記事の監修
株式会社瞬読 代表取締役山中恵美子
大学卒業後、関西テレビ放送株式会社に勤務。2009年学習塾を開講し3万人の生徒が卒業。
学習効果を上げる方法として速読を取り入れる。これが後の「瞬読」となり生徒が次々と難関校に合格。
2018年瞬読のみの講座が開講し、現在受講生は2,600名を超える。
著書『瞬読』は10万部超えのベストセラーに。その他、TV・ラジオなどメディアにも多数登場し、全国に瞬読を広めている。
「読まなければいけない本があるのに、どうも速読が進まない」
そんなご相談をいただくことがよくあります。
たしかに速読をするには、ある程度の集中力がないと厳しいのは事実です。肝心な時に集中力がなくて、速読ができないのでは困ってしまいますよね。
そこで当記事では、速読と集中力の関係について詳しく解説していきます。なかなか速読に集中できなくて困っているという人は、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
まずは集中力について知っておこう
速読と集中力の関係についてお話しする前に、まずは集中力について解説していきます。この章で解説するのは以下の3点です。
- 集中力が続く時間
- 集中力を鍛えるコツ
- 集中力のもと「ドーパミン」について
それでは詳しく解説します。
集中力が続くのはどのくらい?
一般的に集中力の継続時間は、「15分・45分・90分」という3つのパターンに分類されます。
本当に深い集中が保てるのは15分といわれていますが、さすがに15分ごとにイベントを変更するのは少々非効率です。だから小学校の授業は、比較的誰でも集中できる限界値「45分」を1コマに設定しています。
一方で大人の会議や集まりは、もう少し長くなるのが一般的です。それでも人間が集中できるのは、90分が限界でしょう。サッカーの試合が45分ハーフ合計90分なのも、もしかしたら集中力の限界値と関係があるのかもしれませんね。
ちなみに2017年にベネッセコーポレーションと東京大学の池谷教授が合同でおこなった調査によると、60分休憩なしで学習したグループよりも、45分(15分×3セット・途中2回休憩あり)の方が、勉強効率がよかったそうです。
以上の結果を考えると、ひとまず45分を最大値として適度に休憩をはさむのが、もっとも効率的といえそうです。
集中力を鍛えるには「少しややこしいことに挑戦する」
結論からいうと、集中力を鍛えるには、「少しややこしいことに挑戦する」のをオススメします。少しややこしいことに取り組むと、集中力に大きく関係する「前頭前野(ぜんとうぜんや)」が活性化するからです。
前頭葉にある前頭前野は、意思や創造・記憶など、人間が活動するうえで重要な働きをする器官です。最適な答えを導くために、いろいろなことを考えて試行錯誤する状態が、もっとも前頭前野が活性化するといわれています。
ちなみに本を読むと、「前頭前野」が大きく刺激されます。とくに右脳速読法「瞬読」では、文字を右脳でどんどんイメージ化していくので、常に脳が適度な刺激を受けている状態です。ぜひ速読で集中力を鍛えていきましょう。
集中力のもと「ドーパミン」を増やそう
脳の一部「側坐核(そくざかく)」から分泌される「ドーパミン」が増えると、やる気と集中力がアップします。
ドーパミンというのは、「神経伝達物質」とよばれる物質で、脳内の情報を伝達するのが主な役割です。また前述の「やる気と集中力」以外にも、喜びや快楽を増幅させる働きもあります。
ドーパミンを増やすには、とにかく脳に刺激を与えるのが1番。新しい本を読んだり、適度に休憩したりすることで、ドーパミンの分泌は増進します。
速読(読書)で集中力が続かない理由
速読(読書)で集中力が続かない理由は、意外にシンプルです。主な理由を4点ほど説明していきますが、考えてみれば当たり前のことばかり。ひとつずつじっくりと対応していきましょう。
- 面白さを感じていない
- ほかのことにより興味を感じている
- 単純に疲れている
- 長時間同じことをやりすぎている
面白さを感じていない
まず速読が云々よりも、読んでいる本に面白さを感じていないと、どうしても速読を続ける気持ちが湧いてきません。
趣味で読む小説やエッセイなら、面白くなければ読まなければいいだけです。しかし仕事に必要な専門書や、勉強に使う参考書であればそうもいかないでしょう。
正直いって、興味のないものに興味をもつのは、かなり大変だと思います。しかし興味がないのは、もしかすると単純によく知らないだけかもしれません。あるいは本の内容について、苦手意識が強い可能性もありますね。
そういうときは一旦、詳しい人にポイントを教えてもらい、基礎知識を得てからあらためて読んでみるのもひとつの方法です。あるいは、非常に簡単な入門書から読んでみるのもよいかもしれません。
とにかく速読をする前に、読む分野に対する苦手意識をできるだけ払拭することです。
ほかのことにより興味を感じている
今の時代は、誰もがスマホやタブレットを持っているので、読書よりも興味のあることが多すぎます。とくにSNSの誘惑は強力で、速読の集中力を壊すもっとも大きな理由のひとつといえるでしょう。
