記事の監修
株式会社瞬読 代表取締役山中恵美子
大学卒業後、関西テレビ放送株式会社に勤務。2009年学習塾を開講し3万人の生徒が卒業。
学習効果を上げる方法として速読を取り入れる。これが後の「瞬読」となり生徒が次々と難関校に合格。
2018年瞬読のみの講座が開講し、現在受講生は2,600名を超える。
著書『瞬読』は10万部超えのベストセラーに。その他、TV・ラジオなどメディアにも多数登場し、全国に瞬読を広めている。
「最近、どうもマンネリ気味で、なにもよい考えが思いつかない」という悩みをおもちのかたは、脳トレでひらめき力を高めましょう。本記事では、ひらめきの活性化が期待できる、5つの脳トレを紹介します。
さらに、脳トレを継続するコツにも触れていくので、最後まで読めばひらめきを活性化する習慣が身につきます。もちろん、誰にでもできるものばかりなので、ぜひ気軽にチャレンジしてみてください。
目次
ひらめきを活性化させるにはなぜ脳トレが効果的なのか
ひらめきに効果的な脳トレを紹介する前に、なぜ脳トレがひらめきの活性化に有効なのか、その理由を解説します。やる理由が明確になると、脳トレに取り組む姿勢が変わってきますので、ここでしっかりと押さえてしまいましょう。
脳トレによる刺激が新しい神経ネットワークの構築を促進
脳トレをおこなうと、脳が日常生活では得られない強い刺激(よい意味で)を受けます。この刺激が、脳の神経細胞ネットワークの構築を促進してくれるんです。
神経細胞ネットワークが発達すれば、受け取る、あるいは発信する情報の伝達量も多くなるし、流れもスムーズになります。このように脳神経のポテンシャルが改善されれば、ひらめきや創造性を発揮しやすくなるわけです。
普段私たちの生活は、どうしても同じような行為の繰り返しになりがちです。学生や会社員なら、学校や会社にいかなくてはならないので、余計ルーティンワークが多くなります。
ルーティン化が進めばあまり考えずに済むので、脳も働きを最小限に抑えてしまいます。そういう状態の脳から、優れたひらめきなど生まれるわけがありませんよね。だから、脳トレで刺激を与えて、ひらめきが生まれやすい状態に脳を鍛える必要があるのです。
脳トレが脳機能の土台を整えてくれる
脳機能が正常に働いていなければ、創造性やひらめきは生まれてきません。前述のとおり、毎日同じような行動を繰り返していたら、脳の働きは少しずつ衰えていきます。だから、脳トレを定期的におこなって、脳機能の働きを正常な状態に整えていく必要があるのです。
たとえば、ウォーキングのように体を動かすタイプの脳トレを取り入れると、脳の血流がよくなり、血液中に含まれるブドウ糖や酸素がたっぷりと脳に供給されます。
また、記憶力や判断力に効果的な脳トレに取り組めば、記憶力や判断力が改善し、ひらめきも生まれやすくなります。ひらめきは、過去の記憶にある情報の組み合わせで生まれることが多いので、記憶力の向上はひらめきにもよい影響を与えてくれるからです。
さらに脳トレを習慣化すると、脳内の神経伝達物質のバランスが整い、情報処理が円滑におこなわれるようになります。そうなればストレスへの対処も楽になるし、リラックスした状態でアイデアを生み出せるでしょう。
普段あまり使わない右脳を刺激する
普段あまり使わない右脳への刺激は、ひらめきや創造力を活性化させるうえで、非常に効果的です。右脳は、直感的な思考・空間認識・芸術的な感性などに関与しており、左脳とは異なる視点から物事を捉える力があります。
にもかかわらず普段私たちは、言語や計算・論理的思考などを司る左脳ばかり使っていて、右脳を活用する機会は減る一方です。
さいわい、右脳を重点的に刺激する脳トレは数多くあります。なかでも、「絵を描く」「音楽を聴く」「ダンスやヨガで精神と肉体を連動させる」といった、芸術や運動を通じた活動は私たちの感性や直感をダイレクトに磨いてくれます。
また、なにかアイデアを考える際には、言葉を使わずにイメージで表現するのも効果的です。左脳の領域である言語を排除して、右脳の能力「イメージ化」を思考の中心に据えれば、同じく右脳と関連の大きい「ひらめき・直感」が生まれやすくなります。
