記事の監修
株式会社瞬読 代表取締役山中恵美子
大学卒業後、関西テレビ放送株式会社に勤務。2009年学習塾を開講し3万人の生徒が卒業。
学習効果を上げる方法として速読を取り入れる。これが後の「瞬読」となり生徒が次々と難関校に合格。
2018年瞬読のみの講座が開講し、現在受講生は2,600名を超える。
著書『瞬読』は10万部超えのベストセラーに。その他、TV・ラジオなどメディアにも多数登場し、全国に瞬読を広めている。
思考力とは、文字通り「考える力」です。しかし思考力という言葉には、ただ漠然と考えるのではなく、「論理的に考えをまとめる力」という意味が含まれているように感じます。
もし誰かに、論理的な思考力をもっているかと尋ねられたら、どれだけの人がイエスと答えられるでしょうか。おそらくほとんどの人は、「うーん、あまり自信はないなあ」と答えるはずです。
今回は、そういった「思考力に自信がない人」に対して、思考力を鍛える方法を8つ紹介していきます。
思考力を鍛えるとどんなメリットがあるのかについても解説していくので、思考力を鍛えて人生の質をグンとアップさせたい人は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
目次
これからの時代、思考力がより重要になる理由
これからの時代、鋭い思考力があるかどうかで、人生の質は大きく変わってきます。思考力を鍛える方法の前に、まずは、思考力が必要とされる理由をしっかりと押さえてしまいましょう。
情報選別の重要性が増してきている
私たちは、毎日膨大な情報にさらされています。インターネット検索・SNS・ニュースなど、さまざまなソースから流れてくる情報の洪水のなかで、正しい情報の選択は今後ますますむずかしくなっていくでしょう。
そこで重要になるのが「情報選別の能力」です。膨大な情報のなかには、エビデンスのないいい加減な情報も大量に混じっています。
1次情報を確認せず、ネットの記事をそのまま真似した記事であっても、それらしいことが書いてあるとつい信じてしまうものです。
こういう状況のなかで、正しい情報をきちんとピックアップするには、クリティカルシンキング(批判的思考)をオススメします。
クリティカルシンキングとは、今ある前提を疑い、ものごとの本質を見極める手法です。世の中の情報はすべて、必ず発信者の思想や嗜好といったバイアス(先入観)を通して発信されています。
そのバイアスを見抜き、いかに客観的な視点で情報を捉えられるかが、思考力を磨く重要なポイントになってきます。
◆クリティカルシンキングについては、コチラの記事でもお読みいただけます
以前より問題が複雑化している
私たちの生活は、テクノロジーの急激な進化や経済のグローバル化といった要因によって、かつてないほど複雑化しています。そのため、直面する課題に対して、従来の方法が通用しないという事態が多発しているのです。
あわせてすでに世界、とくに先進国はビジネス的に成熟しており、「◯◯すればうまくいく」というわかりやすいビジネスモデルが通用しなくなりました。
これからの時代、単に情報を収集・分析するだけでは、もはや適切な対応ができません。複雑に絡み合った情報のなかから課題を発見する能力や、最短で最適の対応策を探し出す思考力が、今後ますます必要とされてくるはずです。
テクノロジーの進化により代替しにくい思考力が必要とされている
テクノロジーの急速な進化は、私たちの働き方や生活を劇的に変えてしまいました。とくに、人工知能(AI)やオートメーションの発展により、多くの単純作業やルーティンワークは機械によって代替されつつあります。
しかし、こういった進化は、人間にとって悪いことばかりではありません。AIや機械をコントロールするのは、結局人間だからです。だから、人間の仕事が代替されるというよりは、人間の役割が大きく変わってきたというほうが正しいような気がします。
単純な労働力の代わりに、これからは人間にしかできない深い思考力が求められるでしょう。機械はデータ処理やパターン認識において、人間を完全に凌駕しています。
しかし、創造的思考・批判的思考・感情に基づく判断といった分野では、まだまだ人間が勝っています。
