記事の監修
株式会社瞬読 代表取締役山中恵美子
大学卒業後、関西テレビ放送株式会社に勤務。2009年学習塾を開講し3万人の生徒が卒業。
学習効果を上げる方法として速読を取り入れる。これが後の「瞬読」となり生徒が次々と難関校に合格。
2018年瞬読のみの講座が開講し、現在受講生は2,600名を超える。
著書『瞬読』は10万部超えのベストセラーに。その他、TV・ラジオなどメディアにも多数登場し、全国に瞬読を広めている。
最近、仕事や勉強に集中できず、頭がぼんやりしていると感じることはありませんか?
現代社会を生きる多くの人々は、いつもなにかに追われていて、本来の能力を発揮できていないように見えます。しかし、適切な方法で脳をしっかりと覚醒できれば、パフォーマンスを劇的に向上させることも可能です。
本記事では、生活習慣の改善や誰でもすぐに実践できる脳の覚醒方法をご紹介します。
目次
脳の覚醒には生活習慣の改善が最優先
脳の覚醒には、生活習慣の改善が最優先です。どんなに有効なテクニックを試しても、睡眠や食生活といった生活習慣が乱れていたら、思うような効果は期待できません。それでは、ひとつずつ見ていきましょう。
最低7時間以上の睡眠を取る
脳の働きにもっとも大きな影響を与えるのが、睡眠です。脳を覚醒させるには、毎日最低でも7時間以上の睡眠を確保してください。7時間というのは、成人、あるいは高齢者に必要な最低限の睡眠時間です。
年代にもよりますが、ティーンエイジャーで8〜10時間、6〜13歳の児童なら9〜11時間と、年齢が若くなるほど必要な睡眠時間は長くなっていきます。
なぜ、最低7〜8時間の睡眠が必要かというと、睡眠時間が短くなると、レム睡眠の回数が減ってしまうからです。レム睡眠は、ひと晩4〜5回しか発生しません。
そして、私たちの脳は、レム睡眠中に記憶の整理をします。なので、睡眠時間が減ると、十分に記憶の整理がされないまま朝を迎えることになってしまいます。
もちろん、睡眠中に脳は休息を取っていますから、寝不足だと脳機能も回復が不十分です。実際、寝不足の翌日は、頭がぼんやりして集中力も続きません。
ぜひ今日から、いつもより早めにベッドに入って、7時間以上の睡眠を目指しましょう。きっと翌朝の調子のよさにびっくりするはずです。
◆良質な睡眠のポイントについては、コチラの記事でお読みいただけます
健康的な食事を心がける
脳を覚醒させるためには、健康的な食事が不可欠です。バランスのよい食事は、脳の働きをサポートし、集中力や記憶力を向上させます。
いろいろなポイントがありますが、まずは、三大栄養素のバランスに気をつけるところからスタートしましょう。厚生労働省が提示している、三大栄養素の目標値※1は以下の通りです。
- 炭水化物:総エネルギー摂取量の50〜65%
- 脂質:総エネルギー摂取量の20〜30%
- たんぱく質:総エネルギー摂取量の13〜20%
最近は、糖質(炭水化物)制限をしている人も多いですが、脳の働きからいえば、あまりオススメできません。なぜなら、脳が主に栄養源としているのは、血液中に含まれるブドウ糖(炭水化物と同じものと考えてください)だからです。
毎食丼ものや麺類ばかり食べていたら、たしかに糖質過多でしょう。たしかに日本人は、炭水化物を過剰摂取しすぎる傾向にあります。だからといって、あまりにも糖質を制限したら、脳が栄養不足になってしまいます。
また脳の覚醒には、三大栄養素以外にも、ビタミンやミネラルといった微量栄養素が必要です。必要な摂取量については、参考サイト※2を参照してください。
◆脳の覚醒をサポートする食生活については、コチラの記事でもお読みいただけます
座りっぱなしの生活から脱却する
長時間座りっぱなしの生活は、脳の働きに悪影響をおよぼします。ずっと座っていると血液の循環が悪くなり、脳に十分な酸素や栄養が届きにくくなるからです。そういった状態が慢性化すれば、集中力は低下するし、なんとなく気分の落ち込むことが増えていきます。
そこで大切なのは、とにかく立って体を動かすことです。仕事中や授業中に、表立って運動はできないかもしれません。でも、勉強や仕事の合間に少し立ち上がってストレッチをするくらいなら、誰でもできるでしょう。
