記事の監修
株式会社瞬読 代表取締役山中恵美子
大学卒業後、関西テレビ放送株式会社に勤務。2009年学習塾を開講し3万人の生徒が卒業。
学習効果を上げる方法として速読を取り入れる。これが後の「瞬読」となり生徒が次々と難関校に合格。
2018年瞬読のみの講座が開講し、現在受講生は2,600名を超える。
著書『瞬読』は10万部超えのベストセラーに。その他、TV・ラジオなどメディアにも多数登場し、全国に瞬読を広めている。
あなたは、普段どれくらい読書をしていますか?
おそらく、読書はしたいけど忙しくて読書どころではないという人が、多いのではないでしょうか。
そこで今回は、スキマ時間の活用や速読などを含む、「読書時間を確保するコツ」を4点ご紹介していきます。
読書時間が不足するとどういう弊害が発生するのかにも触れていきますので、読書時間の確保にお悩みのかたは、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
まずは「読書時間のリアル」を知っておこう
読書時間不足の弊害と読書時間の捻出方法を解説するまえに、まず平均的な日本人が実際にどのくらい本を読んでいるのか、その「読書時間のリアルな現状」を見ていきます。
自分と平均的な状況を比較して、どの程度改善すべきかを、しっかりと把握しておきましょう。今回紹介するのは、以下の3点です。
- 日本人の平均読書時間はどれくらい?
- みんないつ本を読んでいるの?
- 読書時間の長い人ほどお金持ちって本当?
ひとつずつ解説します。
日本人の平均読書時間はどれくらい?
結論からいうと、小学生をピークとして、年齢を重ねるごとに読書量は減少します。
文化庁がおこなった「平成 30年度国語に関する世論調査」(上図)によれば、全体の約半数47.3%の人が、1カ月に1冊も本を読まないそうです。
さらに、読書数が月に1冊の人を合わせると、全体の85%にものぼります。つまり、月に複数の本を読める人は、わずか15%しかいないわけです。
また下記のデータでは、「小学生 → 中学生 → 高校生 → 大学生」と進むごとに、読書量の激減傾向が強まっているのがわかります。
- 小学生(4〜6年生):11.3冊
- 中学生:4.7冊
- 高校生:1.4冊
※参考:公共社団法人全国学校図書館協議会「第65回学校読書調査(2019年)5月1か月間の平均読書冊数」
大学生の読書冊数データはみつかりませんでしたが、全国学校図書館協議会の調査によると、月の読書時間「0分」が約半数47.2%を占めているそうです。
「成長による読書数の減少」の理由は明確にされていませんが、以下のような理由が関係しているのは容易に想像できます。
- 社会人になると、仕事や家事などが忙しく、読書をする余裕がない
- 成長するにつれて、SNSやゲームなどが自由にできるため、読書は後回しに
- 読書のメリットを理解していない
つまりこれを逆に考えれば、読書のメリットを理解して、忙しくても読書ができる方法さえわかれば、読書時間は大幅に増やせるわけです。
読書のメリットや忙しくても読書ができる方法については、またのちほど詳しく解説していきます。
忙しくても読書ができる方法についてもっと知りたい!という方は下記のリンクからどうぞ。
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みんないつ本を読んでいるの?
読書時間が足りなくて悩んでいる人からすれば、ほかの人がいつ本を読んでいるのか、非常に気になりますよね。
東証一部上場企業「株式会社クロス・マーケティング」がおこなった「読書に関する調査(2020年)」をみると、その答えがある程度見えてきました。
※参考:株式会社クロス・マーケティング「読書に関する調査(2020年)」
まず「休日にゆっくりと」「就寝前に」という、「時間のあるときにじっくりと読む派」が上位にランクイン。ついで「時間があるときにいつでも」がランクインしており、そもそも読書をする人が少ないなか、さすが読書好きと思わせる結果になっています。
ただ、「仕事や学校の合間」「通勤などの移動時間」を使った、いわゆる「スキマ時間」を活用している人は、5人に1人しかいません。
つまり、スキマ時間を活用すれば、もっと読書時間は捻出できるのです。スキマ時間の活用については、のちほど詳しく解説します。
読書時間の長い人ほどお金持ちって本当?