◆右脳を発達させる方法については、コチラの記事でもお読みいただけます
ひらめきを鍛える5つの具体的な脳トレテクニック
ひらめきを発揮するためには、普段から新しい発想が生まれる土台をつくっておく必要があります。今回紹介する5つの脳トレは、どれもひらめき力を鍛えてくれるものばかりです。気になる脳トレがあれば、ぜひチャレンジしてみましょう。
◆鍛えたい症状別オススメの脳トレについては、コチラの記事でお読みいただけます
1. 問題解決のゲームをプレイする「クロスワードパズル」
クロスワードパズルは、ひらめきを鍛えるのに適した代表的な脳トレのひとつです。ご存知のように、縦横それぞれマスが配置されていて、与えられたヒントや条件に従い、空欄に適切な単語を埋めていきます。
単語ごとに文字数が決まっているし、交差箇所の文字を適合させなければならないので、答えがわからないときは、かなりイライラします。(よい意味で)
でもそのおかげで、言葉の知識や語彙力のみならず、適切な組み合わせやパターンを見つけ出す力も養われるのです。
また、クロスワードパズルを解くには、過去の知識や経験を記憶から引き出す能力も求められます。知らない言葉はいくら考えても、思いつきませんからね。ひらめきは、さまざまなジャンルの知識の組み合わせから生まれるので、日頃から知らないことを調べるクセをつけておきましょう。
そうやって何回も自分の記憶とヒントを組み合わせて考えるうちに、「もしかして◯◯なんじゃないか!」というひらめきが生まれやすくなります。そうなれば、もうこちらのものです。
2. 論理的に考えてみる「論理ゲーム」
ナンプレや推理ゲームのように、論理的思考が求められるゲームは、ひらめきの開発にとても有効です。両者はまったく異なるゲームのように感じるかもしれませんが、「与えられた情報をもとに、論理的思考を駆使して答えを導き出す」という点で、一致しています。
なかでも推理ゲームは、プレイヤーとして自分が実際に捜査を進める感覚が味わえるので、より深く脳に効果がおよびます。
もちろん、論理ゲームで得られる能力は、論理的思考だけではありません。手がかりを探し出し、手に入れた情報や証拠をひとつずつ繋ぎ合わせて正解を導き出す過程において、注意力や忍耐力も鍛えられていくでしょう。
さらに論理ゲームは、異なる視点やアプローチが求められるため、柔軟性や創造力も同時に鍛えられます。柔軟性や想像力は、新しいひらめきやアイデアの発想に必須の能力です。楽しみながら、こういった能力が身につく論理ゲーム。本当にオススメですよ。
3. 他人の発想に触れて創造的なアイデアを生み出す「ブレインストーミング」
ブレインストーミングは、グループでアイデアを出し合い、創造的なアイデアを生み出しやすくすることを目的としたアイデア発想法です。主に仕事で使われるブレインストーミングですが、ひらめきを鍛える脳トレとしても大いに活用できます。
ブレインストーミングでは、参加者が互いの意見や視点を共有し、相互に刺激を与え合いながら新たなアイデアを引き出していきます。
だから、他人の意見に対する批判やジャッジは一切NGです。自由に意見を出し合えるからこそ、自分では思いつかなかった発想や視点に触れることができ、思考の幅が広がっていくのですから。
ただし、ブレインストーミングはやりかたを間違えると、思うような効果は得られません。皆が好き勝手に意見を発信するだけでは、新しいひらめきにつながりにくいので、必ず進行役を設けてください。進行役がいれば会議がスムーズに進むし、話が本筋からズレた場合も修正が容易です。
また、意見をただ出しっぱなしにしておいても、新しいひらめきは生まれません。その場で結論を出す必要はありませんが、あとから確認できるように「KJ法※」などを使って、きちんと整理しておきましょう。
※参考:KJ法とは?メリットやデメリット、やり方・手順を解説
4. アウトプットを前提にものごとを考える「日記やブログを書く」