忙しくて、そういった時間も惜しいというなら、日常生活のなかでうまく体を動かしていくしかありません。エレベーターを使わずに階段で上り下りする・いつもよりひとつ前の駅で降りて歩くなど、いつもの生活を少し変えるだけで、十分な運動になります。
また、可能であれば、立って作業するスタンディングデスクを試してみるのも、ひとつの方法です。ぜひ、座りっぱなしの生活から脱却し、元気な脳を手に入れましょう。
◆運動のメリットについては、コチラの記事でもお読みいただけます
ストレスとの付き合い方を学ぶ
どんなに順風満帆に見える人でも、必ずなにかしらのストレスを抱えているものです。すぐにストレスの原因を解決できればよいのですが、人間関係や金銭問題など、解決までに時間が必要なケースも少なくありません。
であれば、ストレスをなくすのではなく、ストレスといかにうまく付き合っていくかが非常に大切になってきます。
うつ病によりストレスホルモン「コルチゾール」が大量に分泌されると、海馬が縮小したという実験データ※もあります。
海馬は記憶の司令塔とでもいうべき、非常に重要な器官です。脳に正常に機能してもらうためにも、しっかりと自分なりのストレス対処法を身につけておきましょう。
運動や趣味などもよいのですが、もう少し直接的な効果が期待できる呼吸法や瞑想を、まずはオススメします。呼吸法と瞑想のやり方については、別記事で詳しく紹介しているので、そちらをご参照ください。
◆オススメの呼吸法「ボックスブリージング」については、コチラの記事でお読みいただけます
◆マインドフルネス瞑想のやり方については、コチラの記事でお読みいただけます
脳が覚醒するオススメの朝の過ごし方
脳の覚醒に必要な生活習慣の改善の次は、オススメな朝の過ごし方を11個ご紹介します。
起床後すぐにコップ1杯の水を飲む
朝、目が覚めたら最初にするべきことは、コップ1杯の水を飲むことです。寝ている間に私たちの体は、約500mlもの水分を失っています。夏場になれば排出量は増え、多い人で1Lくらい汗をかいているそうです。
そうなれば、どうしても血液は濃くドロドロしてしまいます。血流が悪くなれば、十分な栄養と酸素が脳に届きません。だから、起き抜けにしっかりと水分を補給して、血液の状態をできるだけ早く通常に戻してあげることが重要になってくるわけです。
さらに、冷たい水から刺激を受けて、腸などの消化器官も目覚めてくれます。あとから朝食の話もしますが、コップ1杯の水を飲むだけで、朝食を受け入れる準備が整います。
なお、周りを見ると、水ではなくコーヒーを飲む人が多い印象です。さまざまな見解がありますが、個人的には「覚醒を促すコルチゾールの分泌が落ち着くまで、カフェインの摂取は避けたほうが無難」という意見に賛同します。
コーヒーが欠かせない人も、まずは水を飲み、コーヒーを飲むのは少なくとも起床後45分以上経過してからにしましょう。
◆水分補給の重要性については、コチラの記事でもお読みいただけます
できるだけ朝食を抜かない
成人男性の約30%が、朝食を食べないというデータがあります。夜ふかしして朝食欲がない・朝食を準備する時間がない・プチ断食効果を期待しているなど、さまざまな理由があるでしょう。
しかし、脳の覚醒を意識している人には、できるだけ朝食を食べるようにオススメします。なぜならば、睡眠中に失ったエネルギーを補給することで、午前中のパフォーマンスが大幅に向上するからです。
時間がないときでも、トーストに目玉焼き、シリアルと牛乳くらいなら、用意できる時間はあるはずです。
また、朝食を抜くと、どうしても昼と夜の食事量が増えてしまいます。とくにお昼ご飯前は空腹のピークなので、早食い、さらにドカ食いになりがちです。
胃腸を休ませるメリットはあるものの、脳が飢餓状態と判断して、食べたエネルギーを脂肪として蓄積してしまう危険性もあります。極端な血糖値の上下動をおこさないためにも、できるだけ朝食は抜かないようにしてください。
起床後すぐに太陽の光を浴びる
朝起きたら、カーテンを開けて、10分くらいの日光浴をオススメします。もちろん、その際にコップ1杯の水を飲むのを忘れずにおこないましょう。
朝、太陽の光を浴びると、脳の視床下部が刺激を受けて、体が活動モードに切り替わっていきます。そのおかげで、気分を高揚させるセロトニンがしっかりと分泌され、よい状態で1日を迎えられるのです。
