
記事の監修
株式会社瞬読 代表取締役山中恵美子
記事の監修
株式会社瞬読 代表取締役山中恵美子
大学卒業後、関西テレビ放送株式会社に勤務。2009年学習塾を開講し3万人の生徒が卒業。
学習効果を上げる方法として速読を取り入れる。これが後の「瞬読」となり生徒が次々と難関校に合格。
2018年瞬読のみの講座が開講し、現在受講生は2,600名を超える。
著書『瞬読』は10万部超えのベストセラーに。その他、TV・ラジオなどメディアにも多数登場し、全国に瞬読を広めている。
脳科学研究 第一人者の推薦
私は「瞬読」を推薦します!

瞬読は能力開発において計り知れない恩恵をもたらすでしょう
私は40年以上にわたり脳科学を研究してきました。AIの進展で10年後には多くの仕事が消え、2020年のセンター試験廃止で「詰め込み」教育も通用しなくなります。これから求められるのはイメージ力・判断力・思考力・コミュニケーション力・共感力といった能力開発領域の力であり、これらを備えた人が各業界のリーダーになります。瞬読トレーニングは速読だけでなく、これらの能力を高める手段にもなるため、豊かな人生を目指す皆さまに自信を持って推薦します。
最近では、個人間だけでなく業務上のコミュニケーションも、LINEなどのSNSを利用することが多くなりました。ただこういったSNSでは、どうしても短い文章でのやりとりが多く、うまくコミュニケーションが取れないという悩みをよく耳にします。
でも、安心してください。読解力を鍛えれば、こういった問題に悩まされる心配もありません。
今回の記事では、読解力アップで得られるメリットや、読解力を鍛える方法などについて、わかりやすく解説していきます。自分の読解力に不安のある人は、ぜひ参考にしてください。
目次
読解力を鍛える前に知っておきたい読解力不足の原因とは
あとから読解力を鍛える7つの方法を紹介しますけれども、その前に読解力不足に陥る原因を明確にしておきましょう。原因がわかれば、7つの方法がどういう部分を改善してくれるのか、よく理解できるようになります。
日本人の読解力は大きく低下している
参考:文部科学省「OECD 生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)のポイント」
なにをおいてもまずは、日本人の読解力が低下している現状をしっかりと確認しましょう。経済協力開発機構 (OECD)では3年に1度、15歳の男女を対象に「学習到達度調査(PISA)をおこなっています。
PISAで調査する項目は、読解力・数学的リテラシー・科学的リテラシーの3項目。2018年におこなわれた最新の調査では、この3項目のうち「読解力」だけがランクを大きく落としてしまいました。
2012年にOECD加盟国中4位だった読解力は、2015年「8位」・2018年「11位」と、ついにトップ10から陥落してしまいます。
とはいえ、じつは読解力の試験のなかでも、「理解力」では依然高い点数を維持しているのです。今回点数を下げたのは、「情報を探し出す力」と「評価して熟考する力」のふたつです。
また同時に、根拠を提示して自分の考えを的確にまとめる力も苦手という結果が出ています。
もっとも、普段使い慣れていないデジタル機器での試験だったため、ランクが下がったという経緯も見逃せません。今回の試験で、日本の教育現場へのデジタル導入の遅れが浮き彫りになりました。
いずれにしても、書き手に「根拠を提示して自分の考えを的確にまとめる力」が足りず、読み手に「評価して熟考する力」がなければ、誤解を生みトラブルが増加するのも当たり前です。今の日本には、早急な読解力の改善が必要なのは間違いありません。
SNSによる短文のやりとりが増えた