まず結論をいえば、読書時間が長いほどお金持ちとは限りません。お金持ちでも、まったく読書をしない人は一定数います。
ただし一般的に、高収入の人ほど読書時間が多い傾向にあるのは確かです。
総務省のデータによると、年収845万円までの所得層では、年間の書籍購入代に大きな差は見られません。年収300万円台と年収800万円台では、読む本の量は同じくらいなのです。(本の内容は違うかもしれませんが……)
ところが、年収845万円を超えると、いきなり1万円も書籍代が増えます。
- 年収328万円未満:37,085円
- 年収328万円〜454万円:40,292円
- 年収454万円〜615万円:37,675円
- 年収615万円〜845万円:38,893円
- 年収845万円〜:48,851円
※総務省2020年家計調査 表5「教養娯楽「教養娯楽用耐久財」~「書籍・他の印刷物」
1万円というとそれほど差はないような気もしますが、1冊1,500円として1万円なら年間約7冊、10年なら70冊です。
もしかすると、こういったわずかな差の積み重ねが、高収入を可能にしているのかもしれませんね。
◯読書と年収の関係については、こちらの記事もどうぞ
読書時間を確保できないと、起こりうる弊害とは
私たちのリアルな読書環境がわかったところで、今度は読書時間を確保できずに生まれる弊害について、解説していきます。ここで紹介する弊害は、以下の5点です。
- 知識が増えずに仕事や勉強で結果が出ない
- 語彙力がつかない
- 想像力や創造力が鍛えられない
- 重要なポイントを読み取る力がつかない
- 気分転換がうまくできない
それでは、ひとつずつ見ていきましょう。
知識が増えずに仕事や勉強で結果が出ない
読書をすれば、これまで知らなかった新しい知識が身につきます。したがって、読書時間が少なければ、当然知識やノウハウは増えません。
ということは、もし仕事の競合やほかの受験生が十分な読書時間を確保している場合、残念ながらあなたは満足のいく結果を出せない可能性が高いです。
なかでもビジネスパーソンにとって、知識不足は「低評価」に直結します。読書ができないのは、あなたが「努力をしない人」だからと、評価されてしまうのです。
アメリカの大富豪・マイクロソフトの創始者「ビル・ゲイツ」は、休日に必ず1日3時間の読書をし、年間で50冊もの本を読むそうです。
現在は取締役も退任していますが、現役時代の多忙さは私たちとは比較にならなかったでしょう。そういう人でも読書時間は確保していたのですから、私たちもぜひこういう姿勢を見習いたいものです。
語彙力がつかない
昔から、「本を読まないと、きちんとした日本語の表現が覚えられない」といわれてきました。実際、塾で多くの学生と触れ合う立場の私からみても、読書習慣の有無は語彙力に大きく関係していると感じています。
この定説を裏付けるように、2016年に株式会社ベネッセコーポレーションがおこなった調査※で、「少しでも読書をしたほうが、語彙力の向上につながる可能性が高い」という結果が発表されました。
また同社によれば、子どもの頃に本を読み聞かせてもらった経験があると、成長しても読書が習慣化され、語彙力が高い傾向にあるそうです。
語彙力が不足していると、書類や書籍の内容を間違えて理解したり、他人に不適切な言葉を発してしまったりする可能性が高まります。
そういったトラブルを起こさないためにも、読書時間を増やして、なんとか語彙力をアップさせたいですね。
※参考:語彙力が高い人の特徴は読書の幅広さ|ベネッセ教育情報サイト
想像力や創造力が鍛えられない
読書時間の少ない人は、残念ながら、想像力や創造力を鍛える貴重な機会をロスしています。
本は、基本的に「文字だけ」の媒体です。眼や耳から豊富な情報が得られる動画と違い、ある意味、とても不便な情報源といえます。
でもだからこそ、行間を読み、文面に書かれていないところを自分の想像力で補う能力が鍛えられるのです。さらに小説などのフィクションで、登場人物の心の動きにふれる機会を増やせば、実生活でも他人を尊重する気持ちが芽生えてくるでしょう。