ひらめきを発達させるには、日記やブログが非常にオススメです。しかも、ただ日記を書くのではなく、アウトプットを前提にすると、その効果はさらに倍増します。
誰かに自分の考えを発表するとなれば、自分の考えや感じた内容をきちんと整理しようという意識が働きだします。こうやって整理された思考は、いわば「ひらめきの種」です。種がたくさんあるからこそ、ふとした瞬間に、ひらめきが花開くのです。
また日記やブログを書く行為は、思考の整理だけでなく、自分の思考と深く向きあうチャンスを与えてくれます。いつもより深く考える機会が増えれば、当然新たなひらめきやアイデアが生まれやすくなるはずです。
なお、せっかく日記やブログを書くのであれば、ぜひできるだけ多くの人に見てもらいたいですよね。普通にブログをアップしてもなかなか読んでもらえないので、TwitterやInstagramのようなSNSをじょうずに活用していきましょう。
◆アウトプットの具体的な方法については、コチラの記事でお読みいただけます
5. 他者の発想に触れる「アートに触れる時間をもつ」
「ひらめきにはアートが最高のお手本」このことに異論をはさむ人は、ほとんどいないでしょう。それくらい、アートとひらめき(右脳の働き)には、密接な関係があるのです。
絵画・彫刻・音楽、種類を問わず、アート作品には作者の独創的な発想や表現が詰まっています。だから、アートに触れる時間を増やせば、自分の視野と発想が広がり、結果ひらめきが生まれやすくなるわけなのです。
また、アート鑑賞で感じる感動や驚きは、感性を研ぎ澄まし、創造力を高めてくれます。ぜひ定期的に美術館やライブを訪れてみてください。
実際に足を運ぶのが大変なら、まずはインターネット上での触れ合いでも構いません。さいわい美術系のアートなら、作者のサイトで画像が見られますし、音楽ならYouTubeが手軽で簡単です。
これまでアートとは無縁の人ほど、大きな恩恵を受けると思います。内容はとりあえずなんでもいいので、まずは気になるアート情報をネットでチェックしてみてください。
ひらめきを生み出すオススメのアイデア
脳トレは、ひらめきに対して非常に有効なトレーニング方法です。しかし、ひらめきを鍛える方法は、脳トレだけではありません。この章では脳トレ以外のひらめきを生み出すオススメのアイデアを、5つ紹介します。
新しい挑戦はひらめきの起爆剤
新しい挑戦は、新たな知識の習得のみならず、クリエイティブなひらめきの起爆剤になってくれます。アメリカの心理学者トッド・スラッシュ氏とアンドリュー・エリオット氏の研究※によると、「ひらめきを受ける人は、新しい経験に対して非常にオープンな姿勢をもっている」そうです。
たしかに、いつも同じ場所で同じ人と同じことばかりしていたら、脳は考えることを放棄してしまうでしょう。こういったルーティンワーク主体の生活は、楽にタスクをこなせる反面、新しいひらめきが生まれにくいといえます。
ひらめきは、新しい挑戦で得られる知識や経験が、既存の知識とうまくミックスしたときに生まれてくるものです。新しい言語の習得・新しい趣味・これまで運動の習慣がなかった人は、ウォーキングやヨガにトライするのもいいかもしれません。
最初は、違う店に買い物にいってみるだけでもいいんです。ぜひ、いろいろなことにチャレンジしてみてください。
◆新しいことに取り組むメリットについては、コチラの記事でお読みいただけます
他人の考え方に触れる
ひらめきを生み出すには、とにかく固定概念をもたないことです。自分の考え方に固執すると、ひらめきはなかなか生まれてきません。それよりも、もっと他人の考え方に触れてみてください。
他人の考え方は、あなたに新しい視点を与えてくれます。新しい視点でものごとを見てみると、これまで自分の志向というフィルターを通して見てきた世界が、また違った世界に感じられてくるはずです。
もしかすると、自分とは相容れない考え方に触れて、イラッとすることがあるかもしれません。ですが、それもまた自分の視点を増やすいい経験です。
方法は、なんでも構いません。同僚に相談してみる・イベントに参加していろいろな人と話してみるなど、他人の考えに触れる機会はいくらでもあります。