大人でもSNS中毒とでもいうべき人は多いですが、子どもの場合はさらに要注意です。友達とのやり取りから外れてしまうと、仲間はずれにされるのではという恐怖心から、どうしてもSNSに時間を割かざるを得ないケースも少なくありません。
ゲームやスマホ関連については、親が上手にルールを決めるなどして、速読(読書)に集中できる時間を意図的につくってあげる必要があるでしょう。
単純に疲れている
単純に疲れていて、速読に集中できないケースもよくあります。当たり前の話ですが、体調が悪ければ、そもそも読書自体が苦痛なはずです。
疲れているときは、基本的にムリをしないでください。どうしても急ぎで情報を仕入れる必要がなければ、すっぱりと止めて休んだ方がいいでしょう。
また軽く食事をする・20〜30分ほど仮眠を取る・少しストレッチをするなど、ちょっとしたことで集中力が蘇ることもよくあります。いろいろと試してみてください。
長時間同じことをやりすぎている
「集中力が続くのはどのくらい?」の項目でもお話ししましたが、どんなに頑張っても集中力が続くのは90分が限界です。
できれば45分もしくは25分(後述します)をひと区切りとして、途中こまめに休憩を入れると、より集中力は維持しやすくなります。
もし2時間、3時間とぶっ続けで速読をしようと考えているなら、もう少しメリハリをつけた方がいいでしょう。途中で適時休憩をはさんだ方が、集中力が増す分だけ、結局得られる情報量は多くなります。
速読で集中力を高める4つのポイント
集中力の続かない理由がわかったところで、今度は速読で集中力を高めるポイント、以下4点について解説していきます。
- 場所を変える
- 自分が集中できる時間帯を知る
- ポモドーロテクニックの活用
- 体調管理
それではひとつずつみていきましょう。
1.場所を変える
速読をしていてもすぐに集中力が切れてしまう・なかなか本を手に取る気が起きないなど、集中力が続かない場合は、場所を変えてみるのも効果的でしょう。
結局のところ、集中力がないのは、脳が疲れている(飽きている)からです。であれば、脳の疲れを回復させれば、集中力は再び戻ってきます。
定番ですが、図書館や喫茶店で速読に没頭するのもいいアイディアです。もちろん同じ場所に長時間居座って、迷惑をかけないように注意はしてください。
また今流行りのコワーキングスペースは、いかがでしょうか。コワーキングスペースは、「わざわざお金を払ったのだから頑張ろう」というサンクコスト意識が働きます。
適度に人の目もあるので、より作業に集中できるはずです。お金を払う価値は、十分あると思いますよ。
2.自分が集中できる時間帯を知る
速読を効率的におこなうには、自分が集中できる時間帯を知ることが重要です。集中できる時間帯は、仕事の時間やライフスタイルによって、大きく個人差があります。
一般的には、朝起きてから3時間程度が、もっとも脳がフレッシュな時間帯といわれています。ただし寝起きの関係もあるので、起きてすぐには頭が働かないという人も多いかもしれませんね。
その場合は、体も頭も慣れてきた午後の方がやる気は出やすいでしょう。とはいえお昼ごはんを食べると、誰しも血糖値が上昇し眠くなります。その場合は20〜30分程度の昼寝をするなど、一旦脳を休めてください。
また夜の方が、集中力は高くなるという人もいるでしょう。暗くなり周囲の活動音が減ると、たしかに集中できるのもうなずけます。
いずれにせよ、集中力が高まる時間帯には個人差があります。とにかく自分のベストタイムをみつけて、その時間に最大限意識を集中させましょう。
3.ポモドーロテクニックの活用
集中力を保つためには、45分もしくは90分を基本にする。さらに15分をひとつの単位として、適度に休憩を取るのも効果的という話をしました。
時間管理という意味でオススメしたいのが、作業時間と休憩時間をセットにして効率よく作業をおこなう「ポモドーロテクニック」です。
ポモドーロテクニックはイタリアの作家フランチェスコ・シリオが考案した方法で、「作業25分+休憩5分」をワンセットとして、これを繰り返します。
ポイントは25分経過したら必ず休憩すること。休憩中はほかの作業をせず、ストレッチをしたり、コーヒーを淹れたりして、脳をリフレッシュさせましょう。
具体的な流れですが、4回ポモドーロを繰り返したら、15〜30分の大休憩を取ります。あとはこのパターンを繰り返すだけ。
作業時間は多少前後してもまったく問題ありませんが、とにかく休憩を上手に組み込んで、常に脳を新鮮な状態に戻すことを心がけてください。
4.体調管理
すべての基本となるのが、体調管理でしょう。
速読(読書)で集中力が続かない理由でもお話ししましたが、体調が悪ければ、速読どころかなにをやっても効率は落ちます。
- 睡眠をしっかり取る
- 規則正しい生活を送る
- バランスの取れた食事を決まった時間に食べる
- 適度な運動を日課にする
- ストレスを上手に解消する
月並みですが、上記のようなポイントに注意しながら、脳が速読に集中できるような体調を維持していきましょう。
まとめ
速読には、ある程度の集中力が不可欠です。しかし速読に限らず、常に集中力を保つのは、決して簡単なことではありません。
今回の記事では、集中力が続かない理由と、その対策についてご紹介してきました。ご自分に合った方法で集中力を手に入れ、ぜひ速読にチャレンジしてみてください。