もちろん、将来のことは誰にもわかりませんし、単純にAIや機械と競い合うのは無意味です。テクノロジーと共存しながら、人間ならではの思考をうまく補完していくのが、これから求められるスタイルなのではないでしょうか。
グローバル化で多様な思考に対応する機会が増えた
グローバル化が進む現代社会では、異なる文化や価値観をもつ人々との接触が急増しています。そのため、多様な価値観に対応できるだけの柔軟な思考力が、非常に重要視されるようになってきました。
日本は基本的に、同じ民族だけで構成される単一国家になります。だから、長い間、同じバックグラウンドをもち、同じ言葉を話す人たちとだけやり取りをしていれば、それで十分だったのです。
しかし、もはや国境や人種で単純に区別をできる時代ではありません。たとえ直接海外に行くことがなくても、インターネットを通じて一瞬のうちに世界中と繋がれるのが、今の時代です。
私たちは、もっともっと違う国のさまざまな考え方に触れ、幅広い視点でものごとを考える柔軟な思考力を身につける必要があります。
思考力を鍛えるとどんなメリットがあるのか
冒頭でもお話ししたように、思考力を鍛えると人生の質が確実にアップします。この章では具体的にどんなメリットがあるのか、以下3点をピックアップして解説していきます。
- 論理的な思考ができると、自分の主張が受け入れられやすくなる
- 情報を実生活に役立てる力がつく
- 円滑な人間関係が築ける
それではひとつずつ見ていきましょう。
論理的な思考ができると、自分の主張が受け入れられやすくなる
まず 論理的な思考ができると、自分の主張が受け入れられやすくなります。
理由は簡単。深い思考力をもつ人は、たくさんある情報を客観的に分析して、誰もが納得できるような結論を導き出せるからです。
つまり深い思考力をもつ人の思考は、誰が聞いても「あー、なるほどね」と思えるクオリティだから、主張をすんなりと受け入れてもらえるのです。
友達との雑談なら、とくに論理的な思考を意識しなくても、そう問題にはならないかもしれません。しかしビジネスの場になれば、話は別です。
論理的な話ができなければ、業務や交渉がうまくいかず、あなたは「仕事のできない人」の烙印を押されてしまう可能性があります。
情報を実生活に役立てる力がつく
思考力を鍛えると、論理的な思考でものごとを判断できるため、手にした情報を実生活にうまく活用できます。
現代は完全な情報社会です。わからないことがあってもネットで検索すれば、たいていのことならすぐに答えが見つかります。
問題は、私たちの周りには情報が多すぎることです。ネット検索をはじめ、書籍・テレビ・SNS・口コミなど、さまざまな情報が飛び交っています。
さらに問題なのは、どの情報が正しいのかが、非常にわかりにくくなっていることでしょう。だからこそ私たち自身が、論理的な思考力をもって、正しい情報を選択していく必要があるのです。
◆情報処理能力については、こちらの記事もどうぞ
円滑な人間関係が築ける
思考力に長けている人は、円滑な人間関係を築ける可能性が、通常よりも高くなります。なぜならば、論理的に相手を納得させられるだけでなく、相手の立場も考慮に入れた対応ができるからです。
「こういう話をしたら相手はどう思うだろうか」という深い配慮ができるから、相手もこちらを尊重してくれます。
また深い思考力をもつ人の話には、矛盾がありません。
もし話をしている間に矛盾が出てきたら、相手はその疑問に不信感をもちます。その場で「それって変じゃない?」といってもらえれば、別に問題はありません。議論を重ねて修正すればいいだけですから。
しかし大人のおつきあいのなかでは、気まずくなるのを回避するため、なにも言わずにスルーするケースも少なくありません。こうなるとあとに残るのは、「あの人とはなんか噛み合わない」という思いだけです。
こういう事態を避けるためにも、ぜひ深い思考力を身につけてもらいたいと思います。
今すぐやめよう。思考力が低下する悪習慣
思考力を鍛える具体的な方法は最後の章で解説しますが、まずはその前に、今あなたの思考力を低下させている悪習慣を4つご紹介します。
- 新しい価値観を受け入れない
- なんでもネット検索する
