べて認知症になる可能性が2倍高く、死亡する可能性も2倍高いという研究データ※もあります。
さらに、70歳まで睡眠時間が6時間しか取れていない人は、7時間睡眠を習慣にしている人に比べて、認知症リスクが30%増加するという研究データがヨーロッパで発表されています。
脳機能の低下だけでなく、認知症リスクも大幅にアップすると考えると、どんなに忙しくても7時間以上の睡眠を確保したいところです。
ぐっすりと眠るためのポイントについては、以下の記事で紹介しているので、よかったら参考にしてください。
※参考: Sleep well — and reduce your risk of dementia and death – Harvard Health
◆睡眠が脳へ与える影響については、コチラの記事でもお読みいただけます
メンタルケアの方法を学ぶ
今回紹介した認知症の原因の説明で、もっとも頻出したのが、ストレスによる脳へのダメージではないでしょうか。それくらい、ストレスが私たちの脳に与える影響は大きいのです。
こういったストレスを減らすには、まずストレスの原因を解決する必要があります。とはいえ、仕事や人間関係、あるいは金銭に関する問題は根深いことが多く、1日2日で簡単に解決できるケースは少ないでしょう。
であれば、ストレスから脳を守るためにも、ぜひメンタルケアを学んでください。オススメは、マインドフルネス瞑想です。マインドフルネス瞑想では、過去や未来ではなく今の自分に集中して、後悔や不安といったマイナスの感情を少しずつ手放していきます。
あのグーグルでも、社内研修としてマインドフルネス瞑想を取り入れた実績があるそうです。幸いマインドフルネス瞑想に関する書籍も数多く出版されています。ぜひいちどじっくりと調べてみてはいかがでしょうか。
◆メンタルケアについては、コチラの記事でもお読みいただけます
コミュニティを複数確保しておく
認知症の予防という点でいうと、参加できるコミュニティをいくつかもっておくのがオススメです。いつも同じ場所で同じ人と同じことばかりしていると、あまり考えなくても生活が成立してしまうため、脳の機能が少しずつ鈍化していきます。
漫画などを読むと、よく「連れ合いを亡くしてぼんやりしているうちにボケがはじまってしまうシーン」が出てきますよね。それだけ、外部環境から受ける刺激が脳の働きに与える影響は大きいのです。
普段、家族や特定の友達とばかり会っている人は、ぜひ違うコミュニティに参加してみましょう。趣味のサークル・語学スクール・ボランティア活動など、コミュニティの種類はなんでも構いません。
複数の居場所があると、それぞれ異なる視点や経験を得るチャンスが増え、認知機能を維持する大きな助けになってくれるでしょう。
とはいえ、同じ世代とばかり接していると、コミュニティを複数もつ意味が薄れてしまいます。できれば、ひとつくらいは、さまざまな年代の集まるコミュニティにも参加したいところです。
新しいことに取り組む
「コミュニティを複数確保しておく」でもお伝えしたように、認知機能の活性化には外部の刺激が非常に有効です。同じことばかりしていると、その作業に慣れてきて、考えなくても問題なくこなせてしまいます。
ある意味、考えなくてもこなせてしまうルーチンワークは、効率という面で最適解でしょう。しかし、ルーチンワークは、人間の脳から「ものごとを深く分析・判断する」機会を奪ってしまいます。
仕事上での定型化はある程度仕方ありませんが、プライベートでは、ぜひ積極的に新しいことにチャレンジしてみてください。
たとえば、スポーツが趣味の人なら、新しい言語を学んだり、楽器を習ったり、絵を描いてみたりと、これまで縁のなかった分野に取り組んでみるのもおもしろいですよね。
反対に、普段座って作業をすることが多いなら、ゴルフやテニス、あるいは釣りやキャンプといった屋外のアクティビティがオススメです。他人と一緒に活動するものを選べば、新しい視点を学ぶ機会も増えるし、なによりコミュニケーション能力が磨かれます。
まずは、気になるものをなにかひとつ選んで、気軽にチャレンジしてみましょう。
アルコールと喫煙には要注意
認知症を少しでも遠ざけたいなら、アルコールと喫煙には注意が必要です。厚生労働省のe-ヘルスネット※1には、アルコール依存症、もしくは大量飲酒者に認知症患者が多いと明記されています。
同サイトに掲載されている研究結果によると、「過去に5年間以上大量に飲酒をした高齢男性は、そうでない人と比べて、認知症の危険性が4.6倍、うつ病の危険性が3.7倍もあった」そうです。
一方、喫煙についても、やはり認知症のリスクを大幅に引き上げるといわれています。たとえば、日本健診財団のコラム記事※2には、喫煙者は非喫煙者の約2〜3倍も認知症の発症率が高いという研究結果が掲載されていました。
