記事の監修
株式会社瞬読 代表取締役山中恵美子
大学卒業後、関西テレビ放送株式会社に勤務。2009年学習塾を開講し3万人の生徒が卒業。
学習効果を上げる方法として速読を取り入れる。これが後の「瞬読」となり生徒が次々と難関校に合格。
2018年瞬読のみの講座が開講し、現在受講生は2,600名を超える。
著書『瞬読』は10万部超えのベストセラーに。その他、TV・ラジオなどメディアにも多数登場し、全国に瞬読を広めている。
ビジネス社会において、「あの人は頭があまりよくない感じがする」と思われてしまえば、思うような成果は出せません。仕事をスムーズに進めていくためには、「この人は仕事ができるな」と周囲から評価されることが重要です。
今回は、頭の回転を速くしていくために意識しておくべきこと、さらに頭の回転を速くする7つの方法について、わかりやすく解説していきます。
目次
頭の回転を速くするために意識しておきたいこと
頭の回転をよくするには、まず脳のパフォーマンスと密接に関係のある、生活習慣を整えなければなりません。どれほど努力をしても、生活習慣が乱れて疲れ切った状態では、頭の回転を速くするなど到底無理な話だからです。
今回は、以下4つの側面から解説していきます。
- 食生活
- 睡眠
- 運動
- ストレス対策
それでは、ひとつずつ見ていきましょう。
脳の活動をサポートする食生活
頭の回転を速くしたいなら、とにかく脳のコンディションを、いつもよい状態にキープしておくのが大前提となります。そのために、気をつけるべきは、なにを置いてもまずは食生活です。脳の機能維持に必要な栄養を、しっかりと摂るように心がけてください。
食生活の基本は、三大栄養素(タンパク質・炭水化物・脂質)のバランスです。年齢や性別で変わってきますが、タンパク質15%・炭水化物60%・脂質25%を平均値と考えておけば、大きなズレはないでしょう。
近年日本では糖質制限が流行っていますが、脳の栄養源はブドウ糖であり、ブドウ糖の原料となる糖質(炭水化物)を極端に制限するのはオススメできません。(摂りすぎもよくありませんが)
また、私たちの脳は、約60%が脂質で構成されています。一般的に敬遠されがちな油ですが、オメガ3脂肪酸に代表される良質な油は、脳の機能維持に欠かせない成分です。オメガ3が豊富なイワシや鮭を、できれば週に2回は食べるようにしてください。
◆脳によい食生活については、コチラの記事でもお読みいただけます
睡眠の質と脳のパフォーマンス
睡眠の時間と質は、脳の働き、とくに記憶の定着に大きな関わりがあります。人間は、寝ている間に前日の記憶を整理し、覚えておくべき記憶と忘れてしまう記憶を分別しています。
といっても、睡眠中ずっと記憶の分別をおこなっているわけではありません。記憶の定着は、もっぱら浅い眠り(レム睡眠)の時間帯におこなわれます。
人間は、深い眠り(ノンレム睡眠)と浅い眠りを繰り返しており、朝方になるにしたがってレム睡眠の時間が長くなるそうです。そのため、睡眠時間が短い人はレム睡眠の時間が短くなり、記憶の整理が十分におこなわれない可能性があります。
1日最低でも7時間、できれば8時間以上の良質な睡眠を取るには、以下のような環境づくりが効果的です。
- できるだけ同じ時間に寝る(起きる)
- 質のいい寝具を用意する
- 部屋を可能な限り暗くする
- カフェインやアルコールを就寝4時間前以降は摂らない
また、睡眠不足は記憶の定着だけでなく、単純に脳の働きを著しく低下させます。どんなに忙しくても、睡眠を削ることはせず、しっかりと脳を休ませてあげましょう。
◆睡眠と脳の関係については、コチラの記事でもお読みいただけます
運動が脳におよぼす影響
運動が体にいいのは、誰でも知っているでしょう。しかし、運動はただ体の動きをよくしてくれるだけでなく、脳機能にも多大な影響を与えるのは案外知られていません。
適度な運動、とくに下半身の運動によって全身の血流が改善すると、脳にも大量の血液が届けられます。全身の筋肉の約2/3は下半身に集まっていて、筋肉の動きとともに、静脈の圧迫と開放が繰り返されます。これが、俗にいう下半身のポンプ機能です。
脳は、血液中に含まれるブドウ糖を主な栄養源にしています。だから、運動によって脳に運ばれる血液量が増えると、脳は栄養満点な生き生きとした状態を維持できるわけです。
とはいえ、いきなり激しい筋トレは逆効果です。無理なく継続できるように、ウォーキングやスイミング、体操をごく軽めの強度でスタートしてください。筋肉と心臓に負荷をかけるのは、もう少し慣れてからで十分です。