メリットの項目でも触れたように、近年友人や知人との連絡は、LINEなどSNSを利用する人が増えてきました。 また社会人の業務連絡にかんしても、電話やメールではなく、SNSでサッと済ませてしまう方が合理的だと主張する人も増えています。
しかしSNSは、手軽にコミュニケーションが取れる反面、読解力がないとトラブルが起きやすいコミュニケーションツールです。
SNSの情報は、「流し読み」が基本になります。じっくり読むというよりは、必要な箇所にサッと目を通すだけ。そのため、長文は好まれず、どうしても短文にならざるを得ません。つまり現在のコミュニケーションに使われる文章の多くは、そもそも伝えるべき内容が薄く、言葉足らずなわけです。
それでも言葉に込められた相手の気持ちを推し量る読解力があれば、大きなトラブルにはなりません。しかし前述の通り、いかんせん読解力が低下しています。
2015年の総務省調査※によると、SNSでトラブルにあった人は全体で15.6%。この数字をみるとそれほど多くないように感じますが、これが20代以下になると、約3人に1人がトラブルに巻き込まれているそうです。
トラブルの内容としては、「自分は軽い冗談のつもりで書き込んだが、他人を傷つけてしまった(誤解)」、「自分の発言が自分の意図とは異なる意味で他人に受け取られてしまった(曲解)」などが挙げられていました。
現在の流れをみる限り、SNSでのコミュニケーションは、もはや避けられないと考えておくべきです。であれば、しっかりとコミュニケーションが取れる程度の読解力を、早急に身につける必要があるでしょう。
※参考:総務省「社会課題解決のための新たなICTサービス・技術への人々の意識 に関する調査研究」
対面での会話が減っている
前述のとおり、私たちのコミュニケーションは、SNSなどを使った文字によるものへ大きくシフトしました。つまり、人と直接顔を合わせてじっくりと会話をする時間が、以前よりも大幅に減っているわけです。
そのため、普段なら決していわないようなキツイ言葉や、激しい表現を使う人が増えました。直接相手の反応がみえないから、自分の言葉で相手がどう感じるのかを想像できないんでしょうね。
こういった状況は、家族の関係性が変化したことで、さらに悪い方向へ進んでいるように感じます。昔は食事中や居間でくつろぐ時間に、家族といろいろ話ができました。今日のできごとや自分の考えを両親や兄弟に話すことで、自然と他人の反応を学べたのです。
ところが今や、家族が一緒にいても、各自がスマホで好きなことをしています。これでは、相手の気持ちを汲み取ることなど、できるわけがありません。(スマホについては親世代にも問題はありますね)
スマホによる便利な生活は手放せないとしても、私たちはもう少し対面でのコミュニケーションを増やすべきではないでしょうか。
情報の正当性や信頼性を確かめる訓練を受けていない
ほとんどの人は、情報(文章や会話)の正当性や信頼性を確認する訓練を受けていません。漢字の読み方や文章の構成は学校で習っても、内容が正しいかどうかチェックする方法を教えてもらっていないのです。だから前述のとおり、「情報を探し出す力」「評価して熟考する力」が、大きく低下してしまったのでしょう。
今やネットを調べれば、知りたいことの答えがすぐにみつかる時代です。しかし、ネットの記事にはソースが曖昧なものも多いし、そもそも間違っている情報もたくさんあります。
書き手の主義主張が強く反映されるという意味では、本も危ないですね。きちんと出版されているからといって、内容が正しいとは限りません。事実と主観(意見)は、まったく異なるものです。
本は売れるために、どうしてもインパクトのある主張が強調される傾向にあります。エビデンスとして提示されたデータも、見せ方次第でプラスマイナスどちらにも誘導が可能です。だから、事実と主観をみわける力がないと、簡単に事実と主観を混同してしまいます。
子どもの読解力を伸ばすとどのようなメリットがあるのか?