忙しい人は、読書がオススメです。わずか2,000円足らずの投資で、新しい知識や考え方が手に入るのですから、読まない手はありませんよね。
◆読書のメリットについては、コチラの記事でお読みいただけます
AIを第二の脳にする
これまで知識や思想の習得は、読書やネットを通じておこなう人がほとんどでした。もちろん、今もその傾向は変わっていません。ところが、近年AIの技術進化は目覚ましく、AIを「第二の脳」として活用する人が非常に増えているのです。
たとえば、時間管理の方法を調べているとしましょう。AIに時間管理の方法を尋ねると、以下のようなアドバイスがもらえます。
- タスク管理をする
- 優先順位をつける
- 適度に休憩を取る
- 時間管理アプリを利用する
- タイムブロッキングを導入する
上記の内容のほとんどは、正直いって、少し考えると比較的簡単に思いつくものばかりです。ところが、1日をブロックわけしてタスクを管理する「タイムブロッキング」という考え方は、アドバイスを見るまでまったく思いつきませんでした。
このように、自分の脳内では決して思いつかない内容を、AIは教えてくれます。もちろん、最終的な決断を下すのは、あくまでも人間です。AIはその判断材料となる情報を探し出し、分析して、それを私たちに提案してくれるだけなのです。
ただAIは、膨大なデータを高速で処理する能力をもっています。私たちがまる1日かけてリサーチする量を、わずか数十秒でこなしてしまう、それがAIの凄さです。これから、ますます進化するであろうAIをうまく活用して、ひらめきの種をどんどん取り入れていきたいですね。
自分だけのサードプレイスを見つけ出す
前述のとおり、ルーティンワークからひらめきは、なかなか生まれません。ルーティンを脱出する方法として、自分だけのサードプレイスをもつのは、非常にオススメです。
サードプレイスとは、第一の場所(自宅)と第二の場所(学校・職場)と別に存在する、自分の好きな場所のこと。
サードプレイスの概念をはじめて世に広めた、アメリカの都市社会学者レイ・オルデンバーグは、著書のなかでサードプレイス8つの条件を明示しています。
- 自由に出入りできる中立性のある場所
- 肩書きや地位が関係ない平等な場所
- 会話が重視される場所
- いつでもひとりで利用できる場所
- 常連のいる場所
- 飾り気のない目立たたない場所
- 遊び心のある場所
- 第二の家のような雰囲気をもつ場所
上記のとおり、いつでも気楽に自分らしく過ごせるのがサードプレイスです。会社と違い、サードプレイスでの時間は、私たちにリラックスした気分を与えてくれるでしょう。気心のしれた常連と会話をするなかで、自分にはない新しい価値観にも出会えます。
バー・ジム・趣味のサークル・犬の散歩仲間、なんでも構いません。自分の気に入った場所があれば、ぜひ積極的に参加してみてください。きっと、ひらめきを生み出す助けになってくれるはずです。
周りに置くもの、配置、カラーリングを変えてみる
私たちの心は、生活空間と密接に関係しています。整理された部屋にいれば考えも自然と整理されるし、汚れて散らかった部屋だと集中力は乱れてしまうものです。同様に、自分の周りに置くもの、さらに置く場所や色によっても、私たちの思考は大きく影響を受けます。
逆に考えると、部屋の中にあるアイテムの配置や色を変えるだけで、気分がリフレッシュする可能性があるということです。気分転換は、ひらめきを生むよい起爆剤になってくれます。
いくら気分転換が大事といっても、いきなり引っ越しはできません。その点、身の回り品なら、比較的簡単におこなえます。まずは自宅からはじめて、マイカー・会社の机周りなど、自分がいる空間のアレンジをいろいろと楽しんでみてください。
ひらめきは一夜にして成らず「脳トレを習慣化するコツ」
どれほどよい脳トレだとしても、1日やっただけでは、正直なにも変わりません。とはいえ、忙しい現代人が脳トレを継続するのは、なかなか大変です。そこで、脳トレを習慣化するコツについても、4点ほどお伝えしていこうと思います。