なお、目安となる運動強度については、以下のサイトで確認できます。
◆運動の効能については、コチラの記事でもお読みいただけます
ストレスは頭の回転を著しく阻害する
強いストレスを受けると、「ファイト・オア・フライト(闘争・逃避反応)」状態に備えて、コルチゾールというストレスホルモンが放出されます。
一過性のものならとくに問題はありませんが、ストレスが慢性化すると、コルチゾール分泌も慢性化します。こうなると、脳は常に臨戦態勢にさらされていることになり、記憶力の低下やうつ病、不眠症を引き起こしやすくなってしまうわけです。
ストレスの原因を解消できればベストですが、そう簡単に解決できないことも多いでしょう。その場合は、以下のようなリラクセーションの力を借りて、定期的にストレスを解放する必要があります。
- 呼吸法
- ストレッチ
- マッサージ
- ヨガ
- アロマテラピー
- 瞑想
個人的なオススメは、誰でも取り組みやすい呼吸法です。「鼻で吸う倍の時間をかけて口から吐き出す」この呼吸を2〜3分続けるだけでも、心を落ち着かせる効果があります。
また、「マインドフルネス瞑想」「ホ・オポノポノ」「アーユルヴェーダ」といった海外の手法も、近年非常に人気が高まっています。興味のあるかたは、いちど体験してみるといいかもしれませんね。
◆ストレス対策にオススメの手法については、コチラの記事でもお読みいただけます
頭の回転を速くする7つの方法
今回は、頭の回転を速くする方法を7つ紹介します。すべてに取り組むのは大変なので、どれか気になるものから、チャレンジしてみてください。
疑問点があれば必ず調べる
どんなに知識が豊富な人でも、あらゆる分野に精通している人はいません。日常生活を送るうえで、必ずなにかしらわからないことが出てくるはずです。
そういう時は、疑問点を放置せず、できる限り調べるクセをつけてください。面倒くさいと感じる人もいるかもしれませんが、疑問点は新しい知識や考え方を知る絶好の機会です。調べるたびに幅広い知識が蓄積されて、判断力の精度が劇的に向上します。
具体的な調べ方としては、まずインターネットで検索してみるのがいいでしょう。よほど専門的な内容でない限り、ひと通りの情報は手に入るはずです。
ただし、インターネットの情報は、表層的なものが多いといわれています。なかには、エビデンスの怪しい情報もあるので、国や専門機関の情報を中心にリサーチするようにしましょう。
また、より専門的で詳しい情報が欲しい場合は、やはり専門家の執筆した専門書がオススメです。うまく媒体を使い分けて、効率よく疑問点を解消していきましょう。
即断即決を心がける
頭の回転が遅い自覚のある人は、即断即決を心がけてください。人生は、選択の連続です。なにを食べるかという簡単なものから、就職・結婚・転居といった、比較的大きなものまで、常に選択をしながら私たちは生きています。
頭の回転が速い人は、「えっ、そんなに速く決めて大丈夫?」と心配になるくらい、決断も速いです。選択肢の先にどのような未来があるか、瞬時に比較して、結論を導き出します。
一方、頭の回転の遅い人は、とにかく悩みます。選択肢それぞれのメリットとデメリットについて悩んでしまい、いつまでたっても答えが出ません。現代はスピードの時代なので、決断が遅れれば遅れるほど、チャンスを逃してしまう確率が高くなります。
もちろん、こういうタイプの人に、いきなり即断即決といってもなかなかむずかしいでしょう。でも、間違ってもダメージの少ないこと(晩御飯のメニューなど)から、即断即決の練習をしてみてください。
そういった即断即決の経験を積めば、少しずつ頭の回転が速くなっていくはずです。
情報の整理を意識する
現代社会では、インターネットやSNS経由で、驚くほど簡単に情報が手に入ります。ところが、情報があまりにも多すぎて、うまく扱いきれない人も少なくないはずです。
そういった環境のなかで、頭をうまく使っていくには、情報の整理が不可欠になります。情報が多すぎると、情報の選別だけで、脳のリソースを大きく奪われてしまうからです。
情報整理の具体的な方法としては、以下のような流れがオススメです。
- タスクリスト作成
- 情報のカテゴリー分類
- 優先順位の設定
- 関連する情報のみインプット
人によってやり方は異なりますが、基本的にまずやるべきタスクをすべて書き出し、仕事やプライベートといったカテゴリー分けをしていきます。