また株式会社ベネッセコーポレーションが子どもに対しておこなった調査※によると、多彩なジャンルの本を読む子どもほど、「いろいろなアイデアが浮かぶようになった」「むずかしいことを考える力がついた」と回答しています。
読書は、自宅にいながらにして、人の多彩な考え方を知る絶好のチャンスです。自分にない考え方を取り入れることから、創造力が養われていきます。
そう考えると、読書時間を確保できずに「想像力や創造力」鍛錬の場を放棄するのは、本当にもったいないと思いませんか。
※参考:【小学生の読書に関する実態調査・研究】幅広い読書が「思考力」や「創造性」にプラス効果
◯読書と創造力の関係については、こちらの記事もどうぞ
重要なポイントを読み取る力がつかない
本の読みやすさには、文章構成や論旨の流れなど、著者の個性が大きく関係します。とくに小説やエッセイは、著者の個性が強く反映される傾向にあり、基本的に「慣れる」しか方法はありません。
ところが読書時間を確保できない人は、圧倒的に読書量が足りないので、こういった「読書の勘所」がいつまでも身につかないのです。
対処法としては、もちろん読書時間を増やすのは必須になります。ただ、読書時間が少なくても、読んだ本の内容を要約する訓練を加えると、重要なポイントを読み取る能力はかなりアップするはずです。
また要約するには、内容をまとめるだけでなく、むずかしい言葉を自分なりにわかりやすく言い換える能力も必要です。こういった「言い換えの能力」を鍛えると、難解な学術書や論文を読む際に、非常に効果を発揮してくれるでしょう。
気分転換がうまくできない
本を読む最大の目的は、やはり知らない知識を学ぶことでしょう。しかし、小説やエッセイ・好きなジャンルの解説本など、純粋な楽しみのために読書をする人も、これまたたくさんいらっしゃいます。
読書をしない人は、こういう「本を通した気分転換の恩恵」をまったく受けられないのです。これは正直いって、非常にもったいないと思います。
大好きな作家の小説を読み、ハラハラドキドキしたり、ときには涙を流したりと、本の登場人物に感情移入して本の中の世界を楽しむ。
あるいは好きなコーヒーに関する本を読みながら、仕入れた知識をもとにコーヒーを淹れてみる。
読書好きにとっては、どんな娯楽でも得られない「至福の時間」ではないでしょうか。
私は、こういう「読書の楽しみ」を大事にする人が、もっともっと増えてほしいと思っています。
スキマ時間の活用?速読?読書時間確保4つのコツ
最後にこの章では、スキマ時間の活用と速読を含めた「読書時間確保のコツ」を、4点ご紹介していきます。
- スキマ時間の活用
- いつでも本が読めるように「電子書籍」の活用
- スマホをオフにする時間をつくる
- 速読でサッと読む
ひとつずつ解説していきますね。
スキマ時間の活用
読書時間を確保するもっとも有効な方法は、なんといっても「スキマ時間」の活用でしょう。
読書時間の確保に悩んでいる人は、じつは「まとまった読書時間」が確保できずに悩んでいるケースが多く、スキマ時間をかき集めれば問題はほぼ解決するはずです。
ただしこういった話をすると、「そうはいっても、本当に忙しくてスキマ時間なんてないですよ」と、不満を表す人もなかにはいらっしゃいます。
しかし本当にそうでしょうか。
たとえば、首都圏で働く人なら、通勤時間だけでも40〜60分はかかっているはずです。実際に総務省の統計を調べてみると、通勤時間の平均は、「48分」でした。(もちろん、地域差はかなりあります)
つまり、通勤時間に読書をすれば、だまって「1時間近くの読書時間」が確保できるわけです。
またそのほかにも、待ち合わせまでの待ち時間・外回りの移動時間・昼食時など、探せばスキマ時間はいくらでもみつかります。
たしかに一つひとつは、5〜10分と短いかもしれません。でも「チリも積もれば山となる」の精神でいけば、通勤時間以外にも、1〜2時間程度のスキマ時間は簡単に確保できるはずです。
あとは、スマホの使用をうまく制御できれば、読書時間の問題はほぼ解決したといってよいでしょう。スマホ問題については、またのちほど解説します。
◯スキマ時間の活用については、こちらの記事もどうぞ