さらに、喫煙が原因の高血圧により血管が収縮すると、血管性認知症のリスクが約10倍も高いというデータも紹介されています。
幸い、脳の萎縮が顕著になる前に禁酒・禁煙すれば、認知症リスクを下げることは可能です。いきなりスッパリとやめるのはむずかしいかもしれませんが、無理のない範囲で少しずつ改善を目指してみてください。(依存症に近いレベルの人は、できるだけ早めの専門医の受診をオススメします)
※参考1: アルコールと認知症 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
※参考2: 喫煙者 認知症 なりやすい | 日本検診財団
スマートフォン対策を真剣に考える
スマートフォンの過剰使用は、睡眠障害、注意散漫、社会的孤立など、認知症リスクを増加させる多くの問題を引き起こします。まず、ベッドに入ったら、決してスマートフォンを見ないと決めましょう。
スマートフォンをどうしても見てしまう人は、スマートフォンをベッドに持ち込むのをやめてください。目覚ましとして使っている人は、専用の目覚まし時計を用意しましょう。
日中の使用については、いくつか決めておくことがあります。
- SNSを見る時間は1日1時間まで
- 誰かと一緒にいるときは原則スマートフォンを見ない
- 集中してやるべきことがある際には、スマートフォンをしまっておく
一例として1日1時間としましたが、極端に多くなければ自分で決めてもらって問題ありません。それより重要なのは、勉強や仕事中にスマートフォンを見て、集中力や判断力を奪われてしまうことです。
なにかやっているときに、ほんの一瞬スマートフォンをチラッと見るだけでも、集中力は奪われてしまいます。
また元の作業に集中するまで、少なくとも15分はかかるというデータもあるので、意思の弱い人は電源を切って目に見えないところに隠すくらいでちょうどいいかもしれませんね。
◆スマートフォン対策については、コチラの記事でもお読みいただけます
認知症予防にオススメの脳トレ6選
認知症を予防したいなら、脳トレで積極的に脳を刺激するのもひとつの方法です。今回は、認知機能別にオススメの脳トレをひとつずつご紹介していきます。
記憶力改善「日記」
記憶力改善の方法はいくつもありますが、そのなかでも日記は非常にオススメです。毎日の日記を習慣化することで、自分が経験したことや感じたことを覚えておこうという意識が働き、自然と記憶力が向上します。
その日の経験をできるだけ抜けなく記憶しておくには、発生したできごとを簡潔にまとめる「要約力」が必要です。
すべてのできごとを覚えておくのは不可能ですから、1日のなかでもとくに印象深かった内容を凝縮して、自分の言葉で簡潔に説明できるようにしておかなければなりません。
こうした一連の作業がスムーズにできるようになると、覚える負担が減り、記憶力が俄然アップします。
また、日記には、思考を整理する効果もあります。自分の気持ちや考えを日記に書き出せば、頭のなかで覚えておく必要がなくなり、新しい情報をインプットするスペースが生まれるからです。
考えることが多くて、いつも頭がごちゃごちゃしているという人は、ぜひ日記の習慣化に取り組んでみてください。
◆オススメの記憶力改善方法については、コチラの記事でお読みいただけます
言語能力改善「読書」
言語能力に優れている人の多くは、非常にたくさんの本を読んでいる印象が強いです。実際、読書量と言語能力の関係性に関するデータは多数存在します。
たとえば、2016年に株式会社ベネッセコーポレーションが実施した「第1回現代人の語彙に関する調査※」では、「年代を問わず、読書量が多い人、幅広いジャンルを読書する人の方が語彙力は高かった」という結果が発表されています。
言語能力は、生活の基盤ともいえる非常に重要な認知機能です。言葉の意味がわからなくなったり、思うように言葉が出てこなかったりすれば、日常生活に支障が出てきます。そういった状況を回避するには、やはり日頃から言語能力をしっかりと鍛えておくのが重要です。
言語能力を総合的に底上げしたい人は、まず小説から読みはじめるのをオススメします。小説を読むと、バリエーションに富んだ語彙や表現に出会えます。
自分のなかに少しずつそういった表現方法がストックされていくと、自分の思いを言語化するのがどんどん楽になっていくでしょう。
※参考: 「第1回 現代人の語彙 ご い に関する調査」 結果速報
◆読書の脳トレ効果については、コチラの記事でもお読みいただけます
計算力改善「計算文章問題」
計算力を鍛えるためには、やはり地道に計算問題を解くのがもっとも近道でしょう。とはいえ、「大人なのに小学生向けの計算ドリルなんて……」と、抵抗感を抱く人もいるかもしれません。