- 疲れているときに重大な決断を下す
- その日のできごとや体調によって考えが大きく変わる
上記4点をやめるだけでも、思考力は大きく改善するはずです。ぜひ今日から、この悪習慣を断ち切っていきましょう。
新しい価値観を受け入れない
思考力を鍛えたければ、新しい価値観を受け入れない頑固な考え方は、今すぐにやめてください。
もちろん、誰でも自分なりの判断基準をもっています。それを否定するつもりはまったくありません。しっかりした判断基準は、「美学」として、あなたの存在を確立する重要なファクター(要素)になりますので。
ただ多くの人は、自分の価値観にこだわるあまり、非常に狭い視野でしかものごとを考えられなくなっています。
世の中にはたくさんの人がいて、それぞれが自分の価値観をもっているのです。つまり新しい価値観を受け入れるというのは、他人を尊重するという意味でもあります。
そもそも世の中には自分の知らないことが、たくさんあるものです。そういった価値観(情報)を柔軟に取り入れるのが、思考力を鍛える第一歩といえます。
なんでもネット検索する
現代人はなにかわからないことがあると、まずネットで検索をします。わからなくて質問をすれば、「それくらい自分でググれよ」と怒られてしまうことも少なくありません。
たしかにネットで検索するのは、手軽で便利です。しかもよほど専門的な内容でなければ、たいていはなんらかの答えが見つかります。
しかし、あまりにもネット検索に依存しすぎるのも問題です。なぜなら、答えがすぐに与えられるので、自分で深く考えるプロセスが失われてしまうからです。
またネットには、信頼性に乏しい情報もたくさん存在します。それなのに私たちは、検索で見つけた答えを無条件に信じてしまいがちです。
まずは検索する前に、いったん自分の頭で整理してみる。また検索した結果は、データのあるものを優先とし、一度客観的立場から疑ってみる。こういったステップを取り入れるだけでも、あなたの思考力は大きく成長するでしょう。
疲れているときに重大な決断を下す
あなたの思考力は、体調に大きく影響を受けています。一般的に、体調がよく思考がクリアなら、よい考えが浮かびやすいです。逆に体調が悪ければ、どうしてもマイナスな思考で物事を判断してしまいます。
したがって論理的な思考力のもと、最適な判断を下したいなら、まず疲れているときに重大な問題へ向き合わないことです。
そういう意味では、重要事項を検討する時間帯も重要といえます。夜中に考えたことを翌朝に再度確認してみると、「なんだ。これっ?」ってびっくりすることがありませんか。
疲れが溜まり半分眠っているような時間帯になると、どうしても極端な決断を下しがちです。できれば、睡眠を取って脳がリフレッシュした朝1番、もしくは午前中にじっくりと考えるようにしてください。
◆集中できる時間帯については、こちらの記事もどうぞ
その日のできごとや体調によって考えが大きく変わる
前述のとおり、人間の考えは体調に大きく影響を受けます。だから、疲れているときや病気のときには、重大な決断をしないほうがいいのです。
でもそれと同時に、体調による考えのブレができるだけ起きないよう、冷静に自分の判断を分析する「客観性」も身につけておく必要があります。体調が悪くても決断しなければいけないときはありますから、大きな判断ミスをしないためにも、客観性をもつことは非常に大事なことです。
ところが思考力の低下している人を観察すると、やはりその日のできごとや体調に大きく左右される傾向が強いように感じます。
嫌なことがあればマイナスな思考になり、体調の悪さに引きずられるかのように、弱気な判断を下す。一転、体調がよく楽しいことがあれば、あまり考えずにすぐ答えを出してしまう。
誰しもこういった傾向はあるにせよ、気分や体調で思考パターンが変化しすぎると、どうしても間違った判断を下す回数が増えてしまいます。
思考力に優れた人の特長とは
思考力が低下する習慣を断ち切るには、思考力に優れた人のマネをするのが一番です。思考力アップの方法を紹介する前に、ぜひ思考力に優れた人の特長を頭に入れておいてください。
- 論理的思考でものごとを判断できる
- 先を見据えて考えられる
- よく考えてから決断をくだす