また、前述のコルチゾールも起床後分泌され、その後時間の経過とともに、減少していきます。ストレスホルモンとして悪者扱いされがちですが、日中の活動にはコルチゾールの働きが欠かせません。
こういったホルモンバランスを整えるためにも、毎日しっかりと日光浴をおこなってください。できれば、窓から浴びるのではなく、外に出かけて軽く散歩しながら太陽光を浴びるのがベストです。(一説によると、外出時の日光浴効果は、室内の50倍の効果があるとのこと)
シャワーで自律神経を切り替える
朝が苦手な人は、シャワーがオススメです。熱めのお湯で体温を上昇させれば、それがスイッチとなって、副交感神経から交感神経に切り替わってくれます。さらに、寝グセ直しの時間も短縮できるし、睡眠中に排出された汗や老廃物をキレイにできるのも、嬉しいポイントです。
ただし、温水ではなく冷水シャワーがよいという意見もあります。冷水で体に軽いショックを与えると、体が対抗して、セロトニンやドーパミンといったさまざまなホルモンの分泌を活性化してくれるそうです。
よくスポーツ選手が、アイスパックで体のケアをしていますよね。冷水シャワーも、これと似た効果が期待できます。まず冷やすことで体の炎症を抑えてくれますし、収縮した血管が冷水シャワー後に拡張して、血流がよくなるんです。
どちらを選ぶかは、好みの問題になってくるでしょう。いずれにせよ、極端に熱い、もしくは冷たいシャワーは、ヒートショックを引き起こす原因になりかねません。ぬるめのお湯で体を慣らしてから、温度を上げる(下げる)など、冬場はとくに注意が必要です。
朝のストレッチで血流を促進する
朝のストレッチと、後述する朝散歩は、脳を覚醒させる最高の方法といえます。
- 血流をよくして脳を活性化
- 筋肉をほぐし、体を柔らかくする
- 集中力とやる気を引き出す
- リラックス効果でストレス軽減
長時間同じような姿勢で横たわっていた体は、どうしても血流が滞りやすくなっているものです。朝起きて軽くストレッチをすれば、体中の血流が促進され、脳にもしっかり酸素が届きます。
さらに、筋肉をゆっくりと伸ばす運動を取り入れると、徐々に体が柔らかくなり、怪我の予防にもつながります。
とはいえ、朝一番に激しい運動は逆効果です。窓の近くで太陽光を浴びながら、ごく軽く体を曲げ伸ばしする程度が、ちょうどよいでしょう。
また、朝のストレッチは、心をリラックスさせてくれます。体と心の両方が整えば、自然と集中力ややる気が湧き上がってくるはずです。
軽いストレッチと朝散歩をひとつのセットと考え、少なくとも週に1〜2回はおこなうように意識してみてください。
朝散歩は最強の脳覚醒法
朝散歩は、脳を覚醒させるための最強の方法です。新鮮な空気と太陽の光を浴びながらキビキビと歩けば、体内時計がリセットされ、自然に目が覚めてきます。先ほどお話ししたセロトニンの分泌以外にも、朝散歩には数多くのメリットがあります。
- 太陽光を浴びてセロトニンの分泌が活性化する
- 生活リズムが整う
- 足腰が鍛えられる
- 全身の血流がよくなる
- ひとりでじっくりと考える時間ができる
- 夜ぐっすりと眠れる
普段デスクワークが主体の人は、ぜひ散歩を習慣にしましょう。足を上げて地面に着地する際に受ける衝撃が、筋肉だけでなく骨や関節も鍛えてくれます。もちろん、しっかりと腕を振れば、上半身にも効果はおよびます。
もし余裕があれば、週に1〜2回は自然のなかでの散歩を楽しみたいですね。太陽光と運動の効果にプラスして、自然の癒し効果がプラスされれば、肉体とメンタル両方がしっかりと整います。
いずれにせよ、朝の散歩は、長くても20〜30分で十分です。ぜひ、明日から取り組んでみてください。
朝の瞑想で心と体を整える
朝の瞑想は、心と体をリセットし、1日を落ち着いてスタートさせるためにとても効果的です。瞑想というとなにかむずかしく感じるかもしれませんが、ただ静かに座り、目を閉じて呼吸に集中するだけでも十分に効果が期待できます。
日常生活のなかで、多くの人がさまざまな問題や不安を抱えているものです。瞑想は、そういった雑念を心から追い出し、心にかかるストレスを軽減してくれます。そうやって心の負担を少しでも取り除ければ、なにか新しいアイデアや対応策を考える余裕が生まれてきます。
とくに、朝は頭のなかがクリアな状態なので、瞑想をすると、より深い集中状態に入りやすいです。瞑想法については、自分の好みで選んでもらってまったく問題ありません。