そしたら、タスクに優先順位をつけて、できるだけ期限も設定しましょう。優先順位が低く、かつ期限内に着手しなかったタスクは、期限切れとともに捨ててしまって構いません。
本当にやるべきタスクが明確になれば、今度はそのタスクに必要な情報だけ、インプットしていきます。そうすれば、ムダな情報に脳のリソースを奪われることもなくなります。
「頭の回転を速くするには、情報を厳選して脳に余計な負担をかけない」ぜひこのことを覚えておいてください。
定期的に新しいことにチャレンジ
なんとなく頭が働かないと感じている人は、ぜひ定期的に新しいことへチャレンジしてください。自分の生活を振り返ると、かなりの時間を定型業務(ルーチンワーク)が占めていることに気づくはずです。
毎日同じ電車に乗り、同じような仕事をして、休日はいつものメンバーで遊ぶ。こういう生活はたしかに楽です。しかし、深く考える必要がないので、どうしても頭の回転は錆びついていきます。
もちろん、いきなり劇的に生活を変える必要はありません。いつもと違うメニューを頼む・自転車で通勤してみる・仕事の手順を変えてみるといった、すぐにできることから、少しずつ変化の量を増やしていけばいいのです。
それでも変化はむずかしいというなら、思い切って新しい環境に飛び込んでみることをオススメします。趣味のサークル・資格スクール・近所の会合、参加する場所はどこでもOKです。新しい環境は、きっと脳に適度な緊張感と刺激を与えてくれるでしょう。
◆新しいチャレンジについては、コチラの記事でもお読みいただけます
インプットとアウトプットをセットで考える
インプットとアウトプットのバランスは、情報の活用という面で非常に重要な意味をもっています。というのも、多くの人はインプットとアウトプットのどちらかに偏っているため、脳のポテンシャルをまったく活かしきれていないのです。
日本人の場合は、どちらかというと、インプットを偏重している人が多いように感じます。これは、長い間知識の詰め込みを重視してきた、学校教育の影響もあるのかもしれません。
英語学習がよい例でしょう。学校では英語力判定のために、問題の答えの正答数が問われます。単語暗記や文法の間違い探しばかりしているので、実際の会話になるとほとんど話せない人が大勢いるわけです。
本来なら、インプットした英文法を会話のなかでどんどん使っていくのが、自然なやり方でしょう。これは英語に限った話ではなく、仕入れた知識は実際に活用しないと、いわゆる宝の持ち腐れになってしまいます。ぜひ、インプットしたら、その分だけ必ずアウトプットしてください。
数字でものごとを具体化する
数字は、抽象的なコンセプトやアイデアを具体化し、明確にする強力なツールです。たとえば、新商品を広く普及させたいというコンセプトがあったとしましょう。数字のない状態だと、これは単なる願望です。
ところが、「今年度中に業界シェア10%を達成する」という数値が入ると、これは具体的な目標に変わってきます。具体的なゴールが明確になれば、自然と達成するためのさまざまなアイデアが生まれてくるでしょう。進捗度合いも容易に把握できるので、もし進行に遅れがあっても、すぐに修正が可能です。
もちろんビジネス以外にも、ダイエット・勉強・読書・スポーツなど、すべてのジャンルにおいて数値化は重要なポイントになります。ぜひ、数字で具体的にものごとを考えるクセをつけていきましょう。
ロジカルシンキングとクリティカルシンキングの両面から考える
ロジカルシンキングは、事実やデータに基づき論理的に考える力です。論理的に考えられると、「AがBを引き起こし、BがCを引き起こすなら、AはCを引き起こす」といった結論も、容易に導き出せます。
一方でクリティカルシンキングは、情報の真偽を見極め、異なる視点を検討し、よりよい判断を下す力です。
「BがCを引き起こす確率はどれくらい?」
「Cを事前に予防はできないのか?」
「AとB以外にCを引き起こす原因はないのか?」
上記のように前提条件を疑うことで、より正確な判断をくだせるようになります。もちろん、両者は相反するものではなく、同時に組み合わせて使うことも可能です。
なにか決断をする際には、できるだけロジカルシンキングとクリティカルシンキングの両面から考えるように、心がけましょう。
◆ロジカルシンキングについては、コチラの記事でもお読みいただけます
まとめ
今回紹介した7つの方法は、あなたの頭の回転を速くする、大きな助けになってくれるはずです。どれか気に入った方法があれば、その前に紹介した生活習慣の改善とともに、ぜひ取り組んでみてください。