- 判断材料となる知識が豊富
ひとつずつ順番に解説します。
論理的思考でものごとを判断できる
思考力に優れた人は、人に説明するのが非常にうまいです。必要な情報をわかりやすくまとめる「論理的思考(ロジカルシンキング)」が、自然と身についているのでしょう。
私たちの頭のなかには、さまざまな情報が溢れており、必要な内容を整理するだけでも一苦労です。だから、肝心なポイントを説明し忘れることも多く、反対につい余計な情報を盛り込んでしまうこともあります。
ところが論理的思考のできる人は、矛盾点のない筋の通った論理を組み立てられるので、頭のなかが常にクリアーです。会話をしていても的確なコメントができるので、相手に「話しやすい」「頼りになりそう」といったプラスの印象を与えます。
また、論理的思考は、問題解決にも有効です。解決に必要な要因を組み立てて、素早く問題を処理してくれるので、論理的思考のできる人は周囲から信頼されています。
先を見据えて考えられる
先を見据えて的確な判断を下せるのも、高い思考力をもつ人の特長といえます。対して思考力に欠ける人は、目の前のことしか考えられず、同時に複数の要素を考えるのが苦手です。
でも仕事や勉強で結果を出すには、現時点からゴールまでにやるべきことを、段階的に設定する能力が欠かせません。
「最初に◯◯をして、その次には☓☓をする。1か月間その状態を維持できたら、最後に△△へ取り組む」といったように、先を見据えた行動設定ができれば、自分の目標からズレてしまう可能性を大幅に減らせます。
今やっていることしか考えられない人は、よくいえば「行動的」ですが、ようするに「行きあたりばったり」なのですね。だから、行動に一貫性がありません。
「こんなことする必要なかったのに……」と途中で後悔することのないように、ぜひ「先を見据えた思考」を身につけたいですね。
よく考えてから決断をくだす
思考力に優れた人は、安易に決断をしません。決断に必要な判断材料をしっかりと集めて、あらゆるパターンを比較したうえで、慎重に決断を下します。
もちろん慎重といっても、事前に決断を下すデッドラインを決めているので、決断が遅れて事態が悪化するようなことはありません。
一方で思考力の足りない人は、深く考えるのが面倒なので、悪いケースを想定することなく決断してしまう傾向が強いです。だからいったん問題が発生すると、打つ手が遅れてしまい、どんどん問題が大きくなってしまいます。
とはいえ、ビジネス社会においては、素早く決断をしなければならない場面も多いものです。高い思考力をもつ人は、必要に応じて瞬時に判断をする能力も持ち合わせています。慎重さと即断力を状況に応じて使い分けられるように、日頃から思考力を鍛えておきましょう。
判断材料となる知識が豊富
思考力のある人とそうでない人をわける大きな要因として、知識量の差があげられます。思考力があり決断に間違いのない人は、頭のなかに判断材料となるさまざまな知識をもっているものです。
もちろん、時間をかけて注意深く考えれば、思考力が乏しい人でもおそらく正しい判断は可能でしょう。しかし世の中には、すぐに決断しないと手に入らないものが、たくさんあります。いわゆる「チャンス」ですね。
「会社に戻ってじっくりと検討いたします」などといえば、そのチャンスはライバルに奪われてしまうかもしれません。その点、判断材料が頭のなかにあれば、すぐに決断ができます。
もしあなたの周りに思考力の高い人がいたら、ぜひ行動を観察してみてください。おそらく、忙しいスケジュールのなか、新聞やニュース・書籍などから、しっかりと情報収集をしているはずです。
思考力を鍛えたいなら!オススメの方法8選
この章では、いよいよ思考力を鍛える具体的な8つの方法をご紹介していきます。
1.質のよい本をたくさん読む
深い思考力を身につけるには、ぜひ質のよい本をたくさん読んでください。もちろん、本を読まないからといって、必ず思考力に問題が発生するわけではありません。しかし読書量が多ければ多いだけ、その分間違いなく、より論理的で深い思考ができるようになります。
なぜかというと、本をたくさん読む人は、深く考えるための材料「知識と語彙」をたくさん身につけているからです。