ただ、仏教をベースにした瞑想では、座禅が基本となります。体力のない高齢者や体が極端に硬い人には、負担が大きすぎる可能性があるので、決して無理はしないようにしてください。
はじめて瞑想に取り組むなら、負担が少なく実践者の多いマインドフルネス瞑想をオススメします。
◆マインドフルネス瞑想については、コチラの記事でお読みいただけます
朝のジャーナリングで思考をクリアにする
物理的な意味での覚醒なら、起き抜けの水分補給や朝散歩が効果的でしょう。でも、頭をクリアにするという意味なら、ジャーナリングは最高の方法のひとつです。
ジャーナリングとは、自分の考えや気持ちを自由に書き出す作業で、「書く瞑想」ともいわれています。頭のなかに散らばっている思考や感情を書き出せば、思考が整理され、自分の本当の気持ちが理解しやすくなります。
よく日記との違いを質問されますが、日記はその日の出来事や感想を記録しておくのが主な目的です。一方ジャーナリングにはそういった制約がなく、感情や思考を自由に書き出します。
また、以前紹介したジュリア・キャメロンのモーニングページも、ジャーナリングと非常に性質が似ています。どちらも思考や感情を書き出す点は共通していますが、モーニングページは創造性への回帰が目的であり、ジャーナリングよりルールが厳格です。
「起床後すぐにA3ノート3ページに思考を書く」というルールがあるので、朝の散歩や瞑想との併用は結構大変かもしれません。
なので、朝忙しい人には、より自由なジャーナリングがオススメです。短い時間でも思ったことを書き出せば、頭がクリアになり、新しいことに向き合うキャパシティが生まれます。ぜひ、試してみてください。
◆モーニングページについては、コチラの記事でお読みいただけます
読書でクリアな脳に情報をインプットする
睡眠中に記憶の整理をおこない、たっぷりと休息を取った朝は、情報のインプットに最適です。ジャーナリングで頭のなかをクリアにしたら、今度は新しい情報をどんどんインプットしていきましょう。
最近では、動画の手軽さがもてはやされる傾向にあり、読書をまったくしない人も少なくありません。しかし、読書は知らない知識や新しい価値観に出会う最高のチャンスです。
動画は雑談的な時間も多く、また必要な動画を探すのにも時間がかかります。その点、本は目次を見ながら、必要な箇所をサクッと気軽に確認できます。
- 集中して読書ができる
- 知識を効率よく吸収できる
- リラックス効果が得られる
- 新しい発想が生まれやすい
SNSや仕事関係の連絡がこない朝は、集中してものごとに取り組めるゴールデンタイムです。ほかのモーニングルーティンとの兼ね合いがあり毎日はむずかしいかもしれませんが、まずは週に1〜2回を目標に朝読書に取り組んでみてください。
また、普段私たちはどうしてもスマートフォンに時間を取られてしまいます。朝の読書は、スマートフォンから距離を置き、自分をブラッシュアップする絶好の機会です。そういった意味でも、定期的な朝読書をオススメします。
◆読書のメリットについては、コチラの記事でもお読みいただけます
好きな香りで脳に刺激を与える
脳を素早く覚醒させたいなら、アロマテラピーによる香りのパワーを利用しない手はありません。というのも、聴覚や視覚といった人間の感覚のなかでも、嗅覚は脳と直接連結しているからです。
鼻のなかの粘膜には嗅細胞があり、その細胞から大脳底部の嗅細胞を通じて、嗅覚野に匂いが伝わります。そこからさらに、記憶を司る海馬や感情と深い関係のある扁桃体にも、匂いの電気信号が送られるのです。
よい香りにはこういった器官を刺激して、集中力の改善や鎮静効果をもたらす働きがあります。公益財団法人長寿科学振興財団のサイト※によれば、アロマテラピーには、NK細胞活性値の上昇・エストロゲン濃度の増加・月経痛の改善など、数多くの効能が報告されているそうです。
ただし、アロマオイルの種類により、期待できる効能は異なります。自分の改善したい症状に応じたアロマオイルを選ばないと、思ったような効果は期待できません。以下に効能別に主なアロマオイルをまとめておくので、アロマオイル選びの参考にしてください。
- 鎮静作用:ラベンダー、カモミール、ホーウッド
- 不眠の改善:ラベンダー、カモミール、ベルガモット、オレンジ