脳トレの日時を決めてしまう
ひらめきを引き出す脳トレを習慣化するためには、脳トレの日時を決めてしまうのが一番です。脳トレをやる予定があらかじめ決まっていれば、忙しいときも疲れているときも、とりあえず脳トレのことが頭に浮かびます。
そういう意味では、起床後・昼休み・寝る前のリラックスタイムなど、できるだけ同じタイミングで脳トレをおこなうのがベストです。毎回脳トレの日時が変わってしまうと、回数は同じでもなかなか習慣化できません。
もちろん、無理をしても続かないので、忙しいときは臨機応変に対応してください。学業や仕事が忙しければ、ときには1か月丸々お休みすることだってあるでしょう。
でもやるタイミングが決まっていれば、「そろそろ落ち着いてきたから、また来週から昼休みに脳トレを再開しよう」と復帰しやすいです。
楽しく続けるための工夫を忘れない
楽しく脳トレを続けるためには、当たり前ですが、やっていて楽しい脳トレを選ぶのが大前提となります。いくら効果が高そうでも、あまり興味のもてない脳トレなら思うような効果は期待できないし、なによりも続きません。
また、楽しい脳トレでも、やり過ぎは逆効果です。よほど相性がよくない限り、おそらく半年も経たないうちに飽きてしまうでしょう。ひらめきを鍛えるのが目的なら、せいぜい週に2〜3回もやれば十分です。
それよりも、脳トレの結果をきちんと記録して、自分の成長度合いを確認できるようにしてください。最初できなかったことができるようになると、脳トレが楽しくなり、自然と長続きします。
さらに、飽き防止のため、脳トレの内容を定期的に変更するのもよい方法です。今やっている脳トレが気に入っているなら、そのまま継続しつつ、なにか新しい脳トレも取り入れましょう。そうすれば、いつも新鮮な気持ちで脳トレに取り組めます。
◆脳トレを楽しむコツについては、コチラの記事でもお読みいただけます
成果の可視化と振り返りがやる気を起こす
前述のとおり、成果の可視化は、脳トレ継続のやる気を引き出す重要な要素です。自分の成長度合いがわからなければ、つまらないですよね。逆に、ほんの少しでも記録が伸びていれば、「よし!もっとスコアアップしてやろう」と、強力なモチベーションが生まれます。
どうしても記録するのが面倒くさいと思うなら、脳トレアプリを活用してください。ほとんどのアプリは結果を自動的に記録してくれるので、自分で記録をする手間が省けます。
ただ多くの人が、成果の振り返りをしません。ようは、やりっぱなしなんですね。記録の伸びをきちんと確認しないと、達成感は味わえないし、苦手分野もそのままです。有名な脳トレには弱点強化メニューが用意されていることも多いので、どんどん活用して、弱点を克服してしまいましょう。
仲間との共有・競争も継続には有効
もしあなたが、「ひとりで脳トレをやってもつまらない」と感じているなら、結果や進捗具合を仲間と共有できれば、やる気を回復できるかもしれません。
人間誰しもなんらかの目標があったほうが、やる気が出るものです。友人や家族とスコアやタイムを競い合えば、負けたくないという気持ちが生まれ、脳トレの効果は大きくアップするでしょう。
あるいは、競い合うまではいかなくても、他人の成長度合いを知れば自分も努力しようという意欲が湧きます。こういった刺激は、自分の限界を押し上げてくれるし、ひらめきも生まれやすくなるはずです。
ただし、過度な競争心は、ストレスや疲労感を引き起こす原因にもなりかねません。あくまでも、モチベーションを引き出すスパイス程度に考え、楽しむことを一番に考えていきましょう。
日常生活からひらめきを生み出す
脳トレでひらめきを生み出すには、脳トレの継続が必須です。しかし、忙しい現代人にとって脳トレの継続はいうほど簡単ではありません。そこで、日常生活の一部として脳トレをうまく取り入れるアイデアについて、6つほど解説していきます。
料理のような手作業を通じた感覚的な学習