論理的な思考をするには、当然その根拠となる知識がベースになります。ようするに、たくさんの知識をもっていれば、検討事項を多方面からより深く検証できるわけです。
また語彙力がないと、どうしても思考は浅くなります。だって人間は、言葉でものごとを考えますからね。その言葉のバリエーションがなければ、思考が浅くなるのは当然でしょう。
ということで、まずは読書量を増やして、「知識と語彙」をしっかりと仕入れましょう。
◆読書量を増やすには速読がおすすめ!速読のしくみについて知りたい方は、こちらの記事もどうぞ
2.クリティカルシンキング(批判的思考)を取り入れる
クリティカルシンキング(批判的思考)も、思考力を鍛える方法としては、かなりオススメです。自分の思考パターンに自信のない人は、ぜひクリティカルシンキングを取り入れてください。
批判的という部分にフォーカスして、マイナスなイメージをもつ人もいますが、クリティカルシンキングは批判することが目的ではありません。その情報の前提条件を疑い、ものごとの本質を正しく見極めるための思考法がクリティカルシンキングなのです。
人間は、ついこれまでの経験をもとに判断を下しがちです。しかし、その経験が現在も通用するかどうかは、再度検証してみないとわかりません。現在は情報や技術の進化するスピードが圧倒的に速いので、過去の情報はすぐに陳腐化してしまいます。
だからこそ、「なぜそうなるの?」「本当にその条件でいいの?」「別の条件に変わったらどうなる?」と、前提条件を見直してみる「クリティカルシンキング」が重要になってくるのです。
3.仮説を立て、検証するクセをつける
思考力を高めたい社会人にぜひ試してほしいのが、「仮説 → 検証」という思考サイクルです。
ビジネスシーンでは、常に結果を求められます。しかも納期や契約期限がありますので、限定された時間内に素早く結果を出さなければなりません。
反面、ビジネスの初期段階で、必要な条件が過不足なく揃っている状況は少ないものです。判断材料が足りない状態のなか、最短で結果を出すには、まず仮説を立てることが重要になります。
かりに「顧客の売上が落ちているのは、ネット広告の利用割合が少ないから。解決策としてネット広告費を増やしてみたら、売上は戻るのではないか」という仮説を立てたとしましょう。
そうなれば次にするのは、その仮説を裏付けるデータの収集です。あとはその仮説とデータを分析しながら、仮説の真偽を立証していきます。
仮説が合っていればそのまま対策へと移行すればいいし、もし仮説が間違っていたら、再度仮説を立証していくだけです。
「仮説 → 検証」というプロセスは一見遠回りのようですが、方向性が明確でない段階では非常に効果的な方法だと思います。こういった仮説思考に興味をもったかたは、ぜひ専門書などでチェックしてみてください。
4.具体的な数値や事例を用いて考える
深い思考力を言い換えると、「誰もが納得できる論理的な思考を導く力」といえるでしょう。深く練り上げられた論理的な思考は、誰が聞いてもすぐに納得してしまう完成度をもっています。
誰もが納得できる論理的な思考を組み立てるには、なんといっても具体的な数値や事例が欠かせません。思考のなかに数字や事例を取り入れると、以下のようなメリットが考えられます。
■ 思考内容に信頼性が生まれる
■ 説得力が増し、賛同を得られやすくなる
■ 内容を聞いた(見た)だけで、すぐに理解してもらえる
■ 間違った方向へ進む危険性が減る
とくに、自分の思考を誰かへ伝える必要がある場合は、相手にどれだけ納得(理解)してもらえるかが勝負です。ぜひ具体的な数値と事例を意識してみてください。
5.一歩引いて全体像を見る意識をもつ
問題解決や意思決定のプロセスにおいて、細部にこだわり過ぎると、ときに全体の方向性を見失いがちです。いくら一つひとつのパーツがうまくいっても、全体的に間違った方向へ向かっていたら、決してゴールにはたどり着けません。
たとえば、ビジネスの戦略を立てる場合に、個々のプロジェクトや部門内の動向だけを見ていたら、絶対にうまくいかないでしょう。
もちろん、こまかい部分も大切ですが、まずは現在の経済状況や市場全体のトレンドを軸に、大まかな流れをつくっていくのが先決です。