子どもの読解力を伸ばすと実際どのようなメリットがあるのか、やはり気になりますよね。今回は、とくに大きなメリットを4つピックアップして解説していきます。
勉強全体の成績アップにつながる
読解力がある子は、結果的にすべての教科の成績が伸びやすいといわれています。なぜなら、どの教科でも「問題を正しく読み取る力」が土台になっているからです。
たとえば算数の文章題では、いくら計算が得意でも、問題文の意味を読み違えると正解にはたどり着けません。理科や社会でも、教科書の説明を読み取る力があるかどうかで解答までのスピードがまったく変わってきます。
ある中学生は、国語の成績がよくなってきた頃から他教科も軒並み点数が上がり、本人も「読む力がついたからだと思う」と話していました。
読解力は国語だけに限定されるものではなく、あらゆる学びの基本です。なので、早い段階から読解力を鍛えておけば、勉強全体の底上げが可能になります。
テストや入試において圧倒的に有利になる
読解力があると、テストや入試で解答スピードが速くなり、ライバルに大きな差をつけることが可能になります。問題文を読み取るのに時間がかからず、すぐに設問の意図を理解できるので、解答までの時間を大幅に短縮できるからです。
長文読解や文章題の理解に時間がかかる人は、焦ってミスをしがちだし、最後の問題までたどり着けないことも少なくありません。
一方で読解力が高い子は、問題のポイントを素早く見抜けるため、余った時間を見直しや自信のない問題の検討に使えます。
実際、速読を習いにくる受験生に質問してみると、「読解力を意識して鍛えたら、時間に余裕ができて見直しができるようになった」といった回答が多数返ってきました。
テストでよい点を取るには、正確さだけでなくスピードも重要です。読解力は、その両方を支えるベースとなってくれます。
情報の選択がうまくなる
正しい情報を選び取る力は、読解力を高めることで自然と身についてきます。私たちは毎日、SNSやネット、テレビなどから膨大な情報を受け取っています。そのなかには、役に立つ情報もあれば、間違っていたり、極端だったりする内容も少なくありません。
読解力がある子は、「これは本当かな?」「この人はどういう立場で言っているんだろう?」といった批判的視点をもって情報を選びます。ところが読解力が不足している子は、そのまま内容を疑うことなく、フェイクニュースや偏向報道にコロッと騙されてしまうのです。
もちろん、いくら読解力があっても、裏を取る習慣がないと騙されてしまうことは十分あり得ます。しかし、読解力がある人は、わずかな文章のほころびや論理の飛躍から、なんとなく情報の怪しさを見抜いてしまいます。
あふれる情報に流されず、自分に必要なものを見極める力は、これからの時代に欠かせない能力です。大きなトラブルに巻き込まれないように、しっかりと読解力を鍛えていきましょう。
良好なコミュニケーションを築ける
読解力があると、他人とのコミュニケーションを取るのがうまくなります。なぜなら、表面上の意味だけでなく、「どういう気持ちで言っているのか」「本当はなにを伝えたいのか」といった言葉の背景まで考えられるからです。
たとえば、友だちが「別に怒ってないよ」と言っていたとしても、本当は怒っているかもしれません。表情や声のトーンから「あれっ……もしかして少し怒っているかも」と気づける子は、相手に配慮した返しができます。
ある小学生は、読書を通じて登場人物の気持ちを考えるクセがつき、友だちの話をよく聞いて気持ちをくみ取れるようになりました。その結果、以前よりも明らかに人間関係のトラブルが減ったそうです。
人の気持ちを理解する力も、じつは読解力の一部です。言葉の表面だけでなく、その奥にある思いまで読み取れるようになると、人間関係はぐっとスムーズになります。
【学生】読解力で受験の結果は大きく変わるって本当?
受験を控える学生にとって、読解力の有無は将来を大きく左右しかねない大問題です。先ほどお伝えしたメリットと関連する内容を一部深堀りしながら、読解力と受験の関係性を解説していきます。
国語以外の教科でも読解力が問われる
読解力と聞けば、関係するのは国語の長文問題だけと、考えてしまう人が多いようです。たしかに、読解力をもっとも問われるのは、国語でしょう。しかしほかの教科を甘く考えると、問題の理解に時間を取られてしまい、時間内に解答できないという事態にも成りかねません。
実際大学入試を例にあげると、大学入学共通テストへ変更になってから、数学や社会の問題ページ数が10ページ以上増えました。これは、国語以外の教科でも、問題文の意図をしっかりと読み取る力が必要とされることを意味します。