普段から料理をしている人にとって、料理は単なる毎日のルーチンなのかもしれません。しかし、料理はただの日常作業ではなく、脳を鍛える絶好のチャンスです。
料理をする際には、頭と身体をうまくシンクロさせる必要があり、脳のさまざまな認知機能が自然と磨かれていきます。
料理をこまかく分解すると、じつに数多くの作業から成り立っているのがわかります。その作業ごとに使う能力が異なるため、料理をすると脳がバランスよく鍛えられるわけです。
- レシピ本を読む→言語理解力
- 分量の計算→数学的思考
- 調理時間のチェック→時間感覚
- 切る、焼くなど同時作業→計画立案能力
- 新しいレシピの開発→創造力
上記はほんの一例ですが、ほかにも立ったままの調理や片づけにより、座りっぱなしによる血流障害も予防できます。また、家族や友人との楽しい食事は、幸せホルモン「オキシトシン」の分泌を促してくれるでしょう。
旅行で触れる新しい文化
旅行にいくと、普段見られないものや新しい文化に触れる機会が格段に増えます。感動するほど美しい風景・普段食べられない地元ならではの料理・そこでしかできない体験は、私たちの脳へ思い切り刺激を与えてくれるはずです。
こういった刺激の強い体験は記憶として残りやすいので、長期記憶の形成を助けてくれるという効果も期待できます。さらに地方独自の食事や伝統文化、アートに触れることで、自分の視野も大きく広がっていくでしょう。
また、旅行による脳への影響は、旅に出かける前からはじまっています。「どこにいこうかしら……」「美味しいものが食べたい」と旅行について考える行為が、幸せホルモン「ドーパミン」をほどよく分泌してくれるんですね。
もちろん、忙しいのに無理して海外や遠方に出かける必要はありません。気持ちがリフレッシュして脳が適度な刺激を受けるなら、近県の観光地、なんなら車で10分程度離れた公園や水辺に出かけるだけでも十分です。
朝に創作活動をルーチン化
最近、動画を見ていると、有名なビジネスパーソンがこぞって「朝活」を勧めています。朝活とは、文字通り、朝におこなう活動のこと。やる内容は人それぞれですが、以下のような活動を推奨している人が多いようです。
- 読書
- ウォーキング
- 軽い筋トレやストレッチ
- 瞑想
- 資格や受験などの勉強
- ジャーナリング
上記はすべて、脳トレとしての効果が大きいものばかり。朝にこうした脳トレ効果の大きい作業に取り組めば、ひらめきも生まれやすくなります。
なぜ、朝におこなうのがオススメなのかというと、理由は大きくふたつあります。
- 睡眠でリフレッシュした脳が効率よく働いてくれるから
- 電話やメールなど外部要因に邪魔されにくいから
起床後、時間の経過とともに脳は少しずつ疲れ、夕方にはパフォーマンスが著しく下がってしまうのが一般的です。その点しっかりと睡眠で疲れをリセットした朝の脳は、元気いっぱいです。
しかも、SNSの更新はないし、顧客からの連絡もありません。朝は、忙しい現代人が自分とゆっくりと向き合える絶好のチャンスです。ぜひ、脳の成長に役立つ取り組みを、朝の自由な時間に取り入れていきましょう。
スキマ時間で読書をする
言語能力は、脳の働きを支える基盤とでもいうべき重要な役割を担っています。言葉がうまく出てこなかったり、人の話が理解できなかったりすれば、普通の生活を送るのは困難です。
言語能力は、やはり使わないと少しずつ衰えてしまいます。そこでオススメなのが、「他人の考え方にふれる」でも紹介した「読書」です。読書は新しい価値観や知らない表現方法を、私たちに教えてくれます。
とはいえ、まとまった読書時間を確保するのは、忙しい現代人にとってなかなか大変です。そういう場合は、ぜひ通勤時やお昼休みといったスキマ時間を活用してください。
どんなに忙しい人でも、通勤・ランチ・待ち合わせといったスキマ時間を合計すれば、30分〜1時間程度は読書できるはずです。
家事や作業が忙しい人は、オーディオブックをオススメします。流しっぱなしにしておけば、なにか作業をしていても本の内容が頭に入ってきますので。
◆スキマ時間の活用については、コチラの記事でもお読みいただけます