繰り返しますが、大きな軸がブレてしまえば、いくら細部にこだわっても決してうまくいきません。ものごとの本質を見失わないためにも、ぜひ一歩引いて全体像を確認する意識を忘れないでください。
6.とことん細部にこだわってみる
先ほどは全体像を見る重要性について、お話をしました。しかし、それは細部が重要ではないという意味ではありません。思考力を鍛えるためには、全体像を見ることと同じくらい、細部に注目する意識も重要です。
細部に焦点を当てる意識があると、表面に出てこない隠れた課題や、つい見落とされがちな要素が見つかりやすくなります。
たとえば、データ分析をしている途中で、奥に埋もれているパターンやトレンドを発見するかもしれません。また、新商品のこまかいデザインの改善が、大きなヒットにつながるかもしれないのです。
王子ネピア株式会社が発売するヒット商品「鼻セレブ」は、元々「ネピア モイスチャーティシュ」という名前で販売されていましたが、あまり売れませんでした。
しかし、お客さまへの認知度を上げたいというこだわりから、名前を鼻セレブに改名。さらに、パッケージをふわふわのアザラシにしたところ、売上はなんと10倍になったそうです。
これはひとつの例にすぎませんが、このように細部にこだわることで、深い理解と精密な分析が可能になり、よりよい結果が生まれやすくなります。
7.インプットした情報の要点をまとめる
情報収集には、読書が欠かせません。高い思考力をもつ人は、たいてい読書好きで、本から積極的に情報をインプットしています。
しかしどんなに読書慣れしていても、読みっぱなしでは、知識の大半が頭から抜け落ちてしまうでしょう。そこで試してほしいのが、情報のアウトプットです。
具体的なアウトプットとしては、インプットした情報を書き出したり、読み上げたりします。そうすると、脳が「インプットした情報は、反復をするくらい重要な情報だ」と判断して、より強固に脳へ定着していくわけです。
またアウトプットする際には、さすがにインプットした情報を、すべてアウトプットするわけにはいきません。となると、必然的に要点だけをまとめるようになりますよね。
この要点をまとめる作業は、思考力を鍛えるのに最適なトレーニングです。手元にある材料から重要な情報を抜き出す作業は、あなたの思考力を大きく向上させてくれるでしょう。ぜひ積極的に試してみてください。
◆インプットとアウトプットについては、こちらの記事もどうぞ
8.文章をイメージで理解できる右脳を活用する
最後に、私の指導する右脳速読法「瞬読」を紹介しておきます。前述のとおり、深い思考には、まず判断材料となる知識が必要になります。その知識のインプットに最適なのが、読書です。
最近では、動画やSNSもよく情報収集に利用されます。しかし専門家による正しい情報が、わずか2,000円以下で手に入るのですから、本を活用しない手はないでしょう。
とはいえ、通常の読書では読書スピードが遅すぎて、十分な知識を得るまでにかなり時間がかかります。活字が苦手な人なら、1か月に1冊読むのも苦労するかもしれませんね。ところが、文章をイメージで理解できる「右脳速読法」を習得すれば、1冊を5分で読むことも可能です。
右脳速読法が圧倒的な読書スピードを実現するしくみについては、ほかの記事でこれまで何度も説明しているので、ここでは説明しません。興味のあるかたは、以下の記事で確認してください。
いずれにせよ、深い思考力のためには、判断基準となる知識は多ければ多いほどよいです。ぜひ右脳速読法を活用して、どんどん情報を仕入れていきましょう。
◆右脳速読法「瞬読」と従来の速読法の違いについては、こちらの記事をどうぞ
まとめ
今回は、思考力を鍛える方法について、詳しく解説しました。深くて論理的な思考は、説得力があるので、ほかの人からの賛同も得られやすいです。
とくに結果を出す必要のある社会人には、必須の能力といえるでしょう。ぜひ今回ご紹介した6つの方法を活用して、ご自分の思考力を思いっきり鍛えてください。
なお思考力アップに欠かせない情報収集には、右脳速読法「瞬読」が大いに役立ちます。瞬読について詳しく知りたいかたは、以下のオンラインセミナーでご確認ください。