ダイヤモンドオンラインの記事※を読んでいたら、2022年共通テストに出題された数学の問題が掲載されていました。この問題は単純な計算問題ではなく、まず会話形式の文章を読んで、必要な情報をピックアップしなければ解けない形式になっているのが大きな特徴です。
※参考:共通テスト「数学IA」が難しかった“本当の理由”【大学入試2022】 | 2020年代の教育 | ダイヤモンド・オンライン
こういった問題形式に慣れていなければ、この会話部分から必要な情報を探すだけでも、結構な負担を感じるでしょう。でも普段からこういった問題に触れ、読解力を鍛えておけば、どの教科でも時間的ゆとりをもって試験に臨めます。
受験にもっとも必要なのは「必要な情報を拾い上げる力」
受験においてもっとも必要なのは、必要な情報を拾い上げる力です。「この問題はなにを問うているのか」「判断に必要な情報はどこにあるのか」をサッと見極める読解力があれば、正解の確率は大幅にアップします。
そのためには、少なくとも以下の能力を、普段から鍛えておかなければなりません。
- 語彙数
- 要約力
- 論理性
- 速読力
普段の話し言葉と違い、受験の問題には少々難解な表現が多く用いられます。そういった文章をスラスラと読み解くには、いかに言葉を知っているかがポイントです。もしわからない言葉があれば、面倒臭がらずに、辞書で確認するクセをつけてください。
なお、必要な情報を素早く探すには、文書のポイントをサッとまとめる「要約力」と問題文の意図を正しく導く「論理性」が不可欠です。こういった能力は、一朝一夕で身につくものではないので、普段から大事なポイントを素早く探し、正しい結論を導き出す訓練をしておかなければなりません。
また、時間制限のある受験では、素早く問題を読む「速読力」も問われます。速読については、のちほど詳しく解説します。
◆速読のしくみについては、コチラの記事でもお読みいただけます
結論と理由に注目して文章を読む
前述の要約力と論理性を身につけるには、結論と理由に注目して文章を読む意識が重要です。とくに国語の長文問題では、結論と理由をいかに素早く探し出せるかによって、解答スピードが大きく変わってきます。
当たり前ですが、受験問題には、論理が破綻している問題は出題されません。そのため、結論を導く要因(理由)が、必ずどこかに提示されています。こういった理由や結論を探す場合、ぜひ以下のような接続詞に注目してください。
- 順接:「したがって」「だから」
- 逆説:「しかし」「ところが」
- 言い換え:「すなわち」「つまり」
- 理由:「なぜなら」「というのも」
- 説明:「ただし」「じつは」
- 並列:「また」「ならびに」
- 変更:「ところで」「また」
数ある接続詞のなかでもとくに意識するのは、いうまでもなく「理由」と、結論を導く「順接」「逆説」「言い換え」です。理由や結論が登場する箇所には、ほぼ例外なくこういった特定の接続詞が使用されています。
こういったポイントを押さえておけば、たとえ本番で難解な問題が出ても、それほど焦らなくて済むはずです。
基本的な文章構造を理解しておく
ここまでお話ししてきたとおり、読解力があると、余裕をもって(時間的にも精神的にも)受験本番に対応できます。以前別記事でも、試験時間の余裕を確保できるメリットについて、紹介しました。
その時間的恩恵を受けるには、当たり前ですが、できるだけ文章を速く読まなければなりません。そのためには、後述する速読がもっとも効果的です。
ただ、速読ができなくても、基本的な文章構造さえ理解していれば、それだけでも読書スピードは格段に速くなります。とくに受験の場合、くだけた小説やコラムのような、特殊な論理展開は出題されません。本を丸々一冊読むわけではないので、「起承転結」のような構成もまず出ないでしょう。
よくあるのが、「序論・本論・結論」と、「結論・理由・事例・結論」のようなパターンです。最近は、文章の世界でもグローバル化が進み、海外のように「最初にまず結論を述べるスタイル」が好まれる傾向にあります。
ただ試験という性質上、「最初にテーマを提示して理由や事例で補足、最後に結論」という流れが、もっとも一般的なように思います。このへんは試験によっても異なりますので、あくまでも参考として頭に入れておいてください。
◆速読による試験時間の短縮については、コチラの記事でお読みいただけます
これさえやれば大丈夫!読解力を鍛える7つの方法
読解力を鍛える方法はいくつもありますが、今回はとくに有効な7つの方法をご紹介します。それではひとつずつ見ていきましょう。
1. 「多読」で語彙力と文章構造の感覚を身につける
読解力をアップさせるには、まずは知っている言葉を増やすことが重要です。同じ嫌いという意味の言葉でも、単純に「嫌う」と「忌み嫌う」では、その意味合いが違ってきますよね。これは少々極端な例ですが、言葉の選択に込められた相手の意図に意識を向けると、読解力はグンとアップします。