いつでも本が読めるように「電子書籍」の活用
前述のスキマ時間活用とも大きく関係してくる話ですが、読書時間を確保するなら「電子書籍」の活用を検討してみてください。
理由は単純。電子書籍なら、いつでもどこにでも、本を持ち運びできるからです。しかも電子書籍リーダーには、何千冊もの本を保存できます。
紙の本なら1冊しかもっていけなくても、電子書籍なら、いつでも好きな本に切り替えが可能です。
もしあなたが営業をしているなら、資料はタブレットに保管し、関連書籍も電子書籍で購入しましょう。そうすれば、重い荷物を持ち歩くことなく、出先でも簡単に内容を確認できます。
この手軽さが、読書に対する面倒な気持ちを払拭してくれるのです。
タブレットをすでにお持ちのかたは、そのまま利用すればいいと思います。もし読書に限定するなら、軽くて価格も手頃な「Kindle Paperwhite」などはオススメです。
スマホをオフにする時間をつくる
前述のとおり、スキマ時間を上手に活用すれば、読書時間は十分に捻出できるはずです。しかし、多くの人は、そのスキマ時間にまずスマホを触ってしまいます。
ご存知のように、スマホがあれば、SNSやゲーム・動画視聴など、なんでもやり放題です。
MMD研究所のデータをみると、1日に1〜3時間スマホを利用している人は、35.5%もいます。さらに、1日に10時間以上スマホを触っている人が、なんと5.9%もいるそうです。
※参考:「2020年版:スマートフォン利用者実態調査 」MMD研究所
これでは、いくら時間をつくり出しても、読書時間が増えるわけはありません。したがって、スキマ時間を捻出したあとには、必ず「スマホに触らない時間」をつくる必要があります。
とはいえ「スマホ中毒」という言葉があるように、スマホを意図的に触らないのは、多くの人にとってかなりむずかしいことだと思います。
であれば、強制的に電源をオフにするのが、もっともシンプルで効果的な対策でしょう。
もちろん、仕事や家庭の都合で、オフにできない人もいるかもしれません。でもなんとか頑張って、まずは通勤時間だけでも電源をオフにしてみませんか。それだけでも、1日に1時間以上の読書時間を確保できますので。
速読でサッと読む
ここまで紹介してきた以下の3点は、どれも重要です。
- スキマ時間の活用
- 電子書籍の活用
- スマホをオフにする
しかし、読書時間の確保にもっとも効果的な方法はと尋ねられれば、私は「速読です」と答えるでしょう。
なぜなら、速読をマスターすれば、1冊を30分もかからずに読めてしまうからです。私が指導する右脳速読法「瞬読」ならば、速い人で3分もあれば1冊を読んでしまいます。
もちろん、本の内容や集中度にもよりますが、いずれにせよ1冊読むのに、何時間もかかることはありません。
となると、ちょっとした待ち合わせ時間や食事がサーブされるまでの時間にも、簡単に本が読めてしまいます。
ましてや通勤時間のように、ある程度まとまった時間が取れるケースでは、それこそ5〜6冊は読書できるのではないでしょうか。
ただし速読は大きく3つのメソッドにわかれており、自分に合わない速読法を選んでしまうと、十分な効果が得られません。
手前味噌になりますが、「読書スピードの圧倒的な速さ」と「習得のしやすさ」から、右脳速読法は本当にオススメできます。
右脳速読法についてもっと知りたい!という方は下記のリンクからどうぞ。
》》自宅で受講できるZoom体験会
◯速読法の違いについては、こちらの記事もどうぞ
まとめ
読書時間が取れないというのは、多くの人に共通する悩みです。しかし、今回紹介した4つの方法を取り入れれば、読書時間は必ず確保できます。
「スマホをオフにする時間をつくる」など、人によっては非常に苦しい方法も含まれますが、そういった場合はとくに「短時間にサッと読める速読」を活用してください。
いずれにせよ、読書時間が不足すると、大きなデメリットが発生します。ぜひ今回の記事を参考に、読書時間を増やしていただければと思います。
なお右脳速読法について、さらに詳しく知りたいかたは、オンラインで随時開催している瞬読Zoom体験会」にご参加ください。