そういった人には、算数の文章問題をオススメします。文章問題とは、「自転車が定価の45%オフで売られているが、販売価格が39,800円なら定価はいくらか?」といったように、文章形式で出題される計算問題です。
文章を読み解き、計算方法を導くところから考えなければならないので、単純な計算問題よりも難易度は数段アップします。でも、文章問題を繰り返し解いていると、数学がただの数式の羅列ではなく、実際の生活と結びついていることを実感できるはずです。
そうすれば、実生活でも自然と頭のなかでパッと計算できるようになり、ますます計算力が磨かれます。さらに、文章問題を繰り返し解いていると、計算力だけでなく読解力や論理的思考力も向上します。
もちろん、ある程度基礎的な計算力が備わっている人は、中学や高校の数学問題に取り組んでいただいて構いません。自分のレベルに合わせて、自由に計算を楽しみましょう。
注意力改善「間違い探し」
迷路クイズやひっかけ問題など、注意力改善に効果的な脳トレは数多く存在します。なかでも、楽しく注意力を鍛えるなら、間違い探しは非常にオススメです。
間違い探しとは、2つの似た絵や写真を見比べて、微妙に違う部分を見つけ出すゲームです。簡単な間違いと、巧妙にカモフラージュされている間違いが混在しているパターンが多く、すべての間違いを見つけ出すのはなかなか大変でしょう。
たとえば、上記間違い探しクイズの難易度はそれほどむずかしくありませんが、それでも鳥の羽根の向きやヒゲの長さなど、うっかりすると見逃す間違いがたくさん紛れています。
こういった間違いを見つけ出すには、2枚の絵を端から端までじっくりと比較していかなければなりません。そのため、自然と細かい部分に注意を払う力や集中力も鍛えられます。
また、むずかしい間違いを見つけたときには、「あー、ようやく見つけた!」という、なんともいえないスッキリした気持ちが得られます。スキマ時間の暇つぶしにも最適なので、ぜひ気軽に取り組んでみてください。
◆注意力を鍛えるオススメの脳トレについては、コチラの記事でお読みいただけます
集中力改善「ひっかけクイズ」
数ある集中力改善の脳トレのなかから、今回はひっかけクイズをご紹介します。一般的にひっかけクイズといえば、わざと間違いやすいポイントを織り交ぜて、解答者を混乱させる仕掛けがしてある問題を指します。
たとえば、「道路の真ん中にあるのはなに?」という問題が出されたら、あなたはなんと答えますか?
おそらく、センターラインと答えた人が多いのではないでしょうか。答えは、「う」です。「ど・う・ろ」の真ん中だから、「う」が正解になります。
では、もう1問。
春・夏・秋・冬・1年のなかで1番長いのはいつ?
答えは、1年です。つい、春・夏・秋・冬のなかから答えを選ぼうと思ってしまいますが、そこがひっかけです。1年も選択肢のひとつと考えれば、1番長いのは1年になりますよね。
答えを見れば、バカバカしいと思うかもしれませんが、なにも見ないで答えを当てるには、ひらめきと集中力が必要です。
少し探せば、書籍やネットで、さまざまな難易度のひっかけクイズが入手できます。自分に合った難易度のクイズで、どしどし集中力を鍛えてください。
遂行力改善「料理」
遂行力とは、あまり馴染みのない言葉かもしれませんが、日常生活において、非常に重要な役割を担っています。遂行力とは、ようするに、計画を立てて実行する力のことです。
認知症になり遂行力が衰えると、順序立ててものごとを考えたり、複数のタスクを適切に振り分けたりといったことができなくなってしまいます。
遂行力を鍛えたいなら、料理は最適な方法のひとつです。料理をするときは、選択したレシピを基に、買い出し・下ごしらえ・調理・配膳・片づけを適時おこなっていきます。鍋にお湯を沸かしながら、同時に野菜をカットするというように、同時作業も非常に多いです。
同時並行で作業をどんどん進めていかないと、調理時間が何時間もかかってしまいますからね。日頃から、料理の段取りを頭のなかでサッとおこなう訓練をしておくと、遂行力の低下を最小限に抑えられます。
また、料理にはタイミングや順序を考える力も必要です。野菜が煮える時間や肉の焼き加減を見極めるためには、集中力や観察力も要求されます。
脳トレ効果を最大限引き出したい人は、ぜひ普段あまり馴染みのないレシピに挑戦してみてください。脳が刺激を受けて、脳トレ効果は大きくアップしますので。
◆料理の脳トレ効果については、コチラの記事でもお読みいただけます
まとめ
認知症リスクを高める要因として、病気やストレス、生活習慣、性格特性などが考えられます。そして、病気やストレスのように、自分ではなかなか気づけない要素も数多くあります。
健康的な食事・適切な睡眠・ストレスの管理、そして定期的な医師の診断などが、認知症予防には欠かせません。こうした日々の小さな努力が、将来の健康を守る鍵となります。面倒くさがらず、ぜひひとつずつ取り組んでみてください。