こういった繊細なニュアンスの違いを理解するには、できるだけたくさんの文章に触れる「多読」が1番有効です。
また日本語は、言葉や文章が額面どおりの意味ではない場合も少なくありません。
たとえば、相手の意見に「なるほどね」と返答した場合、じつは納得していないことがよくあります。「とりあえず否定はしないで波風を立てないようにしよう」という、裏の意図が働いていることも多いのです。
そういった曖昧な日本式文化がよいかどうかは別として、たくさんの文章を読み文章に隠された真意を読み取れるようになると、読解力が飛躍的にアップするのは間違いありません。
◆速読と語彙力については、コチラの記事でお読みいただけます
2. 要点をまとめる「要約ノート」で論理の流れをつかむ
私は読解力について相談を受けると、読書の要約ノートをつくるようにオススメしています。要約ノートをつくる過程で、その本の重要なポイントをしっかりと読み取り、まとめる力が身につくからです。
要約ノートをつくる場合、まずあとから繰り返し読み返すことを前提に、簡潔にまとめるのがポイントです。できれば、全体を通してまとめるのではなく、章ごとにまとめた方がより読み返しやすいでしょう。
また、とくに心に残った文章は、ぜひそのまま書き写して何回も読み返してみてください。できれば、その文章に対する意見や感じたことを一緒に書き写しておけば、より効果的です。
こうした気づきを文章として残しておくと、読み返すうちにまた新たな気づきが生まれることも多く、きっと読解力の向上に役立つでしょう。
書き方は基本的に自由ですが、記憶に残るという意味では、やはりノートに手書きが1番です。ただし手書きの場合でも、PDF形式や画像に変換してスマホやタブレットで確認できるようにしておくと、いつでも読み返せるのでより便利だと思います。
3. 思考を言葉にする「書く習慣」で理解を深める
読解力が弱い人は、そもそも自分の考えを明確にまとめる能力が不足しています。思い浮かんだ内容をうまくまとめられないので、複数の考えが頭のなかで交錯してしまい、自分でも結局なにを考えているかがわからなくなってしまうのです。
そういうタイプの人は、ぜひ自分の考えを書き出すトレーニングに挑戦してみてください。自分の考えを書き出すと、自分の考えが客観的にみられるので、案外簡単に自分の考えを整理できます。
自分の考えをうまくまとめられるようになると、他人の文章であっても、文章の意図を正確に理解できるようになってくるでしょう。文書構成や論理展開、言葉の選び方の基本がわかってくるにつれて、相手のいいたいことが、自然と読み取れるようになるのだと思います。
4. 情報の正しさを見抜く「批判的思考」を身につける
情報があふれる時代だからこそ、「それって本当に正しいの?」と考える力がとても大切になってきます。いわゆる「クリティカル・シンキング(批判的思考)」と呼ばれる思考法ですね。
ニュース記事やSNSの投稿、学校のプリントにいたるまで、私たちは毎日たくさんの文章に触れています。そのなかには、間違っていたり、一方的な意見が混ざっていたりすることも少なくありません。
読解力がある子は、文章の内容を鵜呑みにせず、「証拠はある?」「誰が言っているの?」と冷静に確証を得ようとします。
文部省の学習指導要領に関するページ※でも、クリティカル・シンキングの重要性が書かれています。クリティカル・シンキングは相手を批判するためのものではなく、エビデンスに基づく正しい情報を見抜くために必要な力なのです。
盲目的に信用するのではなく、まずは一旦疑うところからスタートしてみてください。そうすれば、あなたの読解力は劇的に向上していくでしょう。
※参考:文部科学省 学習指導要領「生きる力」第2章 言語の役割を踏まえた言語活動の充実
◆クリティカル・シンキングについては、コチラの記事でもお読みいただけます
5. 文脈と意図を読み取る「丁寧読み」で行間をつかむ
文章を深く理解するためには、じっくり読み込む「丁寧読み」が不可欠です。最近は、SNSやネット検索の影響で、必要なところだけを拾い読みする「飛ばし読み」が当たり前になっています。
もちろん、時間の節約という点では非常に有効です。しかし、内容をしっかり理解したいのに飛ばし読みのクセがついていると、どうしても理解が浅くなってしまいます。
ある生徒は国語の長文問題で、設問のヒントを見つけようとして、どんどん飛ばし読みをしていました。ですが、話の流れがつかめず、かえって時間がかかることも多かったそうです。