スポーツや身体活動を通じた認知機能の向上
スポーツや身体活動のメリットは、身体が鍛えられるだけと考えていませんか。もちろん、肉体的な成長は期待できますが、同時に脳の認知機能を向上させる効果もあるのです。
運動により下半身のポンプ機能が向上すると、下半身(とくにふくらはぎより先)に滞りがちな血液が、勢いよく上半身に戻っていきます。
そうなれば、自然と脳の血流が増え、血液中に含まれる酸素と栄養素が脳へ大量に供給されます。じつは、脳の重さは体全体の2%ほどしかありません。それなのに、体全体が消費するエネルギーのじつに20%も脳が消費しているのです。
脳が栄養として摂取できるのは、基本的に血液中のブドウ糖だけになります。だから、運動による血流改善が、脳機能の向上には欠かせないのです。
また、種類を問わず、スポーツは誰かほかの人と一緒におこなうケースがほとんどでしょう。どうやったら相手に勝てるか、仲間を活かすには自分がどう動くべきか、そういったことを考える過程で、注意力や判断力といったさまざまな認知機能が磨かれていきます。
◆スポーツの効能については、コチラの記事でもお読みいただけます
タスク管理とタイムマネジメント
ひらめきを失わないためにも、頭が活発に働いているうちから、ぜひタスク管理とタイムマネジメントを意識してください。
忙しい現代人は、なかなかひとつのことに集中するゆとりがありません。常に複数のタスクを抱えており、どれも平均点以上の結果を出すように求められています。
それでも、若いうちはあまり考えずに、うまくタスクをこなせるかもしれません。でも、年齢を重ねるごとに脳機能は低下していき、うまくできないことが少しずつ増えていくのが普通です。
この、最後までやり遂げる能力を、一般的に「遂行力」といいます。年相応の衰えなら受け入れるしかありませんが、生活に支障が出るレベルにまで衰えると、これは非常に大きな問題です。
いったん、認知症レベルにまで遂行力が衰えてしまうと、そこから正常な状態にリカバリーするのは、ほぼ不可能といわれています。
遂行力の衰えを予防し、ひらめきを生み出すイキイキとした状態の脳を維持するためにも、タスク管理とタイムマネジメントは必須といっても過言ではないでしょう。
◆頭のなかの整理術については、コチラの記事でお読みいただけます
脳のひらめきを磨くなら、まずライフスタイルを整えよう
どれだけ脳トレを頑張っても、脳機能が正常に働いていない状態だと、思うような効果は得られません。脳トレと同時に、ライフスタイルも見直して、脳のひらめきを最大限得られるようにセットアップしていきましょう。
適度な運動とひらめきの関係
「適度な運動が脳の働きを活性化させる」という研究データは、数多く存在します。たとえば、ニューヨーク大学神経科学センター「ウェンディ・スズキ教授」は、運動は脳に以下のような好影響を与えてくれると、米大手放送局CNBCに寄稿※しています。
- 不安の減少
- 集中力アップ
- 新しい脳細胞成長の促進
- 老化や認知症のリスクを軽減
運動をすると、心拍数が上がり、全身の血流がよくなるのは誰もが知っていることです。血流が改善されれば、そのぶん血液中の栄養素や酸素が、脳へ大量に供給されます。
散歩中にいきなりよいアイデアをひらめいたりすることってありますよね。これは、適度な運動により、脳の働きも活性化しているのが大きな要因です。
また適度な運動は、セロトニン・ドーパミン・ノルアドレナリンといった、神経伝達物質の分泌を促進してくれます。これらの物質はストレスを抑えて、心を落ち着けてくれる働きがあるため、運動によってひらめきが生まれやすくなるわけです。
もちろん、私たちはスポーツ選手ではないので、激しい運動は必要ありません。ウェンディ・スズキ教授によれば、週に90分〜120分(30分の運動を週に3〜4回)程度の、有酸素運動で十分だそうです。このくらいなら、忙しい人でも運動を習慣化できそうですね。
※参考:A neuroscientist shares the 4 brain-changing benefits of exercise—and how much she does every week