- 強壮作用:ローズマリー、グレープフルーツ、レモングラス
- 集中力アップ:ペパーミント、レモン、ユーカリ
- 気分の改善:カルダモン、グレープフルーツ、イランイラン
※参考: アロマテラピーの健康効果とは | 公益財団法人長寿科学振興財団
◆アロマオイルの効能については、コチラの記事でもお読みいただけます
朝におこなわれる勉強会に参加する
前述の通り、朝は脳がリフレッシュされていて、一番集中しやすい時間帯です。そういった時間帯に開催されている勉強会に参加すると、知識を効率よく吸収できるだけでなく、頭がシャッキリとします。
これまで紹介した方法は、基本的にひとりでおこなうものばかりです。でも、勉強会に参加して人に会うと適度な緊張感が生まれ、ひとりでは得られない違ったメリットが期待できます。
仲間と一緒に新しいことを学ぶことで、前向きな気持ちで1日をスタートできますし、同じ目標を持つ仲間との交流がモチベーションアップにもつながります。なにより、朝の時間を活用している自分に自信がつき、よりよいパフォーマンスが期待できるでしょう。
ある程度人口の多い中核都市なら、朝の勉強会がどこかで開催されているはずです。ぜひチャレンジしてみてください。
覚醒した脳を維持するコツ
せっかく朝に脳を覚醒させても、すぐに脳機能が低下してしまっては意味がありません。時間の経過とともに少しずつ低下するのはやむを得ないとしても、仕事や勉強中にはできるだけ覚醒した状態を維持しておきたいものです。
そこで、覚醒した脳をできるだけよい状態のまま維持できるように、6つのコツを紹介していきます。
あまり予定を詰め込みすぎない
脳が覚醒しているときほど多くのタスクをこなそうと意気込みがちですが、過密なスケジュールは脳を疲弊させ、集中力や思考力の低下を招きます。せっかく脳が活性化しているのに、これではあまりにももったいないです。
また、スケジュールにある程度の余白がないと、十分な準備や検証をする時間も取れないので、一つひとつのタスクのクオリティが下がってしまいます。いくら脳の調子がよくても、対応できる時間が足りなければ、仕事のクオリティが下がって当然です。
1日の予定には余裕をもたせて、短時間でもよいので、必ずじっくりと考える時間を確保してください。そうすれば、予期せぬトラブルが発生しても冷静に対処でき、結果的に高いパフォーマンスが発揮できます。脳の覚醒状態を維持するためにも、無理のないスケジューリングを意識していきましょう。
昼間の短い仮眠で脳をリセットする
午前中の活性状態から、時間の経過とともに少しずつ脳のパフォーマンスは低下していきます。とくにお昼ご飯を食べてしまうと、飢餓状態から解放された脳が、休憩モードに入ってしまいます。
職種や忙しさによっても変わってきますが、できれば午後に軽い仮眠を取りたいところです。13〜16時くらいの間に15〜30分程度の短い仮眠を取ると、低下した脳のパフォーマンスがある程度復活します。
1995年にNASAがおこなった昼寝に関する実験※では、26分間昼寝をしたパイロットは、昼寝をしなかったパイロットに比べ、覚醒度が54%、仕事のパフォーマンスが34%向上したそうです。
また、仮眠前に少量のカフェインを摂ると、目覚める頃にカフェインの効果が出て、スッキリとした状態で仕事に臨めます。
ただし、いくらカフェインを摂取しても、30分以上の睡眠になると寝起きに頭がぼんやりするといわれています。仮眠は、長くても30分以内に収めるように注意してください。
※参考: NASA Nap: How to Power Nap Like an Astronaut | Sleep Foundation
◆仮眠の効能については、コチラの記事でもお読みいただけます
午前と午後で作業内容を変える
脳の働きにはリズムがあり、午前と午後で最適な作業が異なるとされています。前述の通り、午前中は多くの人にとって、集中力が高まり、記憶力も冴えている時間帯です。そのため、創造的な作業や深い考察を必要とするタスクに適しています。
たとえば、アイデアを練る企画や、頭を使う分析的な作業を午前中に割り当てると、脳がフルに働いて質の高いパフォーマンスを生み出しやすくなります。だから、朝イチでメールチェックのようなルーチンワーク的仕事をするのは、非常にもったいないです。