そこで全文を丁寧に読み直すようにしたところ、設問の意図がクリアに見えて正答率がぐんと上がったと言います。これはあくまでも一例に過ぎませんが、文と文のつながり、書き手の意図、そして行間にあるヒントに気づくには、やはりある程度じっくり読む習慣が欠かせません。
読解力を育てたいなら、まずは丁寧読みを軸にして、しっかりと内容を把握するように意識してみてください。
6. 読解力の土台をつくる「脳トレ」で集中力と記憶力を強化
読解力を伸ばすには、集中力や記憶力といった「脳の土台とでもいうべき機能」の改善も重要なポイントになってきます。そのためにオススメなのが、いわゆる「脳トレ」です。
文章を理解するとき、私たちの脳は同時に多くの情報を処理しています。注意力が散漫で、記憶する力が弱いと、文章の流れを追いきれず内容がなかなか頭に入ってきません。
もし読んだ箇所をすぐに忘れてしまうなら、クロスワードパズルや間違い探しといった脳トレがオススメです。注意力を改善したい人は、迷路ゲームやひっかけ問題などが適しています。
脳の働きを促進するという意味では、ウォーキングやストレッチといった軽い運動も非常にオススメです。そのほかにも、脳トレはたくさんあるので、いろいろと調べて気に入ったものがあれば、ぜひ取り組んでみてください。
◆認知機能別オススメの脳トレについては、コチラの記事でお読みいただけます
この本を読んで読解力をアップしよう
読解力をアップさせるには、読解力に関する本を読み、知識を深めることも重要です。今回は、読解力についての書籍を3冊ご紹介します。気になる本があれば、ぜひ手にとってみてください。
「12歳までに知っておきたい読解力図鑑」齋藤孝著
最初に紹介するのは、テレビや書籍で有名な明治大学教授「齋藤孝」さんの読解力本になります。「12歳までに知っておきたい読解力図鑑」は、子どもが日常のあらゆるシーンで「本当に大切なこと」を読み取る力を育むのにぴったりな一冊です。
文章やイラストが豊富で、会話、ニュースなど多彩な題材を使い「読み解く力」を段階的に身につけられる構成になっています。
本書は以下5つのステップで構成されています。
- STEP1「文学や詩を読み解く」
- STEP2「文脈から意味を組み立てる」
- STEP3「要約力」
- STEP4「会話から相手の本音を読み取る」
- STEP5「ニュースなどから情報を正しく読み取る」
読書だけでなく、会話における読解力についてのトレーニングが用意されているのも嬉しいポイントです。こういった対人関係のトレーニングを積んでおけば、実生活での無用なトラブルを回避できる可能性が高くなります。
読解力アップの入門書として、最初に読んでみることをオススメします。
「14歳からの読解力教室」犬塚美輪著
2冊目は東京大学で准教授をされている犬塚美輪さんの本になります。
犬塚さんもさきほどの齋藤孝さんと同じく、教育分野のプロフェッショナルです。教育のプロの視点から、子どもに向けて読解力をわかりやすく解説してくれています。
中学生キャラクターとの対話形式にして、イラストや図を多用しているので、それこそ読解力に悩みがある人でもサクサクと読めるでしょう。
個人的には「読解力を向上させる6つの方略」が、とても役に立ちました。
- 「これ・あれ」などの不明瞭な表現をわかりやすく言い直してみる
- 大事そうなところをみつける
- 文章の構造や接続詞などに注意して読む
など、読んでみると、なるほどと納得することばかり。当たり前の読書を、当たり前のようにできる方法が知りたい人は必見です。
「新しい文章力の教室」唐木元著
最後に紹介する本は、これまで紹介した2冊とは違い、よい文章を書くための本です。
月間6,370万PVを誇る超人気webメディア「ナタリー」の元編集長「唐木元」さんが、読者に完読してもらえる文章の書き方について詳しく解説してくれています。
書く力と読解力は一見関係ないように思えますが、よく考えてみればわかりやすい文章が書ける人は、文章を読解するポイントも同時に知っているわけです。
文章の構成から、読点のつけ方・漢字とひらがなのバランスまで、理解しやすい文章のポイントが満載です。相手に最後まできちんと読んでもらえる文章のコツを知りたい人は、ぜひ読んでみてください。
◆読書術についてはコチラの記事もどうぞ
まとめ
最近では媒体を問わず、いたるところで著名人の発言が炎上しているのを見かけます。これはもちろん発信者側にも問題はありますが、同時に受け取る側の読解力が低いのも大きく関係しているのではないでしょうか。
本文でお伝えしたように、勉強には優れた読解力が不可欠です。同時に、無用なトラブルを回避するためにも、読解力をしっかりと身につけておく必要があります。当記事を参考にして、ぜひ読解力を高めていきましょう。