◆運動の脳トレ効果については、コチラの記事でお読みいただけます
栄養バランスとひらめきの関係
栄養バランスは、脳機能と密接に関連しています。栄養が足りず、頭がうまく働かない状態では、ひらめきは生まれません。
栄養バランスと聞けば、普段私たちは、どうしても割合の大きい三大栄養素ばかりに注目しがちです。しかし微量栄養素が不足すると、前述の神経伝達物質(セロトニンやドーパミン)の分泌機能に支障が生じやすくなります。
たんぱく質・脂質・炭水化物といった三大栄養素を中心に、微量栄養素(ビタミンやミネラル)もしっかりと摂るようにしてください。
また脳の活性化には、オメガ-3脂肪酸(魚・亜麻仁オイル・くるみなど)や、ビタミンB群(全粒穀物・赤身肉など)がオススメです。
なお、私たちの脳は、約60%が脂質でできています。脂質は活性酸素の影響を非常に受けるため、ベリー類やナッツ類のように抗酸化作用がある食品もぜひ積極的に摂りたいですね。
◆バランスのよい食事と脳の関係については、コチラの記事でお読みいただけます
リラクセーションとひらめきの関係
ストレスは、ひらめきの大敵です。ストレスが溜まると、どうしても思考がネガティブになり、いつも同じような考え方しかできなくなります。鋭いひらめきを得るには、できるだけリラックスした状態をキープできるように、日頃からリラクセーションを習慣化しておきたいところです。
具体的なリラクセーションとしては、行動療法や自律訓練法などが有名ですが、こういった方法は基本的に専門家のサポートが必須になります。うつや認知症の治療目的でなければ、散歩や瞑想といった、ごく一般的な方法で十分でしょう。
好きな趣味があれば、趣味の時間もしっかりと確保したいですね。多少疲れていても、好きなことなら、楽しく取り組めます。読書や映画鑑賞・ゴルフ・料理、内容はなんでも構いません。
たとえ30分しか時間が取れなくても、趣味はストレスを追い払い、ひらめきを生むベースをつくってくれます。
もし、どうしても疲れて趣味をする気分になれないなら、少し長めの入浴がオススメです。シャワーで体をさっぱりと洗い、お風呂にゆっくり浸かれば、それだけでも十分なリラクセーション効果が期待できます。
自然との触れ合いとひらめきの関係
自然との触れ合いは、ひらめきと大きな関係があります。山へハイキングにいき、小鳥の声や小川のせせらぎに包まれれば、少々の悩みなどちっぽけなものに感じてしまうでしょう。
もちろん、水が好きな人は、海や川でも構いません。でも、とくにこだわりがなければ、森林浴のできる山のほうがオススメです。森林浴のさまざまな効果については、環境省が国立公園に関するサイト※へ掲載しています。
- NK細胞(ウイルスやがん細胞を攻撃する細胞)が1日で27%上昇
- 副交感神経活動が都市部の1.5倍
- ストレスホルモン13%減少
- 森林の香りが副交感神経活動を46.8%アップ
- 小鳥のさえずりがストレス緩和に効果的
※参考:データで見る国立公園の健康効果とは? | 国立公園に、行ってみよう! | 環境省
当然個人差はあると思いますが、上記のデータをみる限り、森林のなかで活動すれば脳がリラックスするのは間違いなさそうです。前述のとおり、ストレスはひらめきを阻害する大きな要因になります。
できれば週に2回以上、最低でも週に1度は、自然のなかへ出かけるように意識してみてください。ただ座っているだけでも効果はありますが、余裕があればウォーキングやストレッチ・ヨガ・瞑想などをおこなうと、よりひらめきが生まれやすくなるでしょう。
◆自然のリラクセーション効果については、コチラの記事でお読みいただけます
まとめ
ひらめき力を高めるためには、今回紹介したような脳トレが効果を発揮してくれます。クロスワードパズル・論理ゲーム、どの脳トレを選んでも構いませんが、ポイントはやはり「継続」です。
継続のコツは、すでにお伝えしましたよね。最低でも1年は脳トレを継続して、ぜひひらめきを鍛えていきましょう。