メール返信や資料整理、あるいは体を動かす作業は、できるだけ午後に予定しましょう。気分転換という意味も含めて、外回りのアポイントを午後にまとめて入れるのも、賢いスケジューリングです。
また、16時頃を境に、私たちの集中力はある程度回復します。ルーチンワークや外回りを終えて、16時頃からこまかいタスクに取りかかると、ロスの少ない効率的な仕事が可能です。もちろん、個人差はあるので、自分の体調と相談しながら、効率的なスケジューリングをしていきましょう。
新しいチャレンジを定期的におこなう
脳を覚醒した状態のまま維持したいのなら、なにか新しいチャレンジをおこなうのも非常に効果的です。同じ作業や環境に慣れてしまうと、脳が「安定モード」に入り、どうしても作業効率は下がってしまいます。
しかし、新しい挑戦には脳を活性化させる力があり、新たなスキルの習得や未知の状況での活動は、脳にとって絶好のトレーニングです。
たとえば、普段の仕事で使わないスキルを学ぶのもいいでしょう。これまで挑戦したことのないスポーツやクリエイティブな活動に取り組むことで、脳がリフレッシュされ、パフォーマンスも向上する可能性があります。
いつも同じ友達と会い、同じ顔ぶれで仕事をしているなら、普段いかない場所に足を向けてみるのもオススメです。資格スクール、ボランティア活動、趣味のサークルなど、探せば新しい活動の場はいくらでもあります。
小さなことでもよいので、ぜひ定期的に新しいことにチャレンジしてみてください。それだけで、脳のパフォーマンスは大幅にアップするはずです。
スマホに触れる時間を意図的に減らす
スマホは便利なツールですが、使い方によっては、脳の覚醒を阻害する大きな要因にもなりかねません。SNSやゲーム、動画と、スマホはあらゆる楽しみを与えてくれます。
だから、スマホが手元にあるだけで、私たちはスマホが気になって仕方がありません。仕事や勉強をしているよりも、スマホをいじっている方が楽しいわけですから、そうなっても当然です。このように、スマホは私たちの集中力を根こそぎ奪う、ある意味悪魔のような存在なのです。
脳の覚醒状態を維持して、仕事や勉強に集中するには、まずスマホの通知を切りましょう。SNSの通知が届くたびに、私たちの集中力は途切れてしまいます。いったん途切れた集中力をまた戻すまでに、少なくとも20分程度は必要です。
また、情報が次々と流れてくる環境下では、情報選択に脳のリソースを取られてしまい、肝心のタスクに注力できません。もちろん、1日中スマホを手放すのは、現実的にむずかしいでしょう。
それでも、脳のゴールデンタイムである午前中には、スマホを見えないところにしまい、重要な作業に集中することをオススメします。
◆デジタルデトックスのメリットについては、コチラの記事でもお読みいただけます
1日の終わりにリラックスする時間をもつ
脳の覚醒を意識したいなら、まず脳の休息をしっかり取るべきです。寝不足で、さらに頭のなかが整理されていない状態なのに、よいパフォーマンスを出せるわけがありません。
睡眠の重要性については、すでにお伝えしました。でも睡眠をしっかりと取るだけでは、メンタル的な意味でまだ不十分です。仕事や勉強後、すぐに寝るのではなく、意識的にリラックスする時間をつくりましょう。
30分でも1時間でも、リラックスできる自分だけの時間があると、脳は自然と活動モードから休息モードへと切り替わってくれます。ただ、いくら楽しいからといって、スマホや動画といった刺激性の強いアクティビティはオススメしません。
楽しさと引き換えに、脳が興奮してしまい、十分な休息が取れないからです。少なくとも就寝1〜2時間前には、スマホを置いてください。代わりに、以下のような心を落ち着けてくれることに時間を使ってほしいです。
- 温かいお風呂に入る
- 好きな音楽を聴く
- 軽いストレッチをする
- 読書をする
- アロママッサージをする
上記はあくまでも一例なので、ほかにもなにかリラックスできる方法があれば、ぜひ取り組んでみてください。(デジタル系は基本的にNG)
まとめ
今回は、脳を覚醒させるための方法をお伝えしました。どれもが効果の期待できるものばかりですが、いきなりすべてに取り組むのは無理があるでしょう。まずは、ひとつかふたつ、気になるものを選び、焦らずじっくりと取り